ぐしゃり

秋彩

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小学校の頃

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小学校の頃を思い出してみる。

1、2年生の時は仲のいい友達ができて楽しく過ごしていたが、知らない他クラスの子にいじめと定義する程ではないけれど普通に傷付くようなことを言われていた。でも、あまり気にしていなかったようで、自殺による死は見たことがなかった。当時見る死はだいたい交通事故だった。登下校の時に車が自分の所に突っ込んでくる、横断歩道を渡っているときに撥ねられるなどのものだった。そもそも当時は死を見ることはほとんどなかった。良くも悪くも子供だったので特に何も考えずに楽しく過ごしていたのだろうと今になって思う。
 ただ一つ、印象的な死がある。それはだった。給食に出たわかめご飯を食べている時に起こった。何が原因かはわからないが、わかめご飯を盛大に吐いてしまった。クラスがざわめきパニックになっている横で、もう1人の私が死んでいた。その後、食中毒やノロウイルスなどの病気を疑われて保健室に行った。毒死した私を見たせいかなんとなく気持ち悪いような気がして、しばらくベッドで横になって、改善しなかった場合は早退することになった。保健室にはカーテン越しにベッドが2つある。カーテンの先のベッドで寝ている人影が見えた。
「先客がいるんですか」
と保健室の先生に聞くと、
「いないよ、ゆっくり寝てていいからね」
と言った。先生に促されてベッドに入りカーテンが閉められる。ベッドを仕切るカーテンを覗くと、さっきの私が横たわっていた。どう見ても死んでいた。苦しいかったんだろう、口から血が出ていて目は開いていた。ギロッと眼球がこちらを向いたような気がした。私はビクッと驚いてシャッとカーテンを閉めて布団に包まりガタガタ震えた。昼休みが終わっても震えは止まらず、早退することになった。母が迎えに来て保健室を出る時にベッドの方を見ると、私の死体はなかった。

 3年生の時、幻覚が現実になった。轢き逃げにあったのだ。習い事に向かおうとして自転車を漕いでいる時に車が突っ込んできて、ボンネットやフロントガラス、ルーフに激突するように車の上を転がって吹っ飛ばされた。車はそのまま走り去っていった。当時の私はケータイなんて持っておらず、車の知識もほとんどなく、ナンバーを覚えておけるほど切り替え上手でもなかったためぽかんと車が通った道を見ていた。少し離れたあたりに、ぐにゃぐにゃになった自転車と散らばった習い事カバンが落ちていることに気がついた。取りに行くために立ち上がろうとしたとき、ガクンと身体が崩れた。この時初めて私は事故にあったんだ、怪我をしたんだと自覚した。自覚した途端身体が痛くなってきた。とにかく立とうとする。右脚に力が入らない。少しでも右脚に体重を乗せると崩れてしまう。かといって左脚もじわじわ痛むのであまり上手に歩けない。もはやずり這いに近い状態で自転車まで移動して自転車に靠れるように立ち上がった。自転車がガラガラと音を立てる。自転車まで崩れてしまわないかと心配になりながら家に戻った。
 インターホンを押し母に怪我したことを伝えて玄関まで来てもらった。
 「なにそれ」
私を見た母からの最初の一言はこれだった。
「轢き逃げにあったっぽい。凄いスピードで車は行っちゃった」
「すぐに病院に行くわよ、少しそこで座ってなさい」
と家の中に戻っていく。病院に行くことになるなんて、大事になってしまったなと思った。私は病院が怖かった。痛い診察は嫌だな、と恐怖で震えた。脚が痛んだ。母が荷物を持って戻ってきた。
「これ当てておきなさい」
とガーゼを渡された。
「どこに?」
と聞くと、
「気付いてないの、血出てるわよ」
と呆れたように言って額にガーゼを当てた。
 病院に着くと看護師に車椅子に乗せられた。どこかどんなふうに痛いか沢山聞かれたが、
「よくわからない、そんなに痛くもない」
と答えて困らせてしまった。全身の検査を受けた結果、全身打撲、右脚は骨折しており左脚もヒビが入っていた。頭はかすり傷で脳への影響はなかった。全治2ヶ月と診断された。ギプスと包帯を装備させられた脚と貸し出された松葉杖を見て、松葉杖を使う練習や階段を座りながら登る練習をして、
「怪我したんだぁ、私」
と呟いた。

