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第1章 Aria ~国立能力研究所~(未来 中学生)
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ずきずきとした痛みにぼんやりと目を開けた未来は自分が何もない闇の中にいる事に気が付いた。右を見ても、左を見ても何も見えない。いつもの夢と似たような光景。でも、明らかに違うのは、未来自身の姿も見えないという事と、未来の足元にごつごつとした地面がある事だろう。
あの時、やはり殴られ、おそらく気絶をしてしまったのだろう。脳裏に浮かぶのはあの時に聞こえてきた小さなつぶやき。アレはどういう意味だろう。未来は未来や過去を夢で見たに過ぎない。実際あの場所にいたわけではないのに、あの女性は未来の気配を感じたというのだろうか?
未来はゆっくりと立ち上がり、手探りであたりを探る。初めに触れたのはなじみ深い鞄だった。学校で使っている鞄で、全てがここに入っている。その鞄を取り上げられなかったことにほっと息をついた。カバンの中にはスマートフォンが入っている。ここがどこだかわからないが、たとえ圏外でも明かりを得る事はできる。
手探りでスマホを取り出した未来はスマホを開け、そこから懐中電灯のアプリを起動した。スマホから強い光が漏れる。照らしてくれる範囲はさほど多くはないが、それでも周囲の状況を知るうえでは役に立つだろう。
未来は自分が予想外に冷静なことに内心驚いた。こんな状況は初めてのはずなのに、なぜか初めてだという気はしない。夢を通して体験したことがここで生きているのだろうか。
「大丈夫、大丈夫」
それでも暗い中にいると嫌な気分になってくるため、何度も、何度も小さな声で呟いた。
スマホの明かりで周囲を照らす。周りには木々が生い茂っているらしい。照らしてみてわかったことだが、既に真夜中近いかと思っていた時間はさほど遅くはなさそうだ。木々に遮られた頭上に小さな明かりが見えた。さほど強くはないから夕方くらいだとは思うが思ったより早い時間のようだ。
「あ……そうだ、時間見ればいいじゃん」
未来はわざと声に出してみる。思ったよりは冷静だとはいえ、音ひとつない真っ暗な空間にいると気が狂ってしまいそうだ。アレを見た直後だからか、余計に静かな空間が嫌だった。
スマホの時計を確認すると時刻は七時を少し回ったくらいだった。時間にしてだいたい一時間位気を失っていたことになる。
さわさわと風が通る音が聞こえる。
「森、あれから1時間……ここってもしかして、悪魔の森の奥?」
確証はないが、声に出して言ってみると間違えはないような気がする。さほど遠くまで動いてはいないだろうが、自殺の名所とまで言われるこの場所に長くいるのは嫌だ。未来の目には写らないが、実際に亡くなった人がウヨウヨと浮いているのではないだろうかと、体の底からの恐怖を感じた。
「た……助けて……」
場所を自覚すると、さっきまでなかった恐怖を感じた。今更ながら、誰にも、千鶴にさえ伝えずにこの場所に来た事を後悔した。何で、誰にも言わなかったのだろう。千鶴には『何かあったら相談する事』と再三言われてきた。能力に関係のある事柄である以上、今回の件はまず、千鶴に相談すべき案件だったはずだ。
ザッザッと何かを踏みしめる音が聞こえてきて、ビクリと体を震わせる。でも、視界の隅に、遠く離れたところにゆらゆらと揺れる明かりを見て、ほっと息をついた。アレは、懐中電灯の明かりだ。人が来たのだ。
「佐川未来」
叫ぶように聞こえてきた声に、小さく息をつく。千鶴の声だ。
他に何人かいるようだが、助かったのだとほっとした。あの子供のように、小さな命のように失われてしまうんじゃないか、と思っていたからこそ余計にほっとした。
能力で人を傷つけた未来が能力で命を失う事が神に与えられた罰だとしても、それを黙って受け入れる勇気は、未来にはまだないらしい。
「三波……さん……」
小さなつぶやき声と共に未来は再び意識を失った。さっきまでの恐怖ではなく、助かったことによる安堵の気持ちが強かった。
あの時、やはり殴られ、おそらく気絶をしてしまったのだろう。脳裏に浮かぶのはあの時に聞こえてきた小さなつぶやき。アレはどういう意味だろう。未来は未来や過去を夢で見たに過ぎない。実際あの場所にいたわけではないのに、あの女性は未来の気配を感じたというのだろうか?
未来はゆっくりと立ち上がり、手探りであたりを探る。初めに触れたのはなじみ深い鞄だった。学校で使っている鞄で、全てがここに入っている。その鞄を取り上げられなかったことにほっと息をついた。カバンの中にはスマートフォンが入っている。ここがどこだかわからないが、たとえ圏外でも明かりを得る事はできる。
手探りでスマホを取り出した未来はスマホを開け、そこから懐中電灯のアプリを起動した。スマホから強い光が漏れる。照らしてくれる範囲はさほど多くはないが、それでも周囲の状況を知るうえでは役に立つだろう。
未来は自分が予想外に冷静なことに内心驚いた。こんな状況は初めてのはずなのに、なぜか初めてだという気はしない。夢を通して体験したことがここで生きているのだろうか。
「大丈夫、大丈夫」
それでも暗い中にいると嫌な気分になってくるため、何度も、何度も小さな声で呟いた。
スマホの明かりで周囲を照らす。周りには木々が生い茂っているらしい。照らしてみてわかったことだが、既に真夜中近いかと思っていた時間はさほど遅くはなさそうだ。木々に遮られた頭上に小さな明かりが見えた。さほど強くはないから夕方くらいだとは思うが思ったより早い時間のようだ。
「あ……そうだ、時間見ればいいじゃん」
未来はわざと声に出してみる。思ったよりは冷静だとはいえ、音ひとつない真っ暗な空間にいると気が狂ってしまいそうだ。アレを見た直後だからか、余計に静かな空間が嫌だった。
スマホの時計を確認すると時刻は七時を少し回ったくらいだった。時間にしてだいたい一時間位気を失っていたことになる。
さわさわと風が通る音が聞こえる。
「森、あれから1時間……ここってもしかして、悪魔の森の奥?」
確証はないが、声に出して言ってみると間違えはないような気がする。さほど遠くまで動いてはいないだろうが、自殺の名所とまで言われるこの場所に長くいるのは嫌だ。未来の目には写らないが、実際に亡くなった人がウヨウヨと浮いているのではないだろうかと、体の底からの恐怖を感じた。
「た……助けて……」
場所を自覚すると、さっきまでなかった恐怖を感じた。今更ながら、誰にも、千鶴にさえ伝えずにこの場所に来た事を後悔した。何で、誰にも言わなかったのだろう。千鶴には『何かあったら相談する事』と再三言われてきた。能力に関係のある事柄である以上、今回の件はまず、千鶴に相談すべき案件だったはずだ。
ザッザッと何かを踏みしめる音が聞こえてきて、ビクリと体を震わせる。でも、視界の隅に、遠く離れたところにゆらゆらと揺れる明かりを見て、ほっと息をついた。アレは、懐中電灯の明かりだ。人が来たのだ。
「佐川未来」
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他に何人かいるようだが、助かったのだとほっとした。あの子供のように、小さな命のように失われてしまうんじゃないか、と思っていたからこそ余計にほっとした。
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