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第一章
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港につくと、男は辺りを見回した。
夜もふけつつあるため、大河を渡る船はもう出てしまったかもしれない。それでも男は港にある客船や貨物船を一つずつ見て回った。
諦めるという選択肢はなかった。ここにいないと確信がもてたら、大河を渡って探すつもりでいる。見つかるまで、ずっと。
だが、男は女を見つけることが出来た。
客船の甲板で月夜に輝く淡い髪が見えて、縁取る輪郭があの女であることを男に告げる。
男は走り出していた。船はまだ出ないようだが、視線を外したら最後、彼女が消えてしまうのではないかと思った。
遠くで男達の怒鳴り声を聞きながら、男は彼女――アイナのもとへ駆け寄った。
アイナはこぼれんばかりに目を見張って男を見たあと、慌てて立ち上がり、鞄から銅貨を数枚取り出した。それを、男を追いかけていた野郎たちに渡している。
「知り合いなの、一人追加でお願い。割増で払うわ」
アイナの言葉に野郎たちは頷き、男を軽く睨んで去っていった。先ほど聞いた怒鳴り声は、男を制止する客船の護衛たちの声だったのだ。
アイナは改めて男を見た。男はアイナに言われるまま甲板に座り込み、じっとアイナを見つめる。
男にとって、他人はどれも同じだった。識別するために顔があるだけで、顔が整っているとか醜女だとか、そんなものはよくわからない。
だがきっと、この女は『美しい』のだと思った。どこがどうとか理由はない。ただ、胸をざわめかせる何かがあったのだ。
「……どうしたの?」
アイナが、努めて静かに告げた。
その言葉が、男の目をじっと見て告げられたことに、男はここ二日間の生活を思い出した。どの記憶も、不思議なぬくもりがあった。
過去にないほどに穏やかさで、胸に残っている。
「あなたが、あるじだと聞いた」
「あるじ?」
男は頷く。アイナが首を傾げたため、自分をカネで購入したのだと説明した。
アイナは黙って聞き終えると、考えるように視線を落とす。瞳が男から逸れたことに落胆したのは、なぜだろうか。
「ねぇ、家族は?」
「いない」
「恋人や信頼できる友人は?」
「いない」
また、アイナは黙り込んだ。難しい顔で、男が想像もできない複雑な何かを考えているのだろう。いや、具合が悪いのかもしれない。男は口を開きかけたが、すぐに閉じた。
大丈夫か? とでも問えばいいのだろうか。だが、本当に辛ければ、男になにかを命じるだろう。
男は自主的に動かないと決めている。命令がない限り。奴隷とはそういうものだと、教えられてきた。だから、男は辛抱強く待った。
ややのち、アイナが呟いた言葉はまったくの予想外なものだった。
「ごめんなさい」
謝罪。
いったい、誰になんのために告げたのだろう、と男は思う。だが、アイナが再び男を見つめたので、その謝罪が己に向けられたものであると知って驚愕した。
他者が、しかもあるじが、奴隷に謝罪する。そんなことはありえないし、あってはならない。なぜならば、奴隷は奴隷であって、自我をもつ人間ではないのだから。
男の驚愕には気づいていないように、アイナは続けた。
「あなたの生活を保証できる雇い主に、思い当たる人はいないのよ。私は確かに無責任だったわ。あなたを放置してしまったのだから。でも、働き先を紹介できるほどのツテもないの」
「……あるじはあなただ」
「私にはあなたを雇う技量はないわ。給金を払う余裕がないのよ」
アイナは、苦笑を浮かべた。優しく細められた瞳には、男の知らない何かが宿っている。それはふわふわと心地よくて、奇妙な温もりを胸に落とした。
「でも、食事を提供するくらいできるわ。仕事を見つけるまで、私が生活を保証する」
