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第2章 二つ目の事件( 未来 中学生)
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どうやって家まで帰ったのか、はっきりとは覚えていない。気が付いたら三波に連れられて家まで来ていた。
さっきまで、見た、否、何となくだが弥生に見せられたような気がする、あの光景が頭をグルグルと巡っている。あの時、実際に何があったのか、詳細を未来自身は見ていないが、弥生は「レイプはなかった」と断言した。嘘はついていないような気がする。
姉はどれだけあの出来事を把握しているのだろう……。
「おねえ、ちゃん……?」
恐る恐る扉を開けた未来は、部屋中にレシピ集を広げている姉の姿に小さく息を呑んだ。
「未来……全部、壊れちゃった。どこで……獲られたんだろう……」
ポツリと呟いた姉の顔に生気はない。あの事件があって丸一日以上帰らなかった姉が今にも壊れてしまいそうで、ぞっとした。
「お姉ちゃん、大丈夫だよ。すぐに、全部終わるから……今、弥生……」
思わず口にした言葉を未来は慌てて飲み込んだ。今しがた見てきたことを、中途半端な情報を姉に伝える事が正しいのか、未来にはわからない。
「何か……知ってるの?お願い、教えて……」
怯えたような表情で、でもしっかりと告げてくる姉に、未来は息を呑んで、口を開いた。また、あの時と同じ間違えを犯すのかもしれない。未来が口にすることで姉の運命を変えてしまう可能性さえある。でも、一度口にしてしまった以上、これ以上黙っている事なんてできない。
「……勝手なことして、ごめんなさい」
ポツリ、と呟いた未来に奈々子が小さく首を振る。
「ありがとう、ねぇ、未来。……お願いがあるの」
「お願い?」
きょとんと首をかしげた未来に、奈々子が告げた言葉は予想外だった。
「え?もう一度言ってくれる?」
「だから、宮内先生と……久遠寺蓮……じゃなくて、先生の弟さんには何もしないで」
「な、なんで!だって、そいつらが……」
姉が何故その二人をかばおうとするのかわからない。その二人が巨悪の根源であるはずなのに。
「……許す、の?」
未来の口からもれる声が震える。姉が何と答えるのか、未来にはわからない。その答えを聞くのが怖いような気さえする。
「……許さない、よ。でも、私が、自分できちんと決着をつけたいの」
そう口にした姉は、さっきまでの弱々しい姉の姿ではなかった。何かを乗り越えた、強い意志を感じる。
「……弥生さんに、頼んでみる」
だから、未来にはそう答えるほかなかった。
「それと、もう一つお願いがあるんだけど……」
次いで告げられた言葉は、未来にとって予想外のものだった。
さっきまで、見た、否、何となくだが弥生に見せられたような気がする、あの光景が頭をグルグルと巡っている。あの時、実際に何があったのか、詳細を未来自身は見ていないが、弥生は「レイプはなかった」と断言した。嘘はついていないような気がする。
姉はどれだけあの出来事を把握しているのだろう……。
「おねえ、ちゃん……?」
恐る恐る扉を開けた未来は、部屋中にレシピ集を広げている姉の姿に小さく息を呑んだ。
「未来……全部、壊れちゃった。どこで……獲られたんだろう……」
ポツリと呟いた姉の顔に生気はない。あの事件があって丸一日以上帰らなかった姉が今にも壊れてしまいそうで、ぞっとした。
「お姉ちゃん、大丈夫だよ。すぐに、全部終わるから……今、弥生……」
思わず口にした言葉を未来は慌てて飲み込んだ。今しがた見てきたことを、中途半端な情報を姉に伝える事が正しいのか、未来にはわからない。
「何か……知ってるの?お願い、教えて……」
怯えたような表情で、でもしっかりと告げてくる姉に、未来は息を呑んで、口を開いた。また、あの時と同じ間違えを犯すのかもしれない。未来が口にすることで姉の運命を変えてしまう可能性さえある。でも、一度口にしてしまった以上、これ以上黙っている事なんてできない。
「……勝手なことして、ごめんなさい」
ポツリ、と呟いた未来に奈々子が小さく首を振る。
「ありがとう、ねぇ、未来。……お願いがあるの」
「お願い?」
きょとんと首をかしげた未来に、奈々子が告げた言葉は予想外だった。
「え?もう一度言ってくれる?」
「だから、宮内先生と……久遠寺蓮……じゃなくて、先生の弟さんには何もしないで」
「な、なんで!だって、そいつらが……」
姉が何故その二人をかばおうとするのかわからない。その二人が巨悪の根源であるはずなのに。
「……許す、の?」
未来の口からもれる声が震える。姉が何と答えるのか、未来にはわからない。その答えを聞くのが怖いような気さえする。
「……許さない、よ。でも、私が、自分できちんと決着をつけたいの」
そう口にした姉は、さっきまでの弱々しい姉の姿ではなかった。何かを乗り越えた、強い意志を感じる。
「……弥生さんに、頼んでみる」
だから、未来にはそう答えるほかなかった。
「それと、もう一つお願いがあるんだけど……」
次いで告げられた言葉は、未来にとって予想外のものだった。
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