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2.はじめて
4.夢中
しおりを挟む「…ん、」
手のひらに触れたシーツがいつものシーツの手触りじゃないことに気がついて目をそっと開けた。
室内は暗く何も見えないが、見慣れない空間の広さが自分の部屋ではないとすぐに分かった。
ボーっと、何が起きたのか順序良く整理していって、急速に蘇ってきたのはラウンジでのこと(正確にはそのラウンジのトイレ前で起きたこと)。事細かに蘇ってきて、慌てて起き上がった。
起き上がって、自分が何も着ていない状態に声にならない悲鳴を上げながら上掛けをたくし上げる。
何故、裸なのか?そんなことは考えたくもない。それよりも、自分の洋服を探すのが先決だと、ベッドを降りようとしたら…どこからともなく伸びてきた何かに掴まれて、ベッドの中に引き戻された。
「きゃっ」
見覚えのある顔が目の前に出てきた。
ここに連れ込んだのは彼だろうと予想はしていたので、予想通りの顔に驚きはしない。
「離してくださいっ」
両手で千景を抱きしめ、千景は何も着ていない男の胸に頬を押し付けられた。
裸でいることと裸を見られてた恥ずかしさと、直に触れる男の肌の生温かさが現実的で顔が熱くなる。
何とかして逃げようとしても、絡みついた腕から逃げることが難しく、
「あっ…」
胸に触れられて、彼の手のひらが自分の頂を掠めただけなのに、自分の声とは思えない声が出た。その声に、ますます顔が熱くなる。
彼が触れる手のひらが熱く感じた。
あっという間に男の体の下に組み敷かれた。
「あ…」
自分を組み敷く男―――芹澤創の顔を見て、夜のことが鮮明に思い出されて顔が熱くなる。
「あんたが目を覚ますのを待っていた」
耳元で甘く低い声がして、ぞくりと腰の辺りがざわつく。
降りてくる彼の綺麗な顔に、またぞくりとざわついた。
これ以上は待てないと、彼の唇が落ちてくる。抵抗なく受け入れそうになって、千景は何とか散らばった理性をかき集めて、寸前のところで両手で彼の唇を防ぐ。
「あんたが欲しい」
ドキリと心臓が跳ねた。切れ長の鋭い眼光を放っていた瞳が熱く真っ直ぐに千景を射抜く。その瞳を目の前にして、千景は金縛りにあったかのように動けなくなった。
男の真っ直ぐな瞳に射抜かれて、かき集めた理性がバラバラに散っていくのが分かった。
震える千景の手を芹澤は彼女の頭の上で縫い留め、初めてのキスのように優しく唇に口づけた。
軽い口づけは、その都度深さを増して口を塞ぐ。
息をするのも忘れて、苦しさに酸素を求めれば僅かな酸素と共に男の舌が滑り込む。
性急に、でも優しい。
翻弄されるが、酷くされることもなく、ただ優しい口づけ。
口から頬に、頬から耳に、耳から首筋に落とされる口づけ。
柔らかく丸みを帯びた頂は丁寧に口づけされた。
その口づけが熱を帯びる。
一度知った快感は、媚薬のように千景を熱く潤わせ、かき集めた理性は無残に散っていく。
「…ん、あ……」
芹澤は千景の口づけを、頬に首筋にと場所を移していく。
縫い留めた腕を離し、片手で千景の膨らみを手のひら撫でる。手のひらで頂きの蕾に触れれば、千景の声が僅かに高くなる。
吸いつく肌と頂にある小さな蕾。
その小さな蕾を舌で舐めると、千景がビクッと跳ねた。
「んっ」
蕾を口の中に含み舌で転がす。音を立てて吸い上げて、舐め上げて、軽く噛む。左手でもう一つ頂きを撫でる。こちらもぷくりと主張する。可愛い主張に舌先で根元を突いてみれば、
「んあ……ぃや…」
感じさせられる快楽に、逃げようとしても逃がさないと執拗に攻める。
気持ち良さが終わらずに、散々甘く攻め立てられていたのに、膨らんだ頂に歯を立てられて、痛みと気持ち良さに目の前が白く弾けた。
一瞬の与えられた痛みを詫びるかのように、甘い快楽が続く。
胸を優しく揉みしだいていた右手を彼女の身体に沿って下へと移動させていく。吸い付く肌が触れているだけで気持ちが良く、身体が熱く高まっていく。脇腹は過ぎようとして、へそが目に入りそこに口づけを落とす。
太腿を触られてピクリとしたが、その先に進んではいけないと首を横に振った。
半ば無理やりで始めた行為だから、無理やりが良いのなら……と思ったが、彼女が自ら開けて行為を受け入れてくれる方が、気持ち良さは数倍に膨れ上がる。
ゆっくり彼女の全身に口づけをしながら、彼女の赤く艶やかな顔を目指す。途中、二つの可愛い蕾が行く手を塞ぎ、しばらく夢中で二つの蕾を可愛がる。
「足、開いて」
