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SF・ファンタジー系
満月ガスとバス
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今夜は満月ガスが発生している為、移動は専用バスを用いなければならない。
ため息混じりに座席に座ると、老紳士が微笑んだ。
「貴方も出勤で?」
「ええ。こんな日はリモートにしてくれればいいのに。考えの古い会社で困ります。」
「私も教員をしておるのですが……。休校になったのに、何かあった時の為に数人は待機するよう言われましてね……。若い人には申し訳なく、老い先短い私が志願しました。」
その言葉に私はどう答えていいのかわからず眉を顰めた。
「そんな事仰らず。大丈夫ですよ、今は昔と違って対策は万全ですから。」
「そうなんですけどね。昔を知っている分、やはり気が滅入ります。」
言葉少なく老紳士は言った。
満月ガスは30年ほど前に現れ、当初は原因がわからず、多くの犠牲者を出した。
「でも、月になるのも幸せな事かもしれませんね。」
そう言って肥えた月を見つめる老紳士の顔は、私の心に妙に残った。
ため息混じりに座席に座ると、老紳士が微笑んだ。
「貴方も出勤で?」
「ええ。こんな日はリモートにしてくれればいいのに。考えの古い会社で困ります。」
「私も教員をしておるのですが……。休校になったのに、何かあった時の為に数人は待機するよう言われましてね……。若い人には申し訳なく、老い先短い私が志願しました。」
その言葉に私はどう答えていいのかわからず眉を顰めた。
「そんな事仰らず。大丈夫ですよ、今は昔と違って対策は万全ですから。」
「そうなんですけどね。昔を知っている分、やはり気が滅入ります。」
言葉少なく老紳士は言った。
満月ガスは30年ほど前に現れ、当初は原因がわからず、多くの犠牲者を出した。
「でも、月になるのも幸せな事かもしれませんね。」
そう言って肥えた月を見つめる老紳士の顔は、私の心に妙に残った。
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