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第53話 いらっしゃいませ
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いきなり襲われることを想定していたが、店内のコック帽の殺人鬼はモップを手にして床を掃除をしていた。
血の汚れを落とそうとしている。
さっきの死体がそこにあったのだろう。
殺人鬼が顔を上げて朗らかに挨拶してきた。
そのままテーブル席へと案内される。
腰掛けると同時にメニュー表を渡された。
注文が決まったら呼んでほしいとのことだ。
殺人鬼は手早く床掃除を済ませると、嬉しそうに厨房へと消えて行った。
取り残されたまま、とりあえずメニュー表を開く。
このファミレスで使われるごく普通のラインナップだ。
特に気になる点はない。
いや、メニュー内容よりも殺人鬼だろう。
コック帽の女の行動は異常だが、なんとなく理解できた。
彼女はこのファミレスの運営に執着している。
だから店員に徹しているのだ。
そして、こちらも客の立場から逸脱しなければ安全ではないか。
殺された者達は焦って攻撃してしまったものと思われる。
風貌から察するに、コック帽の殺人鬼は鬼系統の変容に特化しているに違いない。
つまり圧倒的な怪力とタフネスを有している。
もはや不死身に近いと考えるべきだろう。
仮に猟銃や拳銃で撃ち殺そうとしても、押し切られて返り討ちになりそうだ。
本人なりに店員に扮していたが、威圧感はオーガを遥かに凌駕する。
必要に駆られれば殺害方法を考えるものの、現状は友好的だ。
こちらから仕掛けることはない。
何より今は朝食が目当てなのだから、凄惨な殺し合いを繰り広げるつもりはなかった。
しばらくメニュー表を吟味して、卓上のボタンを押して殺人鬼を呼び出す。
そこでトーストと目玉焼きのセットを注文した。
ドリンクとサラダ、スープが付いてくるお得なセットらしい。
殺人鬼が颯爽と厨房に戻る様を見届ける。
料理を待つ間、持参したスマホで検索すると、コック帽の殺人鬼についてヒットした。
地方のファミレスチェーン店に出没するだけで、かなりマイナーな部類のはずだが、目撃証言と共に概要が掲載されていた。
ニックネームは筋肉店長もしくはストレングス。
胸に着けたネームプレートには岸川となっているが、赤の他人から奪ったものだと推測されていた。
ストレングスは日替わりで地域のファミレスを巡回し、そこで店員として振る舞うことに執着している殺人鬼だ。
攻撃してくる者をクレーマーと断じて抹殺する習性があり、重機すらねじ伏せるパワーの持ち主だという。
モンスターの群れすら蹂躪する力は、災害に近いものであると表現されていた。
血の汚れを落とそうとしている。
さっきの死体がそこにあったのだろう。
殺人鬼が顔を上げて朗らかに挨拶してきた。
そのままテーブル席へと案内される。
腰掛けると同時にメニュー表を渡された。
注文が決まったら呼んでほしいとのことだ。
殺人鬼は手早く床掃除を済ませると、嬉しそうに厨房へと消えて行った。
取り残されたまま、とりあえずメニュー表を開く。
このファミレスで使われるごく普通のラインナップだ。
特に気になる点はない。
いや、メニュー内容よりも殺人鬼だろう。
コック帽の女の行動は異常だが、なんとなく理解できた。
彼女はこのファミレスの運営に執着している。
だから店員に徹しているのだ。
そして、こちらも客の立場から逸脱しなければ安全ではないか。
殺された者達は焦って攻撃してしまったものと思われる。
風貌から察するに、コック帽の殺人鬼は鬼系統の変容に特化しているに違いない。
つまり圧倒的な怪力とタフネスを有している。
もはや不死身に近いと考えるべきだろう。
仮に猟銃や拳銃で撃ち殺そうとしても、押し切られて返り討ちになりそうだ。
本人なりに店員に扮していたが、威圧感はオーガを遥かに凌駕する。
必要に駆られれば殺害方法を考えるものの、現状は友好的だ。
こちらから仕掛けることはない。
何より今は朝食が目当てなのだから、凄惨な殺し合いを繰り広げるつもりはなかった。
しばらくメニュー表を吟味して、卓上のボタンを押して殺人鬼を呼び出す。
そこでトーストと目玉焼きのセットを注文した。
ドリンクとサラダ、スープが付いてくるお得なセットらしい。
殺人鬼が颯爽と厨房に戻る様を見届ける。
料理を待つ間、持参したスマホで検索すると、コック帽の殺人鬼についてヒットした。
地方のファミレスチェーン店に出没するだけで、かなりマイナーな部類のはずだが、目撃証言と共に概要が掲載されていた。
ニックネームは筋肉店長もしくはストレングス。
胸に着けたネームプレートには岸川となっているが、赤の他人から奪ったものだと推測されていた。
ストレングスは日替わりで地域のファミレスを巡回し、そこで店員として振る舞うことに執着している殺人鬼だ。
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