駄女神に拉致られて異世界転生!!どうしてこうなった……

猫缶@睦月

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4.アレキサンドライトの輝き

15.依頼と報酬②

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「へぇ、考えたわね。流石はエリクシアの才女と貴女方がいうだけの事はあるわね。」

 僕達から、エリーゼさんの依頼と報酬の内容を聞いた、アレクシアさんの第一声がこれです。実際、言われたときは驚きましたが、よく考えられた内容といえますよね。
 エリーゼさんの提示した報酬とは、エリクシア北部での探索権を含む活動権と、同様にクラウディウス侯爵家の派閥に属する貴族家が再開発を行う地域での、同権利を保障するというものです。
 これは、その領域にある遺跡などの探索を行ってよいという事であり、そこで得られた物もギルドへの報告後、取得できる事を意味するんですよね。こちらに探索権を与える事によって、エリーゼさん達は一銭もださずにこちらの協力を得ることになります。

「まあ、よく考えたけど残念ながらこちらはそれに乗ってあげる必要はないわね。クロエちゃんはどう考えているの?」

 アレクシアさんの問いに僕は考え込みます。正直いって、エリーゼさんの頼みだからと言って、動くには事が大きすぎるんですよね。

「妥当な所では、北部領と北部属領から担当地域までの街道の安全確保と、ネズミや蚤の駆除方法を教える事くらいですね。あとは拠点とする街の浄化を、広さなどから請け負うくらいでしょうか」

「そうですわね。良い様に使われてあげるつもりもありませんし、友誼で手を貸すのならその程度ですわね」

「恩を売っておくのは悪くありませんが、相手が返せないほどの恩を売ることは、よくはありませんし、その程度でおさめるのがよいでしょうね」

 とりあえず、イリスさんもユイも僕の意見は納得してくれたようですね。

「まあ、エリーゼといったかしら? その娘もその程度と理解しているとは思うわよ。最初に大きく吹っかけないと、こちらの協力もそれに応じて小さくなるしね。
 それにある程度は、クラウディウス家と誼を結んでおく事も悪くないわ。多少は融通してあげてもいいわよ。」

 そう言いながら、アレクシアさんは溜め息を1つつきます。

「それにしても、あのオリバーが血統よりも『優秀な后』を探すほうが驚きよ? 本当に、殿方への貴女達の影響力は、馬鹿にならないわね。」

 ん? オリバーの考え方が変わったのは僕達だけの所為では無いと思いますが。僕が首を捻っていると、今まで黙っていたリリーさんが口を開きました。

「実は貴女方が不在の間に、アルベニア王国から使者が遣ってきたのよ。
 彼らは、アレキサンドリア共和国との国境線の確定と、不可侵条約の締結を結びに着ただけじゃなく、国境上に双方の住民からなる自由都市の建設を提案してきたの。
 そして、国境を含む領域はアレクシス王子が諸侯として着任するということよ」

 へ? それは初耳ですね。そういえばアレクシスは、最近オリバーの影に隠れるようになってしまって、すっかり影が薄くなっていましたが、そんな事をやっていたんですか。

「自由都市の水源は、下層街から引くことで了承を得ているわ。これは、なにか有った場合、都市の水源を押さえているアレキサンドリア側が有利ということになるわね。
 それと都市計画は両国の技術者が共同で作成中だけど、下層街から引く水源でもある運河を国境として、両国間に城壁を設けない形式の予定よ。まあ、税収や適用する法律など諸々の問題は詰めなければいけないけど、都市が完成すれば、東側の心配は余り要らなくなるわね」

 イリスさんもユイも呆気にとられていますね。何気にアレクシスは出来る男だったのでしょうか?

