96 / 107
第96話 終着点
しおりを挟む
一体どれほどの時間がかかったのだろうか。
何度か意識を途切れさせながらも、限界まで肉を削いで穴に詰め終えた。
可能ならさらに肉片を増やしたいがこれ以上は無理だ。
間違いなく死ぬ。
そうなっては苦痛を味わった意味がない。
三人の殺人鬼が見守る中、手持ちの武器であるワイヤーを穴に落とした。
残っていた銃を使って奥まで押し込んでいく。
他にも刃物類や銃弾、爆弾をまとめて豪快に詰めた。
思ったより面倒だったので、肉片を削ぐ途中にすればよかった。
後悔しつつも作業をやり遂げる。
どうして自分の肉を削ぎ落したのか。
それは、変容によって爆弾にできるからだ。
追い詰められると自爆するモンスターから得たのは、己を爆破させる能力だった。
しかも切り離した部位でも問題なく発動できる。
重量が大きいほど威力が高まる傾向にあるため、わざわざ肉を削ぎ落としたのである。
これでヒュージセンチピードの頭部を内側から破壊する。
一緒に詰め込んだ武器類が四散して脳を切り裂いてくれるだろう。
いくら災害級のモンスターと言えども、まともに食らえば無事では済まないはずだ。
自分のことをスーパーヒーローだとは思わない。
大した取り柄のない一般人である。
ならば華々しい活躍など捨てて、身を切って意地を見せるしかないだろう。
そうして閃いたのがこの作戦だ。
ハイリスクハイリターンの典型とも言える案であった。
ふらつきながらも肉片に意識を集める。
肉片が赤熱して血を突沸させた。
細かな振動を刻みながら光を放とうとしている。
それを確認した瞬間、ストレングスに指示をした。
彼女はすぐさま鉄球を穴に叩き込んで蓋をする。
くぐもった爆発音と共に訪れたのは、ぬめる体液のシャワーだった。
内側から衝撃を受けて、外殻の剥がれた箇所から一気に体液が噴き上がったのだ。
それが頭上から雨のように降り注いだ。
頭部を爆破されたヒュージセンチピードが痙攣して大きく首を振る。
トンネルの手前で進路がずれて、山の斜面に激突した。
内部をシェイクされた頭部がひしゃげて、トンネルの縁にめり込んでいく。
その衝突に踏ん張れず空中へ投げ出された。
トンネル内の線路に顔を打つ直前、紙袋姫の蔦にキャッチされる。
彼女に礼を言って立ち上がった。
痛いと思ったら、腹部から小腸がはみ出している。
今の衝撃で出てきたらしい。
肉を削ぎ過ぎていたのだろう。
ひとまず炎で焼き固めて誤魔化しておく。
ストレングスと道化王子も無事だった。
元気よく立ち上がってそれぞれの武器を構えてみせる。
頭部の潰れたヒュージセンチピードが、ゆっくりと動き出した。
灼熱の殺気を放射している。
こちらを敵として認識したらしい。
致命傷を受けながらもまだ動けるようだ。
怒り狂うヒュージセンチピードは、猛然とトンネル内に突っ込んできた。
何度か意識を途切れさせながらも、限界まで肉を削いで穴に詰め終えた。
可能ならさらに肉片を増やしたいがこれ以上は無理だ。
間違いなく死ぬ。
そうなっては苦痛を味わった意味がない。
三人の殺人鬼が見守る中、手持ちの武器であるワイヤーを穴に落とした。
残っていた銃を使って奥まで押し込んでいく。
他にも刃物類や銃弾、爆弾をまとめて豪快に詰めた。
思ったより面倒だったので、肉片を削ぐ途中にすればよかった。
後悔しつつも作業をやり遂げる。
どうして自分の肉を削ぎ落したのか。
それは、変容によって爆弾にできるからだ。
追い詰められると自爆するモンスターから得たのは、己を爆破させる能力だった。
しかも切り離した部位でも問題なく発動できる。
重量が大きいほど威力が高まる傾向にあるため、わざわざ肉を削ぎ落としたのである。
これでヒュージセンチピードの頭部を内側から破壊する。
一緒に詰め込んだ武器類が四散して脳を切り裂いてくれるだろう。
いくら災害級のモンスターと言えども、まともに食らえば無事では済まないはずだ。
自分のことをスーパーヒーローだとは思わない。
大した取り柄のない一般人である。
ならば華々しい活躍など捨てて、身を切って意地を見せるしかないだろう。
そうして閃いたのがこの作戦だ。
ハイリスクハイリターンの典型とも言える案であった。
ふらつきながらも肉片に意識を集める。
肉片が赤熱して血を突沸させた。
細かな振動を刻みながら光を放とうとしている。
それを確認した瞬間、ストレングスに指示をした。
彼女はすぐさま鉄球を穴に叩き込んで蓋をする。
くぐもった爆発音と共に訪れたのは、ぬめる体液のシャワーだった。
内側から衝撃を受けて、外殻の剥がれた箇所から一気に体液が噴き上がったのだ。
それが頭上から雨のように降り注いだ。
頭部を爆破されたヒュージセンチピードが痙攣して大きく首を振る。
トンネルの手前で進路がずれて、山の斜面に激突した。
内部をシェイクされた頭部がひしゃげて、トンネルの縁にめり込んでいく。
その衝突に踏ん張れず空中へ投げ出された。
トンネル内の線路に顔を打つ直前、紙袋姫の蔦にキャッチされる。
彼女に礼を言って立ち上がった。
痛いと思ったら、腹部から小腸がはみ出している。
今の衝撃で出てきたらしい。
肉を削ぎ過ぎていたのだろう。
ひとまず炎で焼き固めて誤魔化しておく。
ストレングスと道化王子も無事だった。
元気よく立ち上がってそれぞれの武器を構えてみせる。
頭部の潰れたヒュージセンチピードが、ゆっくりと動き出した。
灼熱の殺気を放射している。
こちらを敵として認識したらしい。
致命傷を受けながらもまだ動けるようだ。
怒り狂うヒュージセンチピードは、猛然とトンネル内に突っ込んできた。
0
あなたにおすすめの小説
【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。
この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。
ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。
少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。
更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。
そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。
少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。
どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。
少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。
冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。
すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く…
果たして、その可能性とは⁉
HOTランキングは、最高は2位でした。
皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°.
でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )
異世界あるある 転生物語 たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?
よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する!
土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。
自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。
『あ、やべ!』
そして・・・・
【あれ?ここは何処だ?】
気が付けば真っ白な世界。
気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ?
・・・・
・・・
・・
・
【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】
こうして剛史は新た生を異世界で受けた。
そして何も思い出す事なく10歳に。
そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。
スキルによって一生が決まるからだ。
最低1、最高でも10。平均すると概ね5。
そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。
しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。
そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで
ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。
追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。
だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。
『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』
不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。
そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。
その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。
前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。
但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。
転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。
これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな?
何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが?
俺は農家の4男だぞ?
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました
まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。
その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。
理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。
……笑えない。
人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。
だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!?
気づけば――
記憶喪失の魔王の娘
迫害された獣人一家
古代魔法を使うエルフの美少女
天然ドジな女神
理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ
などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕!
ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに……
魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。
「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」
これは、追放された“地味なおっさん”が、
異種族たちとスローライフしながら、
世界を救ってしまう(予定)のお話である。
老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!
菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは
「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。
同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと
アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう
最初の武器は木の棒!?
そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。
何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら
困難に立ち向かっていく。
チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!
異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。
話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい!
****** 完結まで必ず続けます *****
****** 毎日更新もします *****
他サイトへ重複投稿しています!
ブラック企業で心身ボロボロの社畜だった俺が少年の姿で異世界に転生!? ~鑑定スキルと無限収納を駆使して錬金術師として第二の人生を謳歌します~
楠富 つかさ
ファンタジー
ブラック企業で働いていた小坂直人は、ある日、仕事中の過労で意識を失い、気がつくと異世界の森の中で少年の姿になっていた。しかも、【錬金術】という強力なスキルを持っており、物質を分解・合成・強化できる能力を手にしていた。
そんなナオが出会ったのは、森で冒険者として活動する巨乳の美少女・エルフィーナ(エル)。彼女は魔物討伐の依頼をこなしていたが、強敵との戦闘で深手を負ってしまう。
「やばい……これ、動けない……」
怪我人のエルを目の当たりにしたナオは、錬金術で作成していたポーションを与え彼女を助ける。
「す、すごい……ナオのおかげで助かった……!」
異世界で自由気ままに錬金術を駆使するナオと、彼に惚れた美少女冒険者エルとのスローライフ&冒険ファンタジーが今、始まる!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる