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キャサリンと絵美李
キャサリンと絵美李の場合 4-1
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キャサリンが旅行に行って三日経つ。絵美李は夏期特別講習に参加していた。夏休みの間、希望者のみ学校で授業が受けられる。各科目計五時間ほどで、一科目あたり五百円と塾の夏期講習と比べれば断然安い。大学進学を希望する身としては参加しない理由は無かった。しかし、勉強に身が入らない。暑さのせいだろうか。こんなにエアコンが効いているのに?
「島津さん、大丈夫?」
数学教師の谷沢先生が心配そうに声をかけてくれる。そんなにだったのだろうか。できる限り元気そうな顔で「すみません。大丈夫です」と答える。先生は「無理はしないでね」と返して授業に戻る。
任意の参加だけあって教室内の空気は真剣だった。最前列に座っていても分かる。今日の自分にとってここは場違いなのだろう。授業開始時に配られたプリントに目をやるよう指示される。問題がびっしりと並んでいる。先生はそのプリントを各々解くように言うと、カリカリとペンの走る音が流れ始める。たった今まで例題を解説していたところなので決して難しくはなかった。
全問題の回答が終わったところで、ちょうど手を止めるように言われた。見直しができなかった。少し時間がかかってしまったようだ。
順番に当てていくらしい。黒板に途中式を書く必要はないので安心した。自分が当てられたところは正答していたが、別のところで二問ほど間違えていた。
黒板を見るフリをして顔を上げ、視線を黒板右上の時計へと向ける。十三時二十五分、あと五分で授業終わりだ。
「宿題配って終わりにしましょうか」
A5のプリントが配られる。今日の範囲内の問題が五問。最後の一問は数学にしては長文が書かれているので応用といったところだろうか。先生が教室を出ていくと生徒の歩く音や話し声が聞こえはじめる。一緒に受けていたクラスメイトが声をかけてきてくれる。一緒に遊びに出かけるというほどではないが、学校内ではよく話すような関係だ。彼女と別れて学校を出る。こんな日はさっさと帰宅してクーラーの効いた部屋で横になるに限る。
帰宅してすぐ、自室のドア越しに妹の真里の声がする。
「お姉ちゃーん、私のアイス知らない?」
「知らない。お父さんじゃない? 前科あるし」
「もー、二倍にして返してもらうんだから!」
フフッと笑ったところでスマホにメッセージがくる。少し期待して開くと家族グループで母親からだった。
『遅くなりそうなので夕飯お願い』
真顔になったのを自覚した。キッチンへ行き、冷蔵庫の中を見る。少し考えた後、真里の部屋のドアをノックする。
「お母さんからのメッセージ見た?」
「うん、どうする?」
「チャーハンとシュウマイか焼きそば。どっちがいい?」
「焼きそば!」
「分かった」
自室へ戻って返信を打つ。
『了解。焼きそばにします』
十七時ころ、先に野菜だけ切っておこうかと思いキッチンへと向かう。手慣れたというほどではないが戸惑いなく野菜の下準備を済ませる。ふとマヨネーズが無いことに気が付く。しかし、今から出かけるのは面倒くさい……。真理の部屋へ向かう。
「真理、マヨネーズ買ってきて」
「嫌だー、出かけたくない」
「私とお母さんマヨネーズかけないし。そうだ、好きなアイス買ってきてお父さんに請求しちゃいなよ。自腹じゃないんだからコンビニでもいいじゃない」
「……分かった」
お風呂を洗い始めようと思ったところでスマホが鳴る。電話だ。画面には『キャシー』と表示されていた。
「島津さん、大丈夫?」
数学教師の谷沢先生が心配そうに声をかけてくれる。そんなにだったのだろうか。できる限り元気そうな顔で「すみません。大丈夫です」と答える。先生は「無理はしないでね」と返して授業に戻る。
任意の参加だけあって教室内の空気は真剣だった。最前列に座っていても分かる。今日の自分にとってここは場違いなのだろう。授業開始時に配られたプリントに目をやるよう指示される。問題がびっしりと並んでいる。先生はそのプリントを各々解くように言うと、カリカリとペンの走る音が流れ始める。たった今まで例題を解説していたところなので決して難しくはなかった。
全問題の回答が終わったところで、ちょうど手を止めるように言われた。見直しができなかった。少し時間がかかってしまったようだ。
順番に当てていくらしい。黒板に途中式を書く必要はないので安心した。自分が当てられたところは正答していたが、別のところで二問ほど間違えていた。
黒板を見るフリをして顔を上げ、視線を黒板右上の時計へと向ける。十三時二十五分、あと五分で授業終わりだ。
「宿題配って終わりにしましょうか」
A5のプリントが配られる。今日の範囲内の問題が五問。最後の一問は数学にしては長文が書かれているので応用といったところだろうか。先生が教室を出ていくと生徒の歩く音や話し声が聞こえはじめる。一緒に受けていたクラスメイトが声をかけてきてくれる。一緒に遊びに出かけるというほどではないが、学校内ではよく話すような関係だ。彼女と別れて学校を出る。こんな日はさっさと帰宅してクーラーの効いた部屋で横になるに限る。
帰宅してすぐ、自室のドア越しに妹の真里の声がする。
「お姉ちゃーん、私のアイス知らない?」
「知らない。お父さんじゃない? 前科あるし」
「もー、二倍にして返してもらうんだから!」
フフッと笑ったところでスマホにメッセージがくる。少し期待して開くと家族グループで母親からだった。
『遅くなりそうなので夕飯お願い』
真顔になったのを自覚した。キッチンへ行き、冷蔵庫の中を見る。少し考えた後、真里の部屋のドアをノックする。
「お母さんからのメッセージ見た?」
「うん、どうする?」
「チャーハンとシュウマイか焼きそば。どっちがいい?」
「焼きそば!」
「分かった」
自室へ戻って返信を打つ。
『了解。焼きそばにします』
十七時ころ、先に野菜だけ切っておこうかと思いキッチンへと向かう。手慣れたというほどではないが戸惑いなく野菜の下準備を済ませる。ふとマヨネーズが無いことに気が付く。しかし、今から出かけるのは面倒くさい……。真理の部屋へ向かう。
「真理、マヨネーズ買ってきて」
「嫌だー、出かけたくない」
「私とお母さんマヨネーズかけないし。そうだ、好きなアイス買ってきてお父さんに請求しちゃいなよ。自腹じゃないんだからコンビニでもいいじゃない」
「……分かった」
お風呂を洗い始めようと思ったところでスマホが鳴る。電話だ。画面には『キャシー』と表示されていた。
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