駄女神に拉致られて異世界転生!!どうしてこうなった……

猫缶@睦月

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2.いつか醒める夢

23.夏至祭②

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 数日後、水の給水・排水用の水路や、温度調整用の予備貯水槽に消毒槽などが完成します。魔法での土木作業系は早いのが良いですね。岩盤ですから、強度は申し分ありませんし、漏水処理もあまり手がかかりませんでした。
 照明だけではなんなので、滝裏方面に採光も兼ねた開口部を設けます。もちろん、外からは覗けないようにしておきましたよ。

 流入する水量を変える事で、身体に感じる負荷も変えられるので効果も上げられると思います。そうそう、利用するには水着が必要でしたね。とりあえず、おとなしいデザインのワンピースタイプにしましたが、アレクシアさんはそれでも身体の線が見えすぎるとか、露出が多すぎって騒いでます。肩や太腿が露出する服は、あまりよろしくないようですが、デザインはあとから自分で直してもらう事にします。
 早速、僕には胸の高さ位、アレクシアさんにはお腹辺りまでの水深のプールで歩いてもらいます。慣れたら深いほうへ行ってもらいましょう。

 「結構体力を使うわね。これなら短時間でもいいかもしれないわ。これからは暑い季節だし。」

 その後、流れる直線レーンを、アレクシアさんに泳いでもらったのですが、僕は思わず笑ってしまいました。だって、犬掻きとかなんですよ。

 「なによ、海軍の水兵だってみんな似たような泳ぎ方よ。そんなにいうなら、クロエちゃん泳いで見なさいよ。」

 アレクシアさんに言われたので、とりあえず僕はクロールと平泳ぎ、そして背泳ぎで泳いで見せます。

 「……クロエちゃん、この泳ぎ方は画期的よ。海軍の水兵が覚えれば、船から落ちても生存率があがるわ。是非海軍に「僕は嫌ですよ。アレクシアさんが覚えて教えてあげてください。」…、そうよね~。私も流石に無理だわ。」

 そうでしょう? 泳ぎを教えるためには、泳いで見せなければなりません。大勢の水兵さんに水着姿を晒すのは遠慮しておきます。アレクシアさんも悩んでいましたが、とりあえず忘れましょう。僕達には関係無い事です。

*****

 そうして、2週間程が経ちました。水泳だけじゃなく、時々辛味の食事や通常の食事で使うドレッシングやマヨネーズの脂分を減らしたりという効果が重なり、アレクシアさんの体重が戻りました。それだけじゃなく、クロールや平泳ぎ(絶対殿方には見せられないわねと言われましたが)、背泳ぎで普段使わない筋肉も引き締められ、以前よりも更にスタイルが良くなってしまっています。
 これには、アレクシアさんも大喜びですよ。只でさえ、三十路には見えないのに(思っただけで殴られました)……
 僕の身長は2週間では全く成果がありません。でも、最近は講義が中心でしたので、たまに身体を動かすのは気分転換になりますしね。うんうん、下を向いても足首までフラットに見える事は気にしないでおきましょう(泣)。

 そういえば、アレクシアさんがダイエットを始めてからというもの、自宅でイリスやリリーさんと食事をして居ない事に気が付きました。それに、意図的に着る衣服も身体の線が見えないものを着続けています。普通ならダイエットの成果を誇りそうなのに、少し変ですね。

 「アレクシアさん、なんで痩せたのに太って(ここでかなり怖い目でにらまれましたよ)……、少し前のような服を着ているのです?」

 僕の問いにアレクシアさんは条件付で答えてくれました。

 「もう直ぐ学院も夏季休業になるし、夏至祭も近いでしょ。最近リリーには弄られっぱなしだったし、たまには報復してあげないとね。だから、イリスちゃんや他の子にあの施設の事を言っちゃだめよ。例え友達にでも痩せた本当の理由を公開する女子はいないのよ。」

 はぁ、そうなんですね。でも、絶対その後追求されると思うんですけどね。今の処、だれにも問い詰められていないですし、わざわざアレクシアさんの怒りを買う必要もないので、僕は黙って肯きました。

