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第三章 2、須藤先生は、我儘だ
7、
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「嫌がらせで、って」
「あんたなんかこれ使う機会ないでしょ、はっはー。といったような、嫌がらせだ」
「……随分と性根が腐った嫌がらせがあるんですね」
「だが、みこちゃんの場合は、それではない。となれば、本人が気をきかせたという線が大きいだろう。さて、気を利かせる場面は、どういう場面か。付き合い初めてほどよい相手がいる場合に、送るものだと考えるのが妥当だろう。応援も兼ねて」
「なるほど」
「わかったか。以上が私の推察だ。よって、きみには付き合い始めた恋人がいる」
「いませんけど」
「……そんなはずはない。ならばなぜ、みこちゃんはきみにそんなものを送ってきた?」
さぁ、と首をひねって、残りのサンドイッチをぱくぱくと食べた。アボカドが美味しい。変色を防ぐためか、やや酸味が強いが、それはそれでアクセントになっている。
先生は、私が食べ終わったのを見計らって、滑るように車を発進させた。
私は軽食のゴミをまとめながら、首をかしげる。
「そういえば、最近みこちゃんがやたらと『いい感じなんじゃないの?』って聞いてきました」
「ほう。男の話か」
「まぁ、男と言えばそうですね」
「ふん、また交際には至っていないが、きみには気になる相手がいるということか。だが、それにしてはみこちゃんのプレゼントはやや突っ走りすぎな気がしないでもないな」
私は、手のひらに握り締めたままの避妊具を見た。
「なんでもいいんです、みこちゃんがくれたんだから。大切にします」
「大切って、お守りではないぞ。送ってきたということは、その相手と使うようにということだろう」
「……まさか。私、みこちゃんに、好きな人がいるとか言ってません。ただ、最近バイトが楽しいって話をしただけで」
ぴく、と先生が視線を寄越してきた。だが、すぐに視線を前方に戻す。
「それで?」
「バイトが楽しいから、学校が終わってから一緒に遊べないって断ったんです。そしたら、どこが楽しいのか、とか、どんな人がいるのか、とか」
「で、何を話した。まさか、私の名前を出しはしていないだろうな」
「出してませんよ。あ、でも、雇ってくれた男の人がすごくいいひとで、私のことちゃんと見てくれるから、一緒にいて楽しいんだっていう話を……先生?」
先生は、高速道路だからか、まっすぐ前を向いている。だが、その目は半眼で、高速道路でなければ、呆れた目で見られていたことだろう。
また私は、何かおかしなことを言ってしまったのだろうか。それは、先生に? それとも、みこちゃんに?
「あのぅ」
「あんたなんかこれ使う機会ないでしょ、はっはー。といったような、嫌がらせだ」
「……随分と性根が腐った嫌がらせがあるんですね」
「だが、みこちゃんの場合は、それではない。となれば、本人が気をきかせたという線が大きいだろう。さて、気を利かせる場面は、どういう場面か。付き合い初めてほどよい相手がいる場合に、送るものだと考えるのが妥当だろう。応援も兼ねて」
「なるほど」
「わかったか。以上が私の推察だ。よって、きみには付き合い始めた恋人がいる」
「いませんけど」
「……そんなはずはない。ならばなぜ、みこちゃんはきみにそんなものを送ってきた?」
さぁ、と首をひねって、残りのサンドイッチをぱくぱくと食べた。アボカドが美味しい。変色を防ぐためか、やや酸味が強いが、それはそれでアクセントになっている。
先生は、私が食べ終わったのを見計らって、滑るように車を発進させた。
私は軽食のゴミをまとめながら、首をかしげる。
「そういえば、最近みこちゃんがやたらと『いい感じなんじゃないの?』って聞いてきました」
「ほう。男の話か」
「まぁ、男と言えばそうですね」
「ふん、また交際には至っていないが、きみには気になる相手がいるということか。だが、それにしてはみこちゃんのプレゼントはやや突っ走りすぎな気がしないでもないな」
私は、手のひらに握り締めたままの避妊具を見た。
「なんでもいいんです、みこちゃんがくれたんだから。大切にします」
「大切って、お守りではないぞ。送ってきたということは、その相手と使うようにということだろう」
「……まさか。私、みこちゃんに、好きな人がいるとか言ってません。ただ、最近バイトが楽しいって話をしただけで」
ぴく、と先生が視線を寄越してきた。だが、すぐに視線を前方に戻す。
「それで?」
「バイトが楽しいから、学校が終わってから一緒に遊べないって断ったんです。そしたら、どこが楽しいのか、とか、どんな人がいるのか、とか」
「で、何を話した。まさか、私の名前を出しはしていないだろうな」
「出してませんよ。あ、でも、雇ってくれた男の人がすごくいいひとで、私のことちゃんと見てくれるから、一緒にいて楽しいんだっていう話を……先生?」
先生は、高速道路だからか、まっすぐ前を向いている。だが、その目は半眼で、高速道路でなければ、呆れた目で見られていたことだろう。
また私は、何かおかしなことを言ってしまったのだろうか。それは、先生に? それとも、みこちゃんに?
「あのぅ」
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