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本編
第10話 暁の吐露①
しおりを挟む生まれた時から、俺には何不自由のない生活と将来が約束されていた。
幼い子ども時分から、俺は周囲からは
「変わった子」
「行動がおかしい」
と遠巻きに口にされていた。
成長するにつれて、
「変人」
という一言に集約されるようになっていき、同年代の人間達も俺にはあまり近寄って来なかった。
それでも、そういった言葉や話などを目の前で誰一人としてしないのは、両親や家の影響が大きく関係していることも理解出来ており、寧ろ、煩わしい人間が側に寄ってこないこと自体、
「そうなんだ」
の一言で終わっていた。
本当に興味がなかったのだ。
その頃のことを思い出すことすら至難の極みである。
俺には両親と弟がいて、両親は「変人」と言われる俺の行動や思考にため息を吐いても、仕方がない、と切り替え、俺に色々なことに挑戦させる時間を設けさせた。
結果として、十一歳になった時、両親の薦めで体験学習として経験した絵の魅力に惹き付けられ、絵画の世界に没頭した。俺が絵の才能を認められるようになっていくと、両親は早々に家を継ぐ後継者を弟の悠生に決め、悠生と俺の幼馴染だった友香が悠生の婚約者となった。
十三歳になったある日、俺に新しい家族が出来た。
父の亡くなった親友の娘。俺とは六歳年下の日月、という少女。
最初は小動物のように怯えていた日月も、日に日に家族として打ち解けていき、俺が中学二年生に上がる直前、両親からの打診により、俺の将来の妻となることが決まった。
そう聞かされた時も、俺は
「そう」
の一言だけ。
同じ年の男子が騒ぐ「彼女」という存在にも恋愛にも興味がまるで湧かなかった。
恐らく、というか、絶対にそのことを察知していた父と母が、
「このままでは将来の生活には困らなくても、結婚は出来ないかもしれない!」
という危機感を抱いて早々に婚約者と定めたのだろう。
両親の心配は当たらずとも遠からずで、絶対に起こり得る未来であった。
勿論そこには、養女として迎え入れた日月を、嫁に出さずにすむ、という打算も交じっていたのだろうが。
妹であり、婚約者の日月は、最初こそ俺にどう接したら良いのかわからない、という雰囲気だったが、次第次第に懐いてくるようになった。
・・・面倒だったから、無難なく人当たりの良い人間として接していた俺に心を許したようだ。
新しい家族に俺は興味が湧かなかった。
ただ、無心に絵の世界に没頭する日々。
高校生になった俺は、そこで転機となる出会いをする。
高校生ながら、既に一流モデルの仲間入りをしている妃奈。
絵のモデルとなってもらい、三年生に進級した直後から、身体の関係を持つようになった。
それは大学生、大学卒業後も続く関係となったが、誰からも特に何を言われることもなかった。
当然かもしれないが、婚約者である日月との年齢差を考えると、手を出すことなど出来はしない。
しかし、大学二年生になった頃から、弟の悠生が、同じことをしつこいぐらいに言ってくるようになっていた。
「兄貴は日月と結婚するんだから、女性関係は早々に清算したほうがいい」
当たり前のことを言われて、何度も訝しむ俺に、悠生は苛立っているように思えた。
日月が十六歳になった時、入籍を済ませたが、キチンとした式は二十歳、と決められていた。
結婚後も妃奈との関係は続いたが、元々身体の弱かった日月に手を出すことはいけないことなのだ、と勝手に思い込み、そういったことはキチンと式を終えてからなのだ、と考えていた。
妃奈が絵のモデルを務める上で、俺に望んだことはただ一つ。
その時は、それを疑問に思うこともなかった。
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