*****

 翌日の学園内サロンの一室で、僕の顔は思わず引き攣ってしまいます。今日は、ネズミと蚤対策について打合せをする予定だったのですが……、僕の目の前の座席には、リアンが座っています。その隣には、赤毛をショートカットにした快活そうなお姉さんといっても、リアンと同年齢だそうですが。

「今回設計と製作をお願いしたいのは、ネズミ捕り器ですわ。クロエ、アーシャに説明してさしあげて」

 イリスさんに言われて初めて知りましたが、アーシャさんというんですね。どこかで見かけたような気がしますが、あまり記憶がありません。話したりしたことは無いんでしょうね。

「お願いしたい物は、1つ目はネズミ捕り器です。基本的な仕様ですが、ネズミを継続的に取れるもので有る事は勿論ですが、魔法関連を一切使用しないものであること。そして、構造が他国の技術でも作れるような簡単な物であることが条件です。素材も同様に簡単に用意できるものでお願いします」

 僕の言葉に、アーシャさんはポカンとした顔をします。まあ、普通はそうなりますよね。魔石などを使って、魔道具を作るのがアレキサンドリアでの魔道具となりますが、魔法の仕様を事実上禁止した物を依頼するわけですから。

「ちょっと待てよ。なんで俺達がそんな物を作らなければならないんだ? そんな物なら他の奴にも作れるだろ」

 うん、僕もそう思います。リアン達はこう言っては何ですが、魔道具作りでは既にアレキサンドリア内でもかなり上の職人さんに相当する技術があります。まあ、リアン本人が作るものは気分によるブレがあるようですが、チームでそれをうまく制御していると聞いてます。

「私もそう思いますわよ? でも、今回は上の指示によるものですので、拒否権はありませんのよ?」

 イリスさんの言葉で、リアンはますます面白くなさそうに顔をしかめます。

「続いて2つ目は、水蒸気蒸留装置ですね。こちらもネズミ捕り器同様に、魔石や魔法なしで高効率の精油の抽出を可能としながら、簡易であることが要求されます。
 用途はシダー材の木屑からヒバ油を精油することが目的です。ヒバ油は、シダー材のおが屑100kgに対して、1kg程度しか抽出できないと聞いていますので、魔法無しで何処まで抽出率をあげることが可能かが問題となります」

「失礼ですが、用途を伺ってもよろしいですか?」

 アーシャさんの問いに、僕達は顔を見合わせますが、問題はないという結論になったので答えます。

「『黒死病』の感染源である、ネズミと蚤を人や犬猫から遠ざける為の手段といえば宜しいかしら。無論、あなた方にお願いした物は、国外の人々が使うものです。国内向けに、魔法を使用したものも作っていただいて結構ですが、国内では需要はあまり多くないと思っていてください」

「あと、ネズミ捕りは基本屋内用で結構ですが、屋外で使用できるものが作れれば、それはそれでありがたいと思います」

 イリスさんとユイが発言しましたが、もっともな事ですね。

「ねずみは一匹罠にかかると、学習能力が高く避けるようになります。その辺も合わせて、継続的に駆除できるようにお願いしますね。捕獲したネズミは、水に沈めて殺してから焼却処分する事になると思いますので、死体の処理が楽な様に考えて下さるとありがたいです」

「え~、殺しちゃうなんて可哀相ですよ」

 アーシャさんはそう言いますが、『黒死病』の原因菌の温床でもありますし、ねずみ算式に増えるので、生かしておくことは出来ません。人の生活圏から離れていれば問題はないのでしょうけど……

「ネズミが問題なら、ネズミ寄せの笛でも作って、川に誘導して溺死させればいいだろ。面倒がなくていいじゃないか」

 『ハーメルンの笛吹き男』ですか! 川で溺死させるのはまずい手とは言いませんが、下流で水源にしていたりすると問題になりそうです。川面一面に死んだネズミが浮いていたら、夢に出そうですしね。
 でも、笛で呼び寄せるのは良い手ですね。最初の一回はネズミの焼却場に集めて実行するのは悪くありませんね。
 こうして僕達は、魔道具をリアン達に依頼しました。製作期間は……、勿論鬼とか言われましたが、依頼者に現物を見せる必要がありますしね。エリックさん達が何故リアン達に任せたか、その理由の一端はこれなのでしょうね。
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