なるほど、と男は頷いた。
「つまり、俺が働けばいいのか」
「そうね、生活できるようになるまで待つわ」
「給金はいくら望む?」
男の問いに、アイナは首を傾げた。それくらいわかるだろう、という無言の問いかけだろうかと男は震えた。
彼女に買いかぶられて、予想より遥かに稼げなかったときを想像すると、心が冷える。
「あなたが望むほど、俺は稼げないだろう」
「待って、何か誤解してない? あなたが仕事を見つけるのよ? あなたが稼ぐオカネなんだから、給金もあなたのものよ。あなたが生活できる額を自分で稼げばいいの」
男は目を瞬いた。
「……俺のもの? あなたに差し出すために稼ぐのではないのか」
アイナは困った顔をした。綺麗な顔を、落ち込んだように伏せる姿は、男の胸を締めつけた。どうやら自分が彼女に不快感を与えたらしい、と知る。体罰を受けるかもしれないという危惧よりも、彼女の意を汲み取れない自分に落胆していた。
それもまた、これまでの過去になかったことだ。男は薄々気づいていた。アイナが、これまでのあるじとは違うかもしれない、ということを。だが、そんな考えには気づかないふりをした。期待や希望はいらない。絶望に変わったときの苦しみが耐え難いから。
「あなたは奴隷じゃないの。好きに生きていいのよ」
「あなたは俺を買った。……価値もないのに、大金を出したと聞いた」
「私は私のプライドのためにおカネを出したの。あなたのためじゃない。結果としてあなたが助かってよかったわ」
アイナは笑う。男は春の太陽のようだと思った。暖かくて、心地よい。
「あなたは男前だし、ガタイもいい。仕事はきっとすぐに見つかるわ。いい奥さんもね。だから、私に構うことはないのよ」
彼女は笑みを深めた。そのとき、野郎たちの声が船の出航を告げる。辺りの客たちが、やっとか、とため息をつくのが聞こえた。
アイナは、夜闇の先にあるだろう向こう岸を見た。男も、何気なく視線を向ける。大河は闇に飲まれて、僅かな先しか見えない。向こう岸に微かに明かりがあるだけで、その他は真っ暗だ。
「向こう岸についたら、あなたの新しい人生のはじまりよ。奴隷ではない、あなた自身の」
「奴隷ではない俺など想像できない」
「なら、練習しましょう。仕事が見つかるまで、私が養うって決めたんだし」
それは命令だろうか、と思ったが、アイナの声音からは命令だとは感じられなかった。命令は有無を言わせぬ口調で発せられる。アイナのそれは、まるで、頼みごとをしているかのような柔らかさを持っていた。
男は改めてアイナを見た。
女性にしては小柄だ。男を抱擁するような言葉を告げるのに、見た目はか弱くて、けれど瞳には大人らしい力強い意志が灯っている。
この者が、男を買った。なのに手放すという。大金をだすほどのプライドとは一体なんだろうか。
大河を渡ったころには、夜もかなりふけ、客のなかには眠ってしまっている者もいた。出航に待たされて時間が押したらしく、降りる客たちは不満な罵りを呟いていた。
アイナは不満を言わずに、茶色い鞄を持って歩き出した。荷物は一つだけらしい。持ってやろうかと思ったが、命じられていない。命じられないことがもどかしい、などと思うのは初めてだ。
船から降りたあとは大きな通りではなく、森林の方へ細く続く道をアイナは進む。男もついて行った。他の客たちは大通りを進んで、最寄りの港町へ向かうらしい。
「あの港町、怖いのよ。屈強な用心棒を雇っているし、足元見てぼったくるし。この先に小さな村があるの。そこで一晩泊まって、馬を買うわ」
アイナは説明をくれる。男にわざわざ行動の理由や今後について伝える言動に、男は些か戸惑った。
アイナは男を奴隷ではないと言った。けれど、男は奴隷以外の生き方を知らない。
「そういえば、あなた名前は?」
