Aria ~国立能力研究所~

しらゆき

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第2章 二つ目の事件( 未来 中学生)

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「え……?」
 未来は気が付いたら何もない真っ暗な空間にいた。さっきまで、確かに弥生から話を聞いていた。姉が意識を失ったあたりまでの事情の説明をざっと聞いたが、それ以降は、弥生が疲れたとのことで、一旦終わりになったのを覚えている。
 どう考えても居眠りをしている状況ではなかったはずだが、今未来は夢の始まりにいる。暗い空間は、未来や過去を見る夢の中にいる事を示している。
 真っ暗な空間に小さな息遣いが聞こえてくるが、他に声はしない。
 未来は闇が晴れるのを待った。今夢を見ている以上未来が自由に目覚める事は出来ない。
 カシャリ
 小さくシャッター音が響き、途端にあたりが明るくなる。
 あたりの光景が目に入るなり、未来は大きく目を見張った。
「おねえ……ちゃん……?」
 部屋の奥にベッドがあり、そこに姉が眠っていた。姉は何も身に着けておらず、スラリとした肢体がそのままの姿で横たわっている。
「やめて!」
 カシャリ、カシャリと継続的に写真のシャッター音がする。にやにやと下卑た笑みを浮かべる男が姉に向かってしきりにシャッターを切っていた。
「やめて」
 未来はこれが夢であることも、過去であることも考えられなかった。男と姉の間に入って声を荒げる。でも、男に未来の姿なんて見えていない。構うことなくシャッターを切る。
「……めて、やめて……」
 未来にこんな大きな声が出るのか、というくらいの大声が口から溢れた。でも、未来の声は絶対に男に届かない。実際に起きたことではあるが、今起こっている事ではないのだ。
『……て、落ち着きなさい、佐川未来』
 突然耳に響いた声に、未来は思わず顔を上げた。涙で視界がゆがんでいる。
「誰……?」
『お願い、変えられない過去じゃなくて、未来を見て。あなただけが頼りなの、これ以上被害が広がらないように、その写真が表に出ないようにするのにはあなたの力が必要なの。状況を、しっかり見て』
 たたきつけるような声には、強い焦燥感を感じた。未来以上に焦っているような声音に、自然と未来の気持ちが落ち着いてくる。
 そうだ、今ここで叫んでも届かない。それなら、この写真で悪さが出来ないように、この写真が世間に出ないように、未来がきちんと状況を把握しなければいけない。
 未来はグッと息を呑むと、部屋を見回す。入り口は3つ。
 未来は今自分が立っている場所から一番近い方の入り口の扉をすり抜ける。夢を見ている間は実態がないことはわかっている。
 扉の外はギャラリーだった。様々な絵が掲示されている。風景画や人物画等様々な絵が飾られているが、目立った特徴はない。
 未来は再び反対側の入り口から外に出た。
 そこはレストランだった。落ち着いた雰囲気のレストランで静かな賑わいを見せている。
 その外に出ると未来は店を振り返った。
かく……?」
 小さなつぶやきが未来の口からもれる。静かなたたずまいのその店に、落ち着いた雰囲気の看板が未来の目に焼きついた。
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