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第1話 奇妙な依頼
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黒スーツを着た若い女、上原は探偵事務所のドアを勢いよく開いた。
「せ、せせせっ、先生! 大変ですっ!」
「なんだやかましい」
椅子で新聞を読む壮年の男、沢田は鬱陶しそうに顔を顰める。
上原は膨らんだ茶封筒を沢田に差し出した。
「これが郵便ポストに入ってたんですけど……」
「ん? ただの封筒じゃねえか」
「いえ、中身の感触がちょっと……」
怪訝そうな上原から茶封筒を受け取り、沢田はハサミでさっさと開封する。
封筒を逆さにすると、札束が滑り出てきた。
沢田と上原は、デスクに落ちたそれをまじまじと見つめる。
「……こ、こりゃ只事じゃねえな」
「一体いくらなんでしょうかね……」
「ざっと百万ってところか」
札束には一枚のメモ用紙が挟まれていた。
メモに気付いた沢田が引き抜き、そこに記されたメッセージを読む。
――朽津間ビル25階3号室にお越しください。依頼の前金は百万円、ここまでお越しいただけたら一千万円差し上げます。
沢田は低く唸り、メッセージを何度か読み直す。
それからメモ用紙を折り畳んで胸ポケットに仕舞った。
彼は眉間に皺を寄せて嘆息する。
「おいおい。怪しすぎるだろうが」
「誰かのイタズラですかねえ」
「金は本物だ。単なる悪ふざけってわけじゃないだろう」
沢田は札束を指でめくって確かめる。
確かにぴったり百枚あった。
上原は不安に満ちた表情で言う。
「どうします? 警察に相談した方が……」
「依頼を受ける。誰だか知らんが、ビルに行くだけで一千万だろ? 断る理由がねえよ」
「さ、さすがに危なくないですか」
「問題ない。ちゃんと準備すればいい」
立ち上がった沢田は、百万円をコートのポケットに押し込んだ。
そして不敵な笑みで助手に問う。
「一千万が入ったら何食いたい? なんでも奢ってやるよ」
「えっ!? じゃあ回らないお寿司! あっ、それと霜降りの肉とか!」
「よし、わかった。この依頼が終わったら全部食いに行くぞ」
「やったー!」
上原は両手を上げて歓喜する。
直前までの不安げな様子は吹き飛んでいた。
そんな上原を一瞥し、沢田は財布を持って事務所の扉を開ける。
「昼メシを買ってくる。その間に朽津間ビルについて調べといてくれ」
「了解ですっ!」
張り切る探偵と助手は、一千万円の獲得に向けてさっそく動き出した。
「せ、せせせっ、先生! 大変ですっ!」
「なんだやかましい」
椅子で新聞を読む壮年の男、沢田は鬱陶しそうに顔を顰める。
上原は膨らんだ茶封筒を沢田に差し出した。
「これが郵便ポストに入ってたんですけど……」
「ん? ただの封筒じゃねえか」
「いえ、中身の感触がちょっと……」
怪訝そうな上原から茶封筒を受け取り、沢田はハサミでさっさと開封する。
封筒を逆さにすると、札束が滑り出てきた。
沢田と上原は、デスクに落ちたそれをまじまじと見つめる。
「……こ、こりゃ只事じゃねえな」
「一体いくらなんでしょうかね……」
「ざっと百万ってところか」
札束には一枚のメモ用紙が挟まれていた。
メモに気付いた沢田が引き抜き、そこに記されたメッセージを読む。
――朽津間ビル25階3号室にお越しください。依頼の前金は百万円、ここまでお越しいただけたら一千万円差し上げます。
沢田は低く唸り、メッセージを何度か読み直す。
それからメモ用紙を折り畳んで胸ポケットに仕舞った。
彼は眉間に皺を寄せて嘆息する。
「おいおい。怪しすぎるだろうが」
「誰かのイタズラですかねえ」
「金は本物だ。単なる悪ふざけってわけじゃないだろう」
沢田は札束を指でめくって確かめる。
確かにぴったり百枚あった。
上原は不安に満ちた表情で言う。
「どうします? 警察に相談した方が……」
「依頼を受ける。誰だか知らんが、ビルに行くだけで一千万だろ? 断る理由がねえよ」
「さ、さすがに危なくないですか」
「問題ない。ちゃんと準備すればいい」
立ち上がった沢田は、百万円をコートのポケットに押し込んだ。
そして不敵な笑みで助手に問う。
「一千万が入ったら何食いたい? なんでも奢ってやるよ」
「えっ!? じゃあ回らないお寿司! あっ、それと霜降りの肉とか!」
「よし、わかった。この依頼が終わったら全部食いに行くぞ」
「やったー!」
上原は両手を上げて歓喜する。
直前までの不安げな様子は吹き飛んでいた。
そんな上原を一瞥し、沢田は財布を持って事務所の扉を開ける。
「昼メシを買ってくる。その間に朽津間ビルについて調べといてくれ」
「了解ですっ!」
張り切る探偵と助手は、一千万円の獲得に向けてさっそく動き出した。
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