アイナの問いに、男は口ごもった。先のあるじである領主らからは、駄犬と呼ばれていた。あるじごとに呼び方は異なり、それらは男の名前ではない。だから、アイナの問いには答えることが出来なかった。
「どうしたの?」
「名前はないように思う」
アイナがこぼれんばかりに目を見張る。
「両親は?」
「母がいた。六歳で捨てられるまで、俺は野草を食べて生きていた。捨てられたあと、俺は女に拾われた。女の家で住み込みで働いた」
「……何歳のとき?」
「捨てられてすぐだから、六歳からだ」
「違法じゃないの! 子どもに働かせるなんて!」
アイナはまるで己のことのように怒った。その剣幕に男が驚いていることに気づくと、アイナは落ち着くように深呼吸をして、口を開く。
「仕事は何をしていたの?」
「昼間は、靴を磨いたり煙突の掃除をしたり、旅人から盗人をして、小銭を稼いだ。夜は住処の掃除と親方に殴られる役目があった」
「殴られる、って」
「俺を拾った女の夫だ。暴力を振るう男で、女は自分の身代わりに殴られる盾として、俺を拾ったらしい」
アイナが息を飲むのがわかった。今度は怒りと共に恐怖が浮かんでいる。確かに当時は恐ろしかった。盗みをしくじって殴られることも、親方に暴力を受けることも、子どもだった男には恐怖だったのだ。だが慣れるまでに、あまり時間はかからなかった。半年も過ぎれば殴られることに慣れていたし、痛みを感じないときなどなくなったので、怪我は日常的に男に付きまとっていたのだ。
男は、アイナの様子になんといって言いかわからず、聞かれてもいないのに、己のその後を口にした。自らの生い立ちを話すのは初めてかもしれない、と頭の隅で考えながら。だが、本当はわかっていた。男自身のことを自ら話すという行為が、何を意味するのか、その重要性を。
「十二歳で商人に買われた。親方が売ったんだ。商人の元では、力仕事をさせられた。早朝から深夜遅くまで、ひたすら働いた」
「給金は?」
「一日に一度の食事だ」
アイナは眉をひそめたが、構わずに続けた。
「先の貴族に売られたのが、二十歳のころだった。商人はそのとき、俺を手放したがっていたから、喜んで売った。力仕事をしていたこともあって体格がよく、身体の丈夫さをウリにして、それなりに高く売ろうとしていた」
「手放したがっていた、って、どうしてか聞いてもいい?」
「女と寝るように言われたが、出来なかったからだ」
初めて女の玩具になるように命じられたとき、香油や白粉、女の匂いが気持ち悪くて吐いてしまった。そのときも鞭でひどくぶたれたが、その後も何度か命じられた。吐かないように食べ物も減らされたが、吐き気は堪えることができず、胃液を口から垂れ流し、青い顔をして倒れるばかりだった。
男の命令違反は、商人の評判を下げることに繋がり、毎日のように鞭で打たれるようになった。男は商人にとって苛立ちをぶちまけるだけの玩具になり、商人は自分に恥をかかせた男を手放したいと考えているようだった。それでもがめつい商人は男を捨てはせず、結局、貴族に売った。
「貴族の元では、家畜以下の生き物として飼われた」
「飼われた!?」
「屋敷の庭の一郭で、犬のように振る舞うことを命じられた。四足歩行で移動し、手を使わずに地面に投げられた食べ物を食べた。足りなかったから、これまでのように草を食べて空腹をしのいだ。昼間は労働に駆り出されることもあり、そのときは犬のふりをせずに済んだから、労働は悪くなかった。だが、つい先日――」
――『あら、思ってたより綺麗な顔をしてるじゃないの』
領主の娘はそう言って、男に様々な命令をした。顔を蹴られたり靴を舐めることは出来たが、女の望む行為は本能が拒絶して、かつてのように吐き気で動けなくなった。女は激昂して男に暴力をふるったのち、父親である領主に
「自分が強姦されそうになった」と訴えた。
それからは、折檻され続け、唐突に死罪を言い渡された。
アイナは、小さく首を振る。