耳元で、強請られる甘くて低い声。
千景が頭を横に振れば、彼女の頬に触れて優しく諭す。
息絶え絶えの千景は首を横に振った。
真っ赤な頬をして、涙目でこちらを見る彼女に欲情が止まらない。
彼女の頬に口づけし、赤く色づいた頬を優しく両手で覆う。軽い口づけを何度も落とすが、震える彼女の手が伸びてきて、口づけを止められた。自分の額と彼女の額をくっつけた。
「大切に抱く。優しく抱くよ」
彼女の手首を掴み、手の甲に口づけを落として、真っ直ぐ彼女を見た。空いたほうの手で、彼女の太腿に触れる。
彼の言葉が、足りなかったパズルのピースのように、ストンと千景の心に落ちてきて綺麗に填まった気がした。
どこまで足を開けばいいのか分からずに、少しだけ隙間を開ければ、そこに男の手が差し込まれる。
内腿を撫でられて、千景の隙間に触れると、ぬるっとした感触に彼女の顔が横に伏せられた。
ぬるぬると男は隙間の潤いを確かめるように擦る。
「あ、ああ…」
そこはもう既に充分に潤っていた。滴り落ちる蜜を掬い取り、隙間を指で何度も擦っていく。
「…あ、あ、ああ…」
男のなぞる指に応えるかのように、千景の身体が反応する。秘所の入り口の場所を確認するかのように何度もなぞり、触って欲しいと云わんばかりに主張するもう一つの赤い蕾を親指で撫でた。
「んああああ」
撫で上げて指でつぶし、爪でなぞったら、千景の嬌声が大きくなって弓ぞりにのけぞった。
控え目ではあるが、何度も聞く彼女の嬌声に欲情は大きく膨らむばかり。我慢しきれずに、隙間を舐め上げ、ぷっくりと主張する蕾を指で摘まむ。
隙間に指を差し入れて、蕾を舌で転がして音を立てて吸い付く。
「んん…あああ」
ビクビクッと痙攣する千景に、男の理性は微かしか残っておらず、男は夢中で千景の秘所を舐めた。
舌のねっとりとした感触と休む間もなく絶えない快感に、千景の目から涙が零れた。舌で蕾を突かれ、秘所に指を出し入れされて快感は止めどなく波のように押し寄せる。
秘所の奥の方が切なく叫んでいるのが分かった。奥の方に何か大きいものが欲しくて腰が動く。
彼の指が差し入れられたが、それでも奥には届かない。
「入りたい」
一言そう告げて、千景の秘所に大きく反り上がった自身をあてがう。自身に千景の蜜を塗りたくり、彼女の秘所の入り口を擦るだけで気持ち良さに意識が軽く飛びそうになった。
早く入りたいと、大きく反り上がり熱くなった自身が、たらたらと自らを濡らしていく。
柔らかく溶けた秘所は芹澤の猛った自身を難なく飲み込んでいくが、芹澤はその狭さと気持ち良さに目が眩みそうになった。
「あ、あああああ」
千景は自分の隙間を埋め尽くした経験のない質量に、目の前が真っ白に弾かれた。
望んでいた熱い楔に喜びなのか、蜜が止まらない。
「動くぞ」
「あっ、あっ、あああ」
芹澤は自身を千景に打ちつけた。内壁を擦られるたびに、水音が激しく鳴り響く。
千景の狭い中は、猛った芹澤自身を食いちぎりそうなほどにきつく締めた。何度目かの打ちつけで、芹澤は耐えられずに自身の猛りを解放した。
解放しても、猛りが収まることがなく、芹澤は千景の片足を持ち上げてまた打ちつける。
「ああ、ダメ…」
「ここか?」
「い、いゃあ…」
ダメと頭を振る。ダメなのはここか?と自身をそのポイントに充てれば、嬌声は大きくなった。そのポイントを覚えるように何度も打ちつけると、急激な強い締め付けに危うく開放しそうになるのを堪える。
彼女の中が離さないといわんばかりに、うねり締め付ける。
息を深く吐き、千景の背中に手を入れて、彼女を抱き上げた。繋がったまま抱き上げると、彼女の体重と温かさを感じながら突き上げた。彼女の身体が芹澤の上で跳ね上がる。
「あああっ」
「…くっ…」
深い繋がりに、彼女の腰がビクビクッと大きく痙攣した。堪えていた高ぶりが大きくなって気持ち良く彼女の中に吐き出した。
弓ぞりになって果てた千景をそっとベッドに横たえる。
いつもなら余韻も何も感じたいと思わず、欲望を吐き出した自身をさっさと引き抜いてシャワーを済ませていた。
だが、今日は自身を引き抜くのを躊躇ってしまう。出来ることなら、このままにしていたい。
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千景の項に口づけをし、少し強めに吸うと、赤い華が咲いた。それに満足して、芹澤は目を閉じた。
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