駄女神に拉致られて異世界転生!!どうしてこうなった……

猫缶@睦月

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5.南海の秘宝

18.悪乗りしすぎると怒られるということを忘れていましたよ……

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 音も無い光の奔流が、固く守られた陣内の味方を一瞬で消滅させた事は、受講生側に大きな精神的ダメージを与えていた。
 外部に張り出していた、攻撃用のモット(小さな丘)であったが、今は直径200m、深さ50mの大穴が穿たれている。当然その場所にいたはずの、コリーヌを含めた18人のPTパーティーの姿はない。

「……マジかよ、一瞬で3PTが壊滅かよ」

「真上から来るなんて、防御のしようがないぞ……」

 囁かれる会話の中には、明らかな怯えが垣間見えている。クリスティン自体、天空に魔法円を描き相手を消滅させるなど、全くきいた事がなかった。

「落ち着け、あんな大魔法を連発できるわけも無い。その証拠に、拠点である此処に対して2撃目が来ないのがその証拠だ。
 それに、こちらの主力は依然として無事だ。外周の警戒を厳しくして、敵を発見したら攻撃を開始。殴殺しろ」

 クリスティンの指示はある程度味方の沈静化に成功したようであったが、哨戒にでていた部隊が慌てて戻ってくるとの報告に、苦虫を噛み潰した。

「哨戒部隊と共に、陣地内に侵入される可能性がある。哨戒部隊は陣地内にはいらず、陣地外を警戒するよう伝えろ!」

 次々と変化する状況に、クリスティンは次々と対応するが、全ての部隊が集結してしまった事もあり、上方の収集が追いつかず、指示した対処方法が適切かどうかも判断できない。

「偵察部隊の中で未帰還の部隊がないか確認をしてみてはいかがでしょう? 少なくても哨戒圏内に入られたことはわかるかもしれません」

 情報も無く指示を出し続けるクリスティンを見かねて、レオは声をかけたが意に介した様子はなかった。

「あんな大魔法を、哨戒圏外から放てる。女子供を発見すらできない、あんな哨戒部隊なぞ当てに出来てたまるか」

 クリスティンの喚き声が響いた直後、数少ない『式』を使える符術士から連絡がはいった。

『目標を発見。大穴の対岸に4名確認できます』

 目標が至近距離に迫っていたとはいえ、高低差は50m以上あり高所側が有利であることは数多の戦史が示している。とはいえ、クリスティンのいる高台は、通常なら徐々に上ってくる陣地の最も奥。攻撃魔法や遠距離攻撃が可能な者は、出入り口に近いモットやベイリー(日本の城で言えば曲輪等)につめており、遠距離攻撃が出来る者は少なかった。

「遠距離攻撃が可能なものを、こちらに集合させろ。連中には、牽制で良い。石でもなんでも落としておけ」

 クリスティンはそう言ったが、標高差50m。下層に集められていた魔法使いや弓兵が、高所のこの場所に集まるよりも、講師PTが200mの距離を渡りきるほうが早かったのである。

 真下に向けた矢の射撃や、魔法の投射は通常行なわない分、難易度が高い。威力も誤れば、そのまま崩落が始まる可能性もある為だ。
 そして、崖下直下にいた講師4人のPTは、いつまでもじっとしているわけも無かったのである。

「魔法を撃つのを止めろ、土煙で確認できん」

「埋まっちまったんじゃないのかぁ」

 漸く集まった魔法使いや弓兵からの攻撃は苛烈を極め、魔法の着弾などによる土煙は、彼女達の姿を視界から隠していた。

「少なくても、連中はこのフィールド内にいる。連中が死亡判定を受けたら、こちらの勝利がアナウンスされるはずだ」

 クリスティンの声に、じゃあ講師達は何処にと疑問に思った矢先の事である。

『ズンッ』と足元から振動が伝わった直後、連続した『ズズズズズズズ……』という音と共に、足元から振動が伝わる。そして、一瞬後に彼らのいた標高50mの山は、一瞬にして山体を崩壊させた……

*****

「え~と、クロエさん、こんな場所にきて何をする気なんですか」

 大穴のが穿たれた事によって出来た、受講生側陣地の垂直な壁の下で、ユイが僕に尋ねてきます。

「まさかと思うけど、これをよじ登るとか言わないでよ」

 イリスさん、そんな面倒な事僕がするわけ無いじゃないですか。胡乱な目で僕を見つめるイリスさんを放置して、僕は崖に横穴を穿ちます。

「さぁ、みんな入りますよ。ユーリアちゃん、ライトの魔法で先行お願い」

 最後尾で僕は穴の入り口を岩で塞ぎます。バックアタックなんて御免ですからね。まあ、その時間は無いと思いますが。少しいくと、やや広い半球形のホール状となった穴にはいり、行き止まりです。