「先に、あの女から誘ってきたのね。で、あなたは断った。あの女は自分が被害者だと訴えて、あなたは無実なのに殺されかけた」
男は、はっとアイナを見た。
なぜわかったのだろう。男はアイナに、自分が間違っても強姦などしていないと訴えたわけではないのに。女と寝れなかったと告げたからだろうか。だが、だとしても、ほかに罪状があると思うはずだ。無実だと言い張るなんて、ありえない。……男のような奴隷は、いやしく生きるだけの蛮族であり、人権も何もなはずなのに。
アイナは男の表情を見て、ふと、口元を歪めた。
「なんていうか、こんな軽い言葉じゃ済まされないのはわかってるんだけど。……災難だったわね。あなたは何も悪くないんだから、胸を張って生きるべきよ」
その言葉は、男の胸を締めつけた。これが優しくされるということなのだろうか。こんなに胸が苦しくて、身体が熱くて、むずむずと虫を這うような心地が。
「呼び名がないと困るわね。あなたの名前が欲しいわ。希望はある?」
「……ない」
声が掠れていたのは、胸の苦しさの正体に戸惑っていたからだ。これが何かわからない。奴隷では知ることのない感情なのだろう。アイナは男を、もう奴隷ではないと言った。だから男は、こんな苦しくて甘美な感情を得ることになったのだろうか。
「私が決めてもいいのなら、セディルがいいわ。どう?」
「セディル」
「そう。少年神の名前なの。無垢で大人しいけれど、とても情熱的で真摯な感情を秘めた、慈悲の神。あなたは大人だけれど、よく合うと思うわ」
「……セディル」
男はかみしめるように繰り返した。本来なら神の名など恐れ多いと思うべきなのだろうが、男は神というものを知らないし、信じてもいない。どこから由来されようが、アイナがくれた名前であることが、男の心を柔らかくさせた。
アイナは男の――セディルの表情を見て、ふふっと微笑んだ。
「決定ね。私はアイナよ、アイナって呼んで」
「アイナ」
「そう、覚えてくれると嬉しいわ」
忘れるはずなどない。あるじの名前を覚えるのは当然だが、それを抜きにしても、セディルがアイナの名前を忘れるはずがなかった。本懐の理由など考えない。ただ、セディルにとってあまりに新しい多くをくれた彼女を、覚え続けたいと思ったのだ。
*
村で唯一の宿で一泊し、翌朝、アイナは立派な馬を一頭購入した。セディルは生まれてから馬に乗ったことがないため、二人用の馬を購入したのだ。だが、セディルの体格を考えると、かなり馬力のある馬でなければならず、アイナは限界まで値段交渉していた。
昨夜の宿も、アイナが二部屋をとったため、セディルは贅沢に一人で一部屋を使うことが出来た。食事も食べ、贅沢すぎるひとときを過ごした。
そして今、アイナは立派な馬を購入してきた。鞍がついており、アイナは器用に鞍にまたがる。背丈ほどもある馬の背に軽やかに乗る姿は、とても美しかった。そう、美しい。セディルはぼんやりと思った。
「乗って。後ろに」
アイナが馬上から告げる。セディルは困惑したが、アイナが丁寧に説明をくれて、彼女の言う通りに行動すると、馬の背中に跨ることができた。馬はあるじが乗るもので、奴隷はすぐ隣を歩くものだ。馬になど乗ったことがなかったが、なかなか不思議な心地がする。
「摑まって、歩くから」
「摑まる?」
「私の腰に手を回して。落ちないようにしっかり摑まってて」
セディルは頷いて、言われるままにアイナの腰に手を回した。アイナの後ろから彼女を抱きしめるカタチになり、その細さと柔らかさに、セディルは身体が硬直するのを感じる。吐き気はない。だがその分、呼吸がうまくできずに、喉の奥に空気を詰まらせた。
「隣の領土まで飛ばすから、夕方にはつくわ」