*****

 いよいよ夏至祭の始まりです。ユーリアちゃん一家は、クレナータでの夏至祭に参加する為に帰郷していますが、ユイは今回が初参加ですし、イリスも一緒に3人で街中を巡ります。
 アレクシアさん? 大人の女性達と四季のオープンテラスでバトル中ですよ。一見平和的な風景ですが、会話の中身は恐ろしくて聞けません。ここぞとばかりに、身体のラインが見えるこの時代にしては大胆なドレス(肩を露出してますからね)で颯爽と現われたアレクシアさんに、リリーさんやリアンのお母さんのジェシカさん共々呆気にとられているのが見えましたよ。その後は早々に退散したのでわかりませんが……

 上層街を四季を基点に散策します。ユイは移動制限があった所為で、街中を殆ど知りませんしね。僕もそれほど知っている訳ではないので、イリスさんが案内してくれます。外郭は城砦のような石造りの回廊ですが、すぐ内側は川の水が流れており、取水や水車の動力源となっています。
 工房街には、鍛冶や冶金などの他に、錬金術や薬剤、魔道具などの工房も軒を連ねるところが他の街との大きな違いですね。一般街には小物や雑貨を取り扱うお店もありますが、魔法が絡むと一般街ではなく、こちらになってしまいますので、ユイには初めて見る物ばかりなのでしょうね。
 噴水広場では、出店の他に色鮮やかな花が飾られていますが、少しばかりカップルの男女が多い気がしますね。目の毒になりそうなので、そうそうに一般街にある広場に移動します。一般街は、家族連れも多いのでさほど目のやり場に困る事はありません。四季で軽く軽食をとり、歌い踊る人達を見たりして楽しんだ後、僕たちはファロス島へと戻る連絡通路へと歩き出しました。

 連絡通路まであと僅かという所で、

 「「「ちょっとまったぁ!」」」

 と声がかかります。僕は思わず『どこのネ○トンだ!!』と思いましたが、イリスが怪訝に思って立ち止まりますので、僕とユイも自然に立ち止まります。振り返ると、ゾンビが3体?

 「夏至祭だからって、治療のサービスなどしませんわよ。用事がなければ呼び止めないで下さる?」

 イリスさんの冷たい言葉と視線に射抜かれた男子は一瞬棒立ちになりますが、すこし赤面していますね。危ない趣味の持ち主じゃないでしょうね。
 僕はユイを後ろに庇って、少し前傾気味に体重を掛けます。周囲には何名かの男子が伏せているのは検知していますが、今の処危険はないようですね。

 「いや、治療を頼みたいわけではないが、用事がないわけでもない。」

 先頭の男子が言葉を紡ぎますが、速く言わないとイリスさんが切れますよ? すでに腕組みして人差し指でリズムを取っていますし。

 「まず、ユイさん俺とお付き「ゴメンナサイ!」あい……」

 うんうん、速攻撃破ですね。まあ、見た目も彼は多分悪くないのでしょうけど、ユイを付回していた何人かの学生のうちの一人ですね。どうやらワサビが足りなかったようです。撃破された男子は、Orzしていますが、二人目の男子に蹴り飛ばされます。

 「あの、イリスさん僕と付き合ってください。」

 2人目はイリスさんですか。この時点で僕は力を抜いて普通の体勢に戻っています。周囲に伏せている男子は結果を確認する為だけの存在のようですね。そして、イリスさんはにこやかに男子に向けて微笑みます。

 「私が今必要としているのは、伴侶となる男性じゃありませんわ。研究の為に身を投げ出してくれる実験体ですの。貴方が実験台に立候補するというなら歓迎しますわよ?」

 うわぁ~、イリスさん流石にそれは引きますよ。僕もユイもドン引きです。思わず後ずさりしてしまった男子も同様ですね。うなだれ立ち竦む男子の後ろから、やけに身体の大きな人が出てきましたね。身長は2m超えてるんじゃないですか。以前見たオークより大きいですね。これは、イリスさんの実験体には良さそうですが、ユイの好みとは違うようです。

