音のしない部屋〜怪談･不思議系短編集

短編(1話完結)

いつでも新鮮なホラーを〜「ﾚﾄﾙﾄ三角関係」

『いつでも新鮮なホラー体験をお手軽に提供！！』

謎のキャッチコピーが目に飛び込んできた。
俺は意味がわからずその安っぽい広告に目を向けた。

『TVでホラー番組がやらなくなり退屈しているあなたに贈る新商品！その名も「レンジで3分！すぐホラー」！！こちらの商品は、厳選されたホラー体験を新鮮なうちに現場で鮮度を失わないようレトルト処理された画期的な商品です！電子レンジでチンすれば！身も凍るホラーがお手軽にお楽しみ頂けます！！』

身も凍るホラーなのにレンジで加熱するのは謎だ。
だが持て余した暇とお手頃な価格。
インチキ商品でもそれはそれで面白いと思い購入した俺は、彼女と友人を招いてそれを開封してみる事にした。
ピーッ、と生活感満載な音をたて、レトルトホラーが温まる。
封を破ると、途端に部屋中に臭いが充満するようただならぬ気配が満ちた。
怯えた彼女は、何故か友人に抱きついて離れない。
得意げに笑う友人の顔は悪意に満ち、俺は憎悪を募らせた。