アイナはそう告げて、まるで自らの手を動かすかのように馬を操り、馬を歩かせた。速度は徐々に早くなり、セディルは慌てて強く摑まる。両手が触れるのは、アイナの細い腰だった。アイナの身体の柔らかさをさらに感じて、彼女の甘い匂いに下腹部が刺激された。朝でもないのに、頭をもたげ始めた局部に驚く。腹が引きつるような、甘く痺れる感覚はこれまでに感じたことのないもので、セディルは混乱する。
俺はどうしてしまったのだろうか、と。
夜もふけつつあるため、大河を渡る船はもう出てしまったかもしれない。それでも男は港にある客船や貨物船を一つずつ見て回った。
諦めるという選択肢はなかった。ここにいないと確信がもてたら、大河を渡って探すつもりでいる。見つかるまで、ずっと。
だが、男は女を見つけることが出来た。
客船の甲板で月夜に輝く淡い髪が見えて、縁取る輪郭があの女であることを男に告げる。
男は走り出していた。船はまだ出ないようだが、視線を外したら最後、彼女が消えてしまうのではないかと思った。
遠くで男達の怒鳴り声を聞きながら、男は彼女――アイナのもとへ駆け寄った。
アイナはこぼれんばかりに目を見張って男を見たあと、慌てて立ち上がり、鞄から銅貨を数枚取り出した。それを、男を追いかけていた野郎たちに渡している。
「知り合いなの、一人追加でお願い。割増で払うわ」
アイナの言葉に野郎たちは頷き、男を軽く睨んで去っていった。先ほど聞いた怒鳴り声は、男を制止する客船の護衛たちの声だったのだ。
アイナは改めて男を見た。男はアイナに言われるまま甲板に座り込み、じっとアイナを見つめる。
男にとって、他人はどれも同じだった。識別するために顔があるだけで、顔が整っているとか醜女だとか、そんなものはよくわからない。
だがきっと、この女は『美しい』のだと思った。どこがどうとか理由はない。ただ、胸をざわめかせる何かがあったのだ。
「……どうしたの?」
アイナが、努めて静かに告げた。
その言葉が、男の目をじっと見て告げられたことに、男はここ二日間の生活を思い出した。どの記憶も、不思議なぬくもりがあった。
過去にないほどに穏やかさで、胸に残っている。
「あなたが、あるじだと聞いた」
「あるじ?」
男は頷く。アイナが首を傾げたため、自分をカネで購入したのだと説明した。
アイナは黙って聞き終えると、考えるように視線を落とす。瞳が男から逸れたことに落胆したのは、なぜだろうか。
「ねぇ、家族は?」
「いない」
「恋人や信頼できる友人は?」
「いない」
また、アイナは黙り込んだ。難しい顔で、男が想像もできない複雑な何かを考えているのだろう。いや、具合が悪いのかもしれない。男は口を開きかけたが、すぐに閉じた。
大丈夫か? とでも問えばいいのだろうか。だが、本当に辛ければ、男になにかを命じるだろう。
男は自主的に動かないと決めている。命令がない限り。奴隷とはそういうものだと、教えられてきた。だから、男は辛抱強く待った。
ややのち、アイナが呟いた言葉はまったくの予想外なものだった。
「ごめんなさい」
謝罪。
いったい、誰になんのために告げたのだろう、と男は思う。だが、アイナが再び男を見つめたので、その謝罪が己に向けられたものであると知って驚愕した。
他者が、しかもあるじが、奴隷に謝罪する。そんなことはありえないし、あってはならない。なぜならば、奴隷は奴隷であって、自我をもつ人間ではないのだから。
男の驚愕には気づいていないように、アイナは続けた。
「あなたの生活を保証できる雇い主に、思い当たる人はいないのよ。私は確かに無責任だったわ。あなたを放置してしまったのだから。でも、働き先を紹介できるほどのツテもないの」
「……あるじはあなただ」
「私にはあなたを雇う技量はないわ。給金を払う余裕がないのよ」
アイナは、苦笑を浮かべた。優しく細められた瞳には、男の知らない何かが宿っている。それはふわふわと心地よくて、奇妙な温もりを胸に落とした。
「でも、食事を提供するくらいできるわ。仕事を見つけるまで、私が生活を保証する」
なるほど、と男は頷いた。