 「最後は俺だ。俺と、俺と仕合ってくれ、クロエさん!」

 僕かい! しかも仕合かい! ……どうやら本気で死にたい様ですね。氷の様な冷気を纏い始めた僕に、その男は続けました。

 「俺が勝った暁には、俺と付き合ってくれ!」

 ロリコンかい!! 一瞬力が抜けかかりましたが、なんとか精神的ダメージを無視します。

 「そうですか。誰の入れ知恵かは知りませんが、いいでしょう。本気でかかってきなさい!」

 彼は頷くと、いきなり頭への振り下ろしの正拳攻撃を仕掛けてきます。ですがこの程度の速さなら、加速せずとも楽々かわせますね。殴りかかってきた右肘を、左手で軽く押してあげるだけで、勢いの付いた身体がバランスを崩します。
 独楽の様に身体を回転させた僕は、巨漢の右膝裏に回し蹴りをいれます。小柄と馬鹿にしたような彼ですが、遠心力がついた回し蹴りは、膝裏ということもあって効果があったようですね。堪えきれずに、グゥっというくぐもった声が聞こえます。
 堪らず右膝をついたように見える巨漢ですが、その姿勢のまま、裏拳を放つ闘志は認めてあげましょう。バックステップで裏拳をかわし、再び彼の懐へと潜り込みます。左右両掌でがら空きの左胸・心臓へと掌打を加えると、一瞬心臓の鼓動が止まります。ボクシングなどでいうハートブレイクショットですね。
 巨漢といえど、片膝をついて動きの止まっていれば、僕でも頭部への攻撃が届きます。巨漢の故にこの手の人は頭への攻撃を受けたことが少ないはずです。顎への前蹴りで、喉元がさらけ出されます。このまま、喉仏に回し蹴りを入れれば、殺人兎ボーパルバニーの面目躍如ですが、ご臨終となってしまいます。精神年齢は20歳を超えている僕としては、其処までするのも大人気ないですね。軽く跳躍して頭頂に踵落としで許してあげましょう。
 ゴスッという鈍い音がした後、ズズゥンっという音と振動って、いったいどの位重いんです?この巨漢は。生きてるか確認してみますが、ありゃ、鼻血を拭いて倒れてます。白目を剥いていますが、まあ死にはしないでしょう。
 両手を払って、埃や塵を落とした後、僕はイリスさんとユイの元へと歩き出します。勿論、纏った冷気は解いてますよ。

 「相変わらず、貴女は容赦ないわね。」

 「やだなぁ、イリスさん程じゃないですよ。僕は肉体的に倒しますけど、イリスさんは精神的に殺してるじゃないですか。ユイも優しすぎると、この手のは後を絶たないよ?」

 僕の声に半ば呆然としていたユイは再起動できたようですね。あぁ、そういえば僕の格闘戦は初めて見たんでしたっけ。頭を振りつつ、ユイが言いました。

 「……なぜ、殺人兎ボーパルバニーと呼ばれているか、納得しましたよ。」

 屍累々としている連絡通路前を通り過ぎ、3層への連絡通路を3人で歩き出します。イリスさんが呆れたように話します。

 「それにしても、貴女周りに男子が伏せてるの知ってたんでしょ? 格闘戦なんかしたら、またスカートの中覗かれるわよ。」

 イリスさんの言葉に、ユイもうんうん頷いています。僕は2人の前で、スカートの端を持ち上げて腿まで持ち上げますが、2人は呆気にとられてますね。

 「なによ、それ。また、変わった下着なの?!」

 そうなんですよ。流石にこの季節の暑さで蒸れるのには閉口した僕は、精神的な障害を乗り越えて女性用下着(ショーツ)とレギンスを作成したのです。防御面は、レギンスに認識阻害の魔法効果を付けていますので、格闘戦をしても問題ないと僕は思っています。

 「真っ黒に見えますね。でも、それってどうなんでしょう? 私的にはそれでも恥ずかしい気がしますが……」

 ユイの言葉に、イリスさんも頷きますが、僕的には見えていないんだから問題なしなのですが。女子的には違うんでしょうかね? どうなんでしょう?
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