 学校まで母に車で送り迎えしてもらい、松葉杖を着いてゆっくり校門を通る。
「えっマジで松葉杖じゃん!大丈夫!?」
と友達が駆け寄ってきた。
「えへへ~、轢き逃げにあっちゃって」
「マジ!?テレビとかで聞く事故じゃん!あっランドセルとか持つよ!」
と荷物を持ってくれた。
「ありがとう」
と言ってゆっくりゆっくり進んでいった。
「教室1階でよかったよね」
「本当にね」
と言ってドアを開けてもらう。ワッとクラスメイトがザワつく。私の席は一番後ろだった。松葉杖はロッカーに立てかけておけばいいだろう。無事に教室にたどり着いてほっとした。
 担任の先生が来て、チャイムが鳴り朝学活が始まる。
「え~、皆もわかっているように佐久間さんが交通事故に遭ってしまいました。事故に遭った時の話をしてもらいましょう」
と先生がいきなり言った。わっと教室中の視線が集まる。そんなこと聞いていない。これだからこの先生は嫌いなんだと腹が立った。
「いや…別に特別なことは無いんですけど、習い事に行くために自転車を漕いでいたら車に轢かれました」
と事実だけ言った。
「泣かなかったの?」
と聞かれ、泣くわけないだろと思いながら
「泣いてないです」
と答えた。
「凄いね!きっと凄く痛かっただろうにね!皆も気をつけましょうね!」
と先生が話を締めた。あまりに雑な締め方にまた腹が立った。一々皆の前で話させなくてもいいのに…と恥ずかしい気分になった。ぐしゃり、と音がした気がして窓の外を見るも誰もいなかった。
  完治するまでの2ヶ月間、母と担任の先生が話し合った結果、学校付近が子供で混雑する授業開始前に車で私を送るのは大変であるとなったようで、1時間目に少し遅刻する形で登校することになった。その期間、先生に対して腹が立つことが沢山あった。教室の向かいにある図工室にいる図工の先生には、
「重役出勤ねぇ」「もうそんなに痛くなかったりして」
と嫌味を言われて笑われた。
「なんでそんなこと言うんですか?」
と聞いても笑って私の横を通り過ぎるだけだった。夏だったのでプールの授業があり、見学をしていたときは、突然
「見学の態度が悪い!」
と言われ公開説教を食らった。態度悪くしていたつもりは全くなく非常に驚いてしまった。一緒に見学していた他のクラスメイトは気にしていない様子だったのにも腹が立った。腹が立ったタイミングで毎回ぐしゃり、と音がする。音がするだけで誰もいないのだ。
 怪我が治ってからは腹が立つことを言われなくなり、音がしなくなった。また、交通事故の幻覚も見なくなった。

 4年生になってからは大変だった。私もだが、母も大変だったろう。あまりにも早すぎる反抗期が来た。毎日喧嘩しており、泣かされることも多かった。そして、泣く度に私が死んでいた。
 早すぎる反抗期の原因を振り返ってみると、弟の存在が問題だった。私には3つ下の弟がいる。弟は発達障害で、早くから療育に通っていた。私には障害はなかったため、母は無意識に「お姉ちゃんなんだから」と「修は発達障害なんだから」を合わせたプレッシャーを私に与えていた。私には家族の全ての中心が弟であるように見えた。弟が飽きっぽい性格のせいで家族旅行の行き先はテーマパークや動物園、海水浴場などアクティブな場所だった。弟の好き嫌いが激しいせいで私は大学生になるまで旅館で懐石料理を食べたことがなかった。弟の成績が悪いせいで「修が学校で過ごしやすくなるために優等生であれ」と言われ続けた。このプレッシャーに耐えられず爆発したことが何度かあるが、最初がこの早すぎる反抗期だったのだ。
 私は決まって「修の方が大事なくせに」「修ばっかり贔屓して」「私はいらないんでしょ」と泣き喚いていた。それに対して母がどう答えたのかは覚えていない。だが、その後の行動はわりと覚えている。
食器を投げられた。割れた食器で指を切った。浴室に一晩閉じ込められた。寒さで風邪をこじらせた。
家から追い出され一晩締め出された。向かいの老夫婦の家に入れてもらい夜を越すことができた。
それらの私の危機のときには必ず死体が現れた。食器を投げられた時は頭に直撃して血を流して死んでいた。浴室に一晩閉じ込められた時は凍え死んでいた。一晩家から締め出されたときは誘拐されてどこかに消えていった。私の苦しみを代わりに受けてくれているような気がして、なんとなく頼もしく感じたのだった。
 私の反抗期は1年で終わった。死体と共に強くなったのだ。母は安心した表情をしていた。相変わらず私への圧は強かった。全て死体が身代わりになってくれた。常にぐしゃり、と音がしていた。

 5年生の時、死にかけた。
 友達と校庭で遊んでいたとき、他の人にぶつかった衝撃で後ろに倒れてしまって意識を失った。倒れた場所はは煉瓦で出来た道だった。白目を向いて痙攣して泡を吹いていたそうだ。すぐに保健室に運ばれた。意識が朦朧としていて、保健室に着くなり吐いた。何度も何度も吐いた。吐く度に顔色が悪くなり、母が学校に着くなり救急車を呼び、病院に運ばれた。救急車の中でも何度も吐いていたらしい。沢山の頭の検査をして、意識が戻るまで点滴をしていたそうだ。
 私はこの事故の影響でこの日の2週間前までの記憶をなくしてしまった。今までのは全部母が言っていたことだ。
「ほんと、流石に死んじゃうんじゃないかと思ったわ」
と語っていた。短期間の記憶を喪ってしまったものの、脳に異常はなかったらしい。だが、あれ以上吐いていたらもっと酷い後遺症が残ったかもしれないし死んでいたかもしれないらしい。
 あのとき、もう1人の私はいたのだろうか。同じように私の横に倒れて死んでいたのだろうか。倒れた私を見下ろしていたのだろうか。あの日はもう1人の私が私を殺そうとしていたのではないかと考える。もしあの時即死していたら頭が飛び散ってぐしゃり。吐き続けて苦しんで死んだとしても血液と吐瀉物にまみれてぐしゃり。ゾッとする。
 幸いにも1日で回復したので翌日は学校に行った。その日は音楽会で、私の体調を考慮して私の出番が終わったら帰ることになっていた。大抵の児童は鍵盤ハーモニカかリコーダーだが、私はオーディションに合格してアコーディオン担当だったので舞台に上がることになっていた。楽しみにしていたイベントだったので無事に参加することが出来る喜びを噛み締めて舞台上を歩いて定位置に行く。舞台からの景色を見て生きていることを実感した。2週間前までの記憶は戻らないけれど譜面は身体が覚えていた。ソロも担当していたが完璧に弾けて、ソロの後に拍手が入るほどだった。演奏が終わって全員でお辞儀をして順番に座席に戻っていく。舞台の人は1番最後に降りるので舞台からの景色を見て余韻に浸っていた。ふと天井付近にあるカーテンの方を見る。カーテンの前にはカーテンと窓を開閉したり、照明機器を操作したりするために通路があった。そこに私が立っていた。私は通路に設置されている柵を乗り越え、ぐしゃり。飛び降りた。一部始終を見るのは初めてだった。目が離せなかった。私は体育館のど真ん中に落ち、死体を中心に血溜まりを作っていた。
「進んで」
と隣の女の子に言われるまで飛んだ私を見ていた。舞台を降りながら死体を見る。その横を通るルートだったのでその時だけ見ないように必死に目を逸らした。血溜まりを踏んでしまった。そのとき、
「また私が死ぬのかよ」
と声がした。驚いて恐る恐る死体の方を見る。仰向けで眼球はこちらを見ていた。速歩でその場から去った。先生に呼ばれて母と共に早退した。
「無事に終えられてよかったね。記憶は戻った?」
「ううん」
「そっか、身体が覚えててくれたんだね」
母は楽しそうに話し、褒めてくれた。だが、私はあのことばかり考えていた。
 下駄箱で上履きを脱ぐときに靴底を見た。血は付いていなかった。