「つまり、俺が働けばいいのか」
「そうね、生活できるようになるまで待つわ」
「給金はいくら望む?」
男の問いに、アイナは首を傾げた。それくらいわかるだろう、という無言の問いかけだろうかと男は震えた。
彼女に買いかぶられて、予想より遥かに稼げなかったときを想像すると、心が冷える。
「あなたが望むほど、俺は稼げないだろう」
「待って、何か誤解してない? あなたが仕事を見つけるのよ? あなたが稼ぐオカネなんだから、給金もあなたのものよ。あなたが生活できる額を自分で稼げばいいの」
男は目を瞬いた。
「……俺のもの? あなたに差し出すために稼ぐのではないのか」
アイナは困った顔をした。綺麗な顔を、落ち込んだように伏せる姿は、男の胸を締めつけた。どうやら自分が彼女に不快感を与えたらしい、と知る。体罰を受けるかもしれないという危惧よりも、彼女の意を汲み取れない自分に落胆していた。
それもまた、これまでの過去になかったことだ。男は薄々気づいていた。アイナが、これまでのあるじとは違うかもしれない、ということを。だが、そんな考えには気づかないふりをした。期待や希望はいらない。絶望に変わったときの苦しみが耐え難いから。
「あなたは奴隷じゃないの。好きに生きていいのよ」
「あなたは俺を買った。……価値もないのに、大金を出したと聞いた」
「私は私のプライドのためにおカネを出したの。あなたのためじゃない。結果としてあなたが助かってよかったわ」
アイナは笑う。男は春の太陽のようだと思った。暖かくて、心地よい。
「あなたは男前だし、ガタイもいい。仕事はきっとすぐに見つかるわ。いい奥さんもね。だから、私に構うことはないのよ」
彼女は笑みを深めた。そのとき、野郎たちの声が船の出航を告げる。辺りの客たちが、やっとか、とため息をつくのが聞こえた。
アイナは、夜闇の先にあるだろう向こう岸を見た。男も、何気なく視線を向ける。大河は闇に飲まれて、僅かな先しか見えない。向こう岸に微かに明かりがあるだけで、その他は真っ暗だ。
「向こう岸についたら、あなたの新しい人生のはじまりよ。奴隷ではない、あなた自身の」
「奴隷ではない俺など想像できない」
「なら、練習しましょう。仕事が見つかるまで、私が養うって決めたんだし」
それは命令だろうか、と思ったが、アイナの声音からは命令だとは感じられなかった。命令は有無を言わせぬ口調で発せられる。アイナのそれは、まるで、頼みごとをしているかのような柔らかさを持っていた。
男は改めてアイナを見た。
女性にしては小柄だ。男を抱擁するような言葉を告げるのに、見た目はか弱くて、けれど瞳には大人らしい力強い意志が灯っている。
この者が、男を買った。なのに手放すという。大金をだすほどのプライドとは一体なんだろうか。
大河を渡ったころには、夜もかなりふけ、客のなかには眠ってしまっている者もいた。出航に待たされて時間が押したらしく、降りる客たちは不満な罵りを呟いていた。
アイナは不満を言わずに、茶色い鞄を持って歩き出した。荷物は一つだけらしい。持ってやろうかと思ったが、命じられていない。命じられないことがもどかしい、などと思うのは初めてだ。
船から降りたあとは大きな通りではなく、森林の方へ細く続く道をアイナは進む。男もついて行った。他の客たちは大通りを進んで、最寄りの港町へ向かうらしい。
「あの港町、怖いのよ。屈強な用心棒を雇っているし、足元見てぼったくるし。この先に小さな村があるの。そこで一晩泊まって、馬を買うわ」
アイナは説明をくれる。男にわざわざ行動の理由や今後について伝える言動に、男は些か戸惑った。
アイナは男を奴隷ではないと言った。けれど、男は奴隷以外の生き方を知らない。
「そういえば、あなた名前は?」
アイナの問いに、男は口ごもった。先のあるじである領主らからは、駄犬と呼ばれていた。あるじごとに呼び方は異なり、それらは男の名前ではない。だから、アイナの問いには答えることが出来なかった。