「じゃあ、物理防御するよ。ユイ、僕に土属性のバフをお願い。《魔力よ、壁となりて敵の攻撃を弾け!障壁barrier》」

「24卦.地仁者 《かの者に大地の力を貸し与えたまえ》」

「うふふ、きっとびっくりすると思うよ? 《土の精霊ノームよ、我が力を糧とし、大地の怒りをたぎらせよ 地震Earthquake 発動待機》」

 僕は低い天井に地震Earthquakeの魔法円を描きます。僕が何をしようとしているのか判ったのでしょう。イリスさん達3人が驚きの声をあげました。

「「「えっ、ちょっと待って!」」」

「いっけ~、『我が生涯に一片の悔いなし』、地震Earthquake発動!」

 僕は右手の拳に発動用の魔力をのせて、魔法円の中心を打ち抜きました。某有名アニメの台詞ですが、一度言ってみたかったんですよね~

 途端に『ズンッ』と山全体を突き上げる衝撃が起こりました。『ビキッビキビキッ』っと僕達のいる場所を中心に、半球状のホールに亀裂が入ります。
 山全体に入った亀裂と、地震Earthquakeの魔法で、一気に山体崩壊を引き起こした受講生陣地は、一気に崩れ落ちたのでした。

*****

「ウゥッ、い、痛い……」

 地の精霊ノームにバリア毎地上に出してもらった僕は頭を抱えていました。

「酷いよ、ほんのちょっとお茶目しただけじゃないかぁ……」

「「「これの何処どこがお茶目かぁ!!」」」

 3人に怒られてしまいました。地上に出してもらったものの、土埃の所為で周りを確認できませんでしたが、徐々に収まってきたようですね。
 見渡した周囲は死屍累々。といっても、致命傷ダメージを受けたものは即時退出となっているから、此処に居るのは皆まだ致命傷ではないということですね。

「さて、まだ戦う気力のある元気な人はいないかな?」

 僕が周囲を見渡すと、誰もピクリとも動きませんね。

「このままだとだまし討ちが怖いので、全滅させようよ?」

「そうね。致死ダメージを与えて、さっさとフィールド外で治療を受けたほうが、本人達の為かもね」

 僕とイリスさんの非情な言葉に、流石にユイは憤然としていますね。

「まだ戦おうとしている人もいるかもしれません。こちらが負けないために、それらの人も含めて倒してしまうのはよくないです」

 確かに正論ですね、僕は索敵魔法を展開しますが、今回は敵意無しの人も表示します。

「ユーリアちゃん、情報転送するよ。敵意がなく動けない人から弓で倒してあげて」

「は~い、痛くないように、一撃で仕留めますねぇ」

 ユーリアちゃんが頷き、その場で弓を射始めます。物陰になっていたりするので、たいていは曲射になりますが、位置情報を伝えてあるので問題はないでしょう。
 そして、戦意がない人は離脱して、治療を受けられるはずです。

「ユイの言う通りですが、さて。今現在動ける人は時間稼ぎになりますかね……」

 実は、ユーリアちゃんに教えていない、戦意のない人が3人います。そして、その3人は戦意のある人のそばによっては何かをしていますね。

「クロエ、どういうことですの?」

 イリスさんが怪訝な顔で僕を見つめていますが、僕は笑みを浮かべて、イリスさんが内心気になっていることを伝えてあげます。

「少なくても3人は、イリスさんの教えを実践できているようですよ? さすがに少数精鋭なだけありますね」

 僕の言葉の意味が理解できたのでしょう。イリスさんにしては珍しく、顔を赤らめそっぽを向いてしまいました。

「……運良く大怪我をしなかっただけですわ。それに、重傷者を放置して、戦意あるもののお治療を行えなんて、私は教えておりませんわ」

 相変わらずの物言いですが、表情が言葉と一致していませんよ? まあ、人数が多い僕kの受講生の大半は、先ほどの山崩れで大半が致死判定を受けてしまったようですね。残りは数名といったところでしょうか?

「魔法医療学の受講生3人が治療しているとはいえ、残敵は多くありません。そして、彼らもわかっているでしょうね。ヒーラーやキャスターは真っ先に狙われるということをね……」

 陰に隠れつつ治療を施しているようですが、探知魔法からは逃げることはできません。僕は生き残っている3人のヒーラーさんに向けて、攻撃魔法を詠唱します。

「火の精霊イフリートよ、我が力を糧とし、炎針となりて我に仇なす者を撃て!炎針Flame Needle

 僕の頭上に浮かんだ炎の針は3本。ヒーラーのローブどころか、魔法防御を組み込んだ剣士の盾すら貫通させます。

「発射」

 無慈悲なようですが、試験ですからね。こちらが手を抜くことはできませんし、自分達が同意した策が敗れた時の結末も、教えてあげなければいけませんよね。
 3方向にそれぞれ飛んで行った炎の矢は、受講生たちの最後の希望を打ち砕く」ことでしょう。
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