 6年生。もしかしたら小学生時代で1番充実していたかもしれない。楽しかった記憶しかない。ほとんどあの死体は現れなかった。
 6年生といえば修学旅行と卒業式だろう。修学旅行は日光に行った。まぁ、東照宮に行ったことくらいしか思い出せないのだが。6年生は本当に幸せだったようで、死体を見ることは1度もなかった。クラスの中心的なグループに属し、友達も多く、習い事も沢山やって多忙で充実した日々を送っていた。
 小学校を卒業する際に、卒業アルバムと共に卒業文集が作られる。当時の私は卒業文集に何を書くか、非常に悩んでいた。将来の夢についてというテーマだった。私には夢がなかった。卒業文集という後世に残る場で語るに相応しい夢がなかったというのが正しいかもしれない。習い事は沢山やっていたのだからどれかに関するプロになりたいと言えば良いだろうと思うかもしれない。私の夢は他にあった。歌手だ。私は歌うのが大好きだった。私の歌声は人よりかなり高く音域も広いようで、どんな歌でも歌えた。滑舌も非常良かったのでラップなど高難易度な歌詞も完璧に歌うことが出来た。絶対音感を持つ母親譲りで私も絶対音感を持っていて、音楽に関しては不得意なものなどなかった。でも、大袈裟な夢は語ってはいけない、持ってはいけないと思っていた。私の夢は所詮夢であり、叶うわけないのだと思っていた。夢を叶えられる人はほんのひと握りであることを知っていた。人類の99%は凡人で人生を終えることを知っていた。だから、夢を語るのは辞めた。
 そうなると小学校時代の過去を振り返り語る用の夢を作り上げるになる。色々なことがあったが、そこにはほぼ必ず私の死体があった。
 あの死体はなんなんだ。あの存在はなんなんだ。私が辛い思いをしたときに死んでいたと思えば、私が死にそうになったときに姿を見せなかったり。一貫性が無さすぎる。あれは基本的に楽しいときには現れない。運動会のときも遠足のときも現れなかった。でも、音楽会の時は目の前で死んで恨み言を言ってきた。
「また私が死ぬのかよ」

私はいつか近いうちに死ぬのか?あの日のことが思い返された。もうほかのことを考えられない。私は『死ぬとは』というタイトルで下書きを提出した。担任は、
「何だこの文章は、テーマに添った内容にするのは大前提だろう?君は文章が上手いんだからいくらでも夢を語れるだろう?」
と突き返した。結局、当時習っていた新体操の選手になりたいと書いた。
 卒業式。皆泣いていた。私は泣けなかった。私は感動泣き、寂し泣きができるタイプじゃない。仲の良い友達は皆泣いていた。皆は同じ中学に行くのに。私は学区の関係で仲の良い友達と同じ中学に行くことが出来なかった。彼らは私に抱きついて泣いている。私との別れを悲しんだ涙だった。
「泣かないの?」
と聞かれた。
「泣けないの。皆と離れ離れなんて想像がつかなくてね」
とそれらしく返した。彼らとの別れが悲しいのは確かだった。ずっと一緒にいることが当たり前だと思っていたのが急に切り裂かれてしまう。その事実が悲しくないわけないのだ。でも、泣けなかった。
「離れたくないよ」
と友達を抱きしめた。別れたいのはあの死体だけ。友達との別れを惜しみながら
「さようなら」
と言って校門を通った。
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