「どうしたの?」
「名前はないように思う」
アイナがこぼれんばかりに目を見張る。
「両親は?」
「母がいた。六歳で捨てられるまで、俺は野草を食べて生きていた。捨てられたあと、俺は女に拾われた。女の家で住み込みで働いた」
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「捨てられてすぐだから、六歳からだ」
「違法じゃないの! 子どもに働かせるなんて!」
アイナはまるで己のことのように怒った。その剣幕に男が驚いていることに気づくと、アイナは落ち着くように深呼吸をして、口を開く。
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「殴られる、って」
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男は、アイナの様子になんといって言いかわからず、聞かれてもいないのに、己のその後を口にした。自らの生い立ちを話すのは初めてかもしれない、と頭の隅で考えながら。だが、本当はわかっていた。男自身のことを自ら話すという行為が、何を意味するのか、その重要性を。
「十二歳で商人に買われた。親方が売ったんだ。商人の元では、力仕事をさせられた。早朝から深夜遅くまで、ひたすら働いた」
「給金は?」
「一日に一度の食事だ」
アイナは眉をひそめたが、構わずに続けた。
「先の貴族に売られたのが、二十歳のころだった。商人はそのとき、俺を手放したがっていたから、喜んで売った。力仕事をしていたこともあって体格がよく、身体の丈夫さをウリにして、それなりに高く売ろうとしていた」
「手放したがっていた、って、どうしてか聞いてもいい?」
「女と寝るように言われたが、出来なかったからだ」
初めて女の玩具になるように命じられたとき、香油や白粉、女の匂いが気持ち悪くて吐いてしまった。そのときも鞭でひどくぶたれたが、その後も何度か命じられた。吐かないように食べ物も減らされたが、吐き気は堪えることができず、胃液を口から垂れ流し、青い顔をして倒れるばかりだった。
男の命令違反は、商人の評判を下げることに繋がり、毎日のように鞭で打たれるようになった。男は商人にとって苛立ちをぶちまけるだけの玩具になり、商人は自分に恥をかかせた男を手放したいと考えているようだった。それでもがめつい商人は男を捨てはせず、結局、貴族に売った。
「貴族の元では、家畜以下の生き物として飼われた」
「飼われた!?」
「屋敷の庭の一郭で、犬のように振る舞うことを命じられた。四足歩行で移動し、手を使わずに地面に投げられた食べ物を食べた。足りなかったから、これまでのように草を食べて空腹をしのいだ。昼間は労働に駆り出されることもあり、そのときは犬のふりをせずに済んだから、労働は悪くなかった。だが、つい先日――」
――『あら、思ってたより綺麗な顔をしてるじゃないの』
領主の娘はそう言って、男に様々な命令をした。顔を蹴られたり靴を舐めることは出来たが、女の望む行為は本能が拒絶して、かつてのように吐き気で動けなくなった。女は激昂して男に暴力をふるったのち、父親である領主に
「自分が強姦されそうになった」と訴えた。
それからは、折檻され続け、唐突に死罪を言い渡された。
アイナは、小さく首を振る。
「先に、あの女から誘ってきたのね。で、あなたは断った。あの女は自分が被害者だと訴えて、あなたは無実なのに殺されかけた」
男は、はっとアイナを見た。
なぜわかったのだろう。男はアイナに、自分が間違っても強姦などしていないと訴えたわけではないのに。女と寝れなかったと告げたからだろうか。だが、だとしても、ほかに罪状があると思うはずだ。無実だと言い張るなんて、ありえない。……男のような奴隷は、いやしく生きるだけの蛮族であり、人権も何もなはずなのに。
