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6.文化祭 ※女装注意
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しおりを挟む「広瀬陽登って知ってる?同じ学年にいるはずなんだけど」
突然出された陽登の名前に千傘は怪訝な顔になる。
「俺そいつと同中でさ、そこの高校行ったって噂聞いたから今どうしてんのかなと思って」
短髪でシャツをだらしなく着崩したその男はずっと隣でうるさくていい印象とは言えなかったが、中学の時の陽登の事が少し気になって、千傘は友達の友達は友達だし悪いやつではないだろうと「知ってる」と答えた。
陽登と友達なのか、どういう知り合いなのかはしらないが、仲良くなれば陽登のことをもっと知れるかもしれないし友達なら写真とか持ってるかも、という下心はあった。
知っているという言葉に相手は含み笑いを浮かべ、千傘は一瞬あれ、と違和感を覚える。
「まじ?あいつ中学の時超いじめられてたんだよね。げんきしてる?」
明らかに言う必要のない悪意と皮肉のこもった言葉に千傘は面食らい反応が遅れた。
「懐かしいなー。教室でもらしてくせえってみんなに言われててさー、みんなでトイレ行けないようにしてたら漏らし癖ついたのか途中からおむつしてくるようになって、あれほんと面白かったわ」
ケラケラ笑う目の前の男がこれを言うために陽登のことを態々聞いてきたのかと思うと沸々と怒りが湧いて千傘は頭に血が上り、右手の拳を握った。
「何が面白いんだよ。面白くねーよ」
目の前の男がいくら最低でも殴ってはいけない。千傘は自分に言い聞かせ、感情を抑えようとぎゅ…とさらに拳を握りしめる。話に加わっていなかった残りの部屋のメンバー2人が空気を読まずに悪乗りをして陽登の同級生の男を助長した。
「なんのはなしー?中学でおむつ?」
「やば、頭おかしいじゃん」
「本当にやばいやつだったよ。皆で赤ちゃん扱いして広瀬がしゃべるとバブバブ返事してた」
「それはお前らもやばいだろ」
突っ込まれると「たしかに」と陽登の同級生は笑う。
「もうやめろよその話」
千傘は聞いていられなくて止めるが彼は構わず話し続ける。
「あいつ本当にキモくてさ~どもって何言ってるかわかんねえし、すぐ謝るし。赤ちゃんには早いでちゅよ~って制服脱がせて窓から制服投げた時は流石に号泣してたな」
「おい、やめろって言ってんだろ」
千傘が真剣に声を張ってもまるで効いていないようで、相手は楽しそうなままだった。
おむつ履いてるのをオカシイと言ったやつもさすがの度を超えたいじめの証言に少し引きはじめる。
「いや~おむつはないけど、それはさすがに引く」
「でも先生も悪乗りして一緒遊んでたから全然怒られなかったぜ」
「治安悪すぎるだろ」
微妙な空気の笑い声がカラオケの中に響いた。
「んでどう?さすがに広瀬も高校ではおもらし卒業した?あ、こればらしちゃって悪かったかな~」
最初から悪意を持って千傘が止めてもなおペラペラと陽登の恐らく知られたくないであろう過去を語ったくせに、今更言葉だけ取ってつけたように悪びれるそいつが許せなかった。
息が上がる。
冷静に、冷静になれ。
千傘は自分に言い聞かせる。
「ああそういえば広瀬あいつ、フ◯ラもうまいよ。今度試してみれば?」
ドゴッ
と鈍い音がなり、机が音を立ててずれ、ドサッっと人の倒れる音とともにスイッチを切り忘れていたマイクが落ちて
キィィィィンッ
とハウリングの音がカラオケの狭い部屋の中に響いた。陽登の同級生の男は床に突っ伏して倒れている。右手がじんじんと痛む熱さで千傘は自分が殴ったことに気付いたが、後悔は全くなかった。
男は殴られた左ほおを押さえて床から少し起き上がり苛ついた様子をあらわにしながらもまだ笑っていた。
「は?なにまじな顔してんの。痛いんですけど」
拳一つ分の痛みもかけらほども心に効いていない様子の鈍感な男が許せず千傘は馬乗りになって片手で男の首根っこをつかみ、もう一度右手を振りかぶる。するとちょうどトイレから帰ってきた良太が焦ってその手を取りおさえた。
「千傘!?おまえなにしてんだよ!!!やめろって!ほら、な??」
止める良太と反対に殴られようとしている相手はさらに千傘を煽るように喋りつづける。
「殴れば?キモいやつのことキモいって言って何が悪いの?やばいやつ教えてあげて感謝して欲しいくらいだ」
「てめぇ…!」
あまりにふざけた物言いに良太を振り払って千傘がまた相手に殴りかかろうとすると、良太が強引に間に入って身代わりになった。
「いってぇ!!」
良太が鼻を押さえて蹲る。
「は!?良太おまえなに庇ってんだバカ!」
「俺がこいつ庇ってるように見えるか!?いいから頭冷やして帰れお前、警察沙汰とかになったらやばいって」
「どけよ良太」
「どかねぇって!!」
殴られた男は良太の言葉を聞いて思いついたようにそうだ警察だなんだと騒ぎ、被害者ぶるそいつが許せず手近にあったコーラのコップをその男に投げつけてまた殴りかかろうとしたところで店員と近くにいたらしい学校の先生が偶然現れとめられる。
先生はカラオケ店に平謝りで仲裁をしてくれ、なんとか警察沙汰にならずに収まった。
良太のケガも鼻血は出したものの大したケガはしてないようだった。
「でっかい貸し1な」
良太は笑った。
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