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第44話 傷の治療をしてみた
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俺はトロールの死を確認して、起き上がろうとする。
しかし、顔を顰めて吐血した。
トロールに殴られたのは胴体だ。
肋骨が折れたのは確実で、内臓も傷付いたかもしれない。
俺は諦めて横になり、陥没した鎧を外して浅い呼吸を始めた。
(くそ、重傷だな……避けられないなら、せめて防御すべきだった)
やはりトロールの打撃は侮れない。
アンデッド化によって膂力がさらに上がっていたのだろう。
仮に盾で防いだとしても、今度は腕が潰れていた。
防壁の指輪を使えればよかったが、充填した魔力を使い切っていた。
どのみち他に有効な防御手段は無かったのである。
あの場面で上手く乗り切るのがこの先の課題だった。
俺は横になりながら水魔術で治療をする。
負傷箇所が水に覆われて痛みが治まっていく。
水魔術が体内まで浸透して肉体を修復しているのだ。
他の属性にも回復手段はあるが、水属性が最も効果が高いそうなので優先して習得した。
ただし、俺の魔力量では治癒に時間がかかる。
それまでは大人しく待つしかなかった。
目を閉じて集中するうちにビビがやってくる。
どうやら俺の剣を持ってきてくれたらしい。
彼女は心配そうに見つめてくる。
「ご主人、大丈夫?」
「ああ。魔術を習得しておいたおかげだな」
上体を起こした俺は鞄に手を突っ込む。
取り出した鎮痛剤を噛み砕き、回復力を促進させる飲み薬で胃まで流し込んだ。
さらに薬草の軟膏を各所に塗りたくる。
水魔術の治療で大きな怪我は修復している。
あとは時間経過に任せるのが一番だ。
自前の治療具で処置を進めていると、ビビが少し驚いた顔になった。
「……なんだか慣れてるね」
「新人の頃なんて満身創痍になってばかりだった。いちいち医者に任せたら金がいくらあっても足りない。だから自分で処置できるようにしている」
説明しつつ、俺は火魔術で傷を焼き固めて止血する。
仕上げに増血作用のある丸薬を口に含んだ。
そこまで済ませてようやく手を止める。
俺の全身には、過去の荒療治の痕跡がある。
古傷も多く、お世辞にも綺麗とは言い難かった。
ビビはもう見るのに慣れているものの、普通の冒険者に比べても多い部類だろう。
それでも生き延びているので、悪運だけは強いらしい。
魔術を習得したことで治療法が増えた。
今後はさらにしぶとくなるはずだ。
しかし、顔を顰めて吐血した。
トロールに殴られたのは胴体だ。
肋骨が折れたのは確実で、内臓も傷付いたかもしれない。
俺は諦めて横になり、陥没した鎧を外して浅い呼吸を始めた。
(くそ、重傷だな……避けられないなら、せめて防御すべきだった)
やはりトロールの打撃は侮れない。
アンデッド化によって膂力がさらに上がっていたのだろう。
仮に盾で防いだとしても、今度は腕が潰れていた。
防壁の指輪を使えればよかったが、充填した魔力を使い切っていた。
どのみち他に有効な防御手段は無かったのである。
あの場面で上手く乗り切るのがこの先の課題だった。
俺は横になりながら水魔術で治療をする。
負傷箇所が水に覆われて痛みが治まっていく。
水魔術が体内まで浸透して肉体を修復しているのだ。
他の属性にも回復手段はあるが、水属性が最も効果が高いそうなので優先して習得した。
ただし、俺の魔力量では治癒に時間がかかる。
それまでは大人しく待つしかなかった。
目を閉じて集中するうちにビビがやってくる。
どうやら俺の剣を持ってきてくれたらしい。
彼女は心配そうに見つめてくる。
「ご主人、大丈夫?」
「ああ。魔術を習得しておいたおかげだな」
上体を起こした俺は鞄に手を突っ込む。
取り出した鎮痛剤を噛み砕き、回復力を促進させる飲み薬で胃まで流し込んだ。
さらに薬草の軟膏を各所に塗りたくる。
水魔術の治療で大きな怪我は修復している。
あとは時間経過に任せるのが一番だ。
自前の治療具で処置を進めていると、ビビが少し驚いた顔になった。
「……なんだか慣れてるね」
「新人の頃なんて満身創痍になってばかりだった。いちいち医者に任せたら金がいくらあっても足りない。だから自分で処置できるようにしている」
説明しつつ、俺は火魔術で傷を焼き固めて止血する。
仕上げに増血作用のある丸薬を口に含んだ。
そこまで済ませてようやく手を止める。
俺の全身には、過去の荒療治の痕跡がある。
古傷も多く、お世辞にも綺麗とは言い難かった。
ビビはもう見るのに慣れているものの、普通の冒険者に比べても多い部類だろう。
それでも生き延びているので、悪運だけは強いらしい。
魔術を習得したことで治療法が増えた。
今後はさらにしぶとくなるはずだ。
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