アイナは男の表情を見て、ふと、口元を歪めた。
「なんていうか、こんな軽い言葉じゃ済まされないのはわかってるんだけど。……災難だったわね。あなたは何も悪くないんだから、胸を張って生きるべきよ」
その言葉は、男の胸を締めつけた。これが優しくされるということなのだろうか。こんなに胸が苦しくて、身体が熱くて、むずむずと虫を這うような心地が。
「呼び名がないと困るわね。あなたの名前が欲しいわ。希望はある?」
「……ない」
声が掠れていたのは、胸の苦しさの正体に戸惑っていたからだ。これが何かわからない。奴隷では知ることのない感情なのだろう。アイナは男を、もう奴隷ではないと言った。だから男は、こんな苦しくて甘美な感情を得ることになったのだろうか。
「私が決めてもいいのなら、セディルがいいわ。どう?」
「セディル」
「そう。少年神の名前なの。無垢で大人しいけれど、とても情熱的で真摯な感情を秘めた、慈悲の神。あなたは大人だけれど、よく合うと思うわ」
「……セディル」
男はかみしめるように繰り返した。本来なら神の名など恐れ多いと思うべきなのだろうが、男は神というものを知らないし、信じてもいない。どこから由来されようが、アイナがくれた名前であることが、男の心を柔らかくさせた。
アイナは男の――セディルの表情を見て、ふふっと微笑んだ。
「決定ね。私はアイナよ、アイナって呼んで」
「アイナ」
「そう、覚えてくれると嬉しいわ」
忘れるはずなどない。あるじの名前を覚えるのは当然だが、それを抜きにしても、セディルがアイナの名前を忘れるはずがなかった。本懐の理由など考えない。ただ、セディルにとってあまりに新しい多くをくれた彼女を、覚え続けたいと思ったのだ。
*
村で唯一の宿で一泊し、翌朝、アイナは立派な馬を一頭購入した。セディルは生まれてから馬に乗ったことがないため、二人用の馬を購入したのだ。だが、セディルの体格を考えると、かなり馬力のある馬でなければならず、アイナは限界まで値段交渉していた。
昨夜の宿も、アイナが二部屋をとったため、セディルは贅沢に一人で一部屋を使うことが出来た。食事も食べ、贅沢すぎるひとときを過ごした。
そして今、アイナは立派な馬を購入してきた。鞍がついており、アイナは器用に鞍にまたがる。背丈ほどもある馬の背に軽やかに乗る姿は、とても美しかった。そう、美しい。セディルはぼんやりと思った。
「乗って。後ろに」
アイナが馬上から告げる。セディルは困惑したが、アイナが丁寧に説明をくれて、彼女の言う通りに行動すると、馬の背中に跨ることができた。馬はあるじが乗るもので、奴隷はすぐ隣を歩くものだ。馬になど乗ったことがなかったが、なかなか不思議な心地がする。
「摑まって、歩くから」
「摑まる?」
「私の腰に手を回して。落ちないようにしっかり摑まってて」
セディルは頷いて、言われるままにアイナの腰に手を回した。アイナの後ろから彼女を抱きしめるカタチになり、その細さと柔らかさに、セディルは身体が硬直するのを感じる。吐き気はない。だがその分、呼吸がうまくできずに、喉の奥に空気を詰まらせた。
「隣の領土まで飛ばすから、夕方にはつくわ」
アイナはそう告げて、まるで自らの手を動かすかのように馬を操り、馬を歩かせた。速度は徐々に早くなり、セディルは慌てて強く摑まる。両手が触れるのは、アイナの細い腰だった。アイナの身体の柔らかさをさらに感じて、彼女の甘い匂いに下腹部が刺激された。朝でもないのに、頭をもたげ始めた局部に驚く。腹が引きつるような、甘く痺れる感覚はこれまでに感じたことのないもので、セディルは混乱する。
俺はどうしてしまったのだろうか、と。
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