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第4章 Aria展
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「山内、Aria巡りはやったのか?」
未来と美穂は同時に顔を上げた。本を読むことが中心の文芸部の活動の中に製本作業というものがある。自分が書いた話などを部誌以外で人に見てもらうために絶対に必要な作業になる。もちろん、製本するかは自由になるが、注文が多い話の手伝いをすることもあるし、部誌も部員+部室に一冊ずつは自分たちで作ることになっているため、文芸部に入部した部員は例外なく覚える決まりになっている。製本作業自体は夏休みにはほぼ終わっているため、今はさほど忙しくないが、未来はその時間を利用して美穂にやり方を教えることとした。
Ariaを知る人以外誰もいない時間であり、美穂が一冊製本し終わったベストタイミングでの声かけは、榊原がそのタイミングを待っていたのがわかる。
Aria巡り、未来も中学生の頃に弥生に連れまわされたのをよく覚えている。本来は教育係が手配するものらしいが、本部の人間でもある千鶴にはそこに割く時間はほぼない。案の定、美穂は榊原の言葉がわからなかったのか、軽く首を傾げている。
「Aria巡り……ですか……?」
「Aria能力者のところを廻って、こんな能力がある、って理解してもらうためのもの。ようは、Ariaに慣れるためにやるのだけど、三波さんはまた忘れているんでしょう?Ariaの本社にも行ったことがないんじゃない?」
「ないです。いずれ……と言われたきり、なので」
未来は若干嫌そうに顔を顰めた。この流れは、どう考えても未来が案内する流れになる気がする。もっとも未来はAria関係者の知り合いはさほど多くないので、弥生にヘルプを頼むか、ニ、三ヶ所案内するかしかないが。
「なら、今度の休みに行ったらどうだ。ちょうど、Aria展があるぞ」
榊原が差し出した一枚のチラシに視線を落とした未来はほっと息をついた。これがあれば、Aria展のほか、NANACOと本社くらいでいいだろう。本社に行けば様々な能力を目の当たりにすることになる。
「Aria展って何ですか?」
「Aria能力者のみが出展している美術展。ここでいい評価をもらえれば大成する……と言われているプロの登竜門」
「え?でも、Ariaなら普通最上評価をもらえるんじゃ……?」
確かにAria能力者について知っていればそう考えるのが普通だ。だが、実際はそうとも限らない。
「美術系の能力者だけが出してるとは限らないから。遠視の能力者が絵を描いてたりもする。だから、ピンキリ。結構色々なのが出展されてるから、面白いよ。……今度の土日空いてる?行ってみようか?」
「はい、よろしくお願いします」
美穂が、パッと笑みを浮かべる。最近よく笑うようになったような気がする。多分これが本来の山内美穂の姿なのだろう。
未来と美穂は同時に顔を上げた。本を読むことが中心の文芸部の活動の中に製本作業というものがある。自分が書いた話などを部誌以外で人に見てもらうために絶対に必要な作業になる。もちろん、製本するかは自由になるが、注文が多い話の手伝いをすることもあるし、部誌も部員+部室に一冊ずつは自分たちで作ることになっているため、文芸部に入部した部員は例外なく覚える決まりになっている。製本作業自体は夏休みにはほぼ終わっているため、今はさほど忙しくないが、未来はその時間を利用して美穂にやり方を教えることとした。
Ariaを知る人以外誰もいない時間であり、美穂が一冊製本し終わったベストタイミングでの声かけは、榊原がそのタイミングを待っていたのがわかる。
Aria巡り、未来も中学生の頃に弥生に連れまわされたのをよく覚えている。本来は教育係が手配するものらしいが、本部の人間でもある千鶴にはそこに割く時間はほぼない。案の定、美穂は榊原の言葉がわからなかったのか、軽く首を傾げている。
「Aria巡り……ですか……?」
「Aria能力者のところを廻って、こんな能力がある、って理解してもらうためのもの。ようは、Ariaに慣れるためにやるのだけど、三波さんはまた忘れているんでしょう?Ariaの本社にも行ったことがないんじゃない?」
「ないです。いずれ……と言われたきり、なので」
未来は若干嫌そうに顔を顰めた。この流れは、どう考えても未来が案内する流れになる気がする。もっとも未来はAria関係者の知り合いはさほど多くないので、弥生にヘルプを頼むか、ニ、三ヶ所案内するかしかないが。
「なら、今度の休みに行ったらどうだ。ちょうど、Aria展があるぞ」
榊原が差し出した一枚のチラシに視線を落とした未来はほっと息をついた。これがあれば、Aria展のほか、NANACOと本社くらいでいいだろう。本社に行けば様々な能力を目の当たりにすることになる。
「Aria展って何ですか?」
「Aria能力者のみが出展している美術展。ここでいい評価をもらえれば大成する……と言われているプロの登竜門」
「え?でも、Ariaなら普通最上評価をもらえるんじゃ……?」
確かにAria能力者について知っていればそう考えるのが普通だ。だが、実際はそうとも限らない。
「美術系の能力者だけが出してるとは限らないから。遠視の能力者が絵を描いてたりもする。だから、ピンキリ。結構色々なのが出展されてるから、面白いよ。……今度の土日空いてる?行ってみようか?」
「はい、よろしくお願いします」
美穂が、パッと笑みを浮かべる。最近よく笑うようになったような気がする。多分これが本来の山内美穂の姿なのだろう。
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