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7.女王の奏でるラプソディー
60.武舞台上の戦い②……決着
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見上げた視界のなか、一瞬手に何かが光ったように見えたので、後ろに跳び退り回避すると、石が割れる音と共に、石畳に長さ五十センチメートルほどの手槍が突き立ち紅蓮の炎を吹き上げます。
「問答無用というわけですか……まあ、言葉は通じていないのでしょうけど……」
言ってる傍から、二投目三投目の手槍が突き立ちましたが、徐々にこちらの回避を先読みしてくるようになってます。
それと同時に、自らも位置を変えていますので、相手のトレースができない為、亜空間転移マッピングの発動準備ができません。
まさか、読まれた? とはいえ、ただやられっぱなしではいきません。相手が僕の能力を測っているように、僕もなにもしていなかったわけではないことをお見せしましょう。
「地対空魔法、ジャベリン発射」
ジャベリンは対空迎撃用の魔法で、直径十五センチメートルほどの魔法陣から、三×三の九つの氷の槍を打ち出すものです。
射出後は目標付近で三メートル四方の空間を、凍結破砕する程度の攻撃力が有りますし、近接信管よろしく直撃しなくても魔力や体温を検知して炸裂します。
一本が反応すれば、他の八本も連鎖して爆散するので、なかなか強力な武器なのです。とはいえ、まずは様子見で一本辺りの与ダメエリアは一メートル四方というところです。
こちらが魔法陣を展開して、ジャベリンを射出。命中まで二秒といったところでしたが、危なげなく百鬼が横に跳び退り回避されます。
回避までの反応時間が早いですね…… 騎乗している人も、バランスを崩すことなく乗っていられることから、まだまだ回避には余裕があるとみてよいでしょう。
続けて投射される手槍は、今度は炎ではなく紫電をまとっています。まずは足止めか、着弾時に広範囲に形成されるダメージエリアを重ねることで、こちらの移動できる場所を制限する気のようです。
紫電の手槍は、着弾すると直径五メートルほどのダメージエリアを形成するようで、しかも残留時間が十秒ほどあります。
一本一本を躱すことは容易ですが、ダメージエリアを重ねられ、相手の思惑がわかっているのにそれに乗せられています。
相手からすれば、詰将棋などをしているつもりなのかもしれません。碁盤の目のような武舞台上で、徐々に隅のほうへと追いやられた僕の背後で、突然炎の壁が形成されます。
「舞台上から逃げる事をさせないつもりですか…… ますます鬼畜ですね」
空中から余裕を見せている百鬼の将は、右手にひときわ長く大きい炎を槍を形成し、一泊間をおいて投射してきました。
周囲の紫電によるダメージエリアの消失まであと数秒あり、着弾前に回避は困難なようですね。
とはいえ、この程度で怪我でもしたらイリスさんに叱られてしまいますからね。診察という名の生体実験体になるのは避けさせていただきます。それに、反撃の手段が無いわけではありません。
「SAMジャベリン、発射!」
迫りくる炎の槍に、氷のジャベリンを全弾投射。炎の槍の熱に反応して、九本全ての氷槍が連鎖して爆発。一気に融解した氷から形成された水蒸気が渦を巻き、武舞台上の視界を奪いました。
そして、水蒸気の霧が晴れたとき、僕の姿は武舞台上には在りませんでした。紫電と炎が踊る武舞台上を見下ろしていた将が、何かを感じたのか背後を振り向きます。
将には僕がどのように見えたのでしょうか? 背中に白い翼を持ち、周囲に複数の魔法陣を展開した僕は、天使というよりは悪魔の使いに見えたかもしれませんね。
初めて将に驚愕という感情が見えた気がしますが、反撃を待つほど僕はお人よしではありませんよ……
「……残念ながら気付くのが少し遅すぎたようですね。貴方の誤算はただ一つだけ。
それは、空を飛べる者が自分たちだけだと思っていたことです。その驕りを悔いて逝きなさい。
重層展開、ファイナル・ジャベリン投射!」
既に僕を取り巻くように、二重の環状に形成していたジャベリンの射出魔法陣二十四個が青白く一瞬だけ光り、回避できないと判断し僕に向かって突っ込んできた将は、光の中に飲み込まれ……
爆炎が空中に華を咲かせ、そこから血煙を噴きながら舞台上に落下する一つの影。それは肉が石畳に叩きつけられる音を奏で、動きを止めます。
僕は一呼吸つくと、背中に形成した翼を操り、武舞台上にゆっくりと舞い降ります。
生存確認のつもりで、落下した将の脇に降りたのですが、あちこち焼け焦げて意識はありま……せ……ん……と思ったら、僕の足をつかもうとしたので、頭を蹴って意識を完全に飛ばします。
「……なかなかしぶといですね。着用している鎧の効果でしょうか? まあ、いずれにしても無理をすると死にますから、おとなしく寝ててくださいね」
つぶやいた僕は髪をかきあげ、ずれた帽子をかぶりなおします。一応皇帝陛下とやらの前ですからね。身だしなみは多少は整えておきましょう。
着地と同時に背中の白い翼は、金色の光に姿を変えて、一瞬僕の周りをたゆたうと、淡い燐光を放ち消えていきました。
僕は皇帝陛下とやらに向き直り、ポツリとつぶやきます。通訳はエマが行っているので、つぶやく程度でも十分聞き取れるでしょう。
「ファイナル・ジャベリンの威力に誤解がでそうなので言っておきますが、本来の千分の一の威力ですからね」
僕はイリスさんたちが座る席の反対側へ向き直ると、魔法陣の一基を作動させます。一瞬の発光で、対面の壁には、直径三十センチ、深さ数メートルの穴が穿たれました。
「貴方が百鬼を使って帝都を落とした事で、空から急襲を受ける可能性があることを、周辺国家は知ったでしょう。
必然的に、空からの攻撃に対する防御も考案され、空への守りは固くなります。しかし、空を飛ぶものはその性質上重量のかさむ重装備をすることができず、攻撃を受けた場合にはあまりにも脆い。
航空戦力は常に空から落ちる事を考慮にいれて、生還する確率をあげる戦術を組むことを推奨いたします」
先ほどの戦闘で、観戦していた官や兵は、光の爆散ともいえる攻撃で、ほとんどが目を負傷した状態です。
少なからず、今後の公務に影響がでるでしょうが、事前に注意をしておいたにもかかわらずの結果ですので、こちらで治療する気はありません。
さて、武を尊ぶ当代の皇帝陛下はどのような反応を示すのでしょうか?
「問答無用というわけですか……まあ、言葉は通じていないのでしょうけど……」
言ってる傍から、二投目三投目の手槍が突き立ちましたが、徐々にこちらの回避を先読みしてくるようになってます。
それと同時に、自らも位置を変えていますので、相手のトレースができない為、亜空間転移マッピングの発動準備ができません。
まさか、読まれた? とはいえ、ただやられっぱなしではいきません。相手が僕の能力を測っているように、僕もなにもしていなかったわけではないことをお見せしましょう。
「地対空魔法、ジャベリン発射」
ジャベリンは対空迎撃用の魔法で、直径十五センチメートルほどの魔法陣から、三×三の九つの氷の槍を打ち出すものです。
射出後は目標付近で三メートル四方の空間を、凍結破砕する程度の攻撃力が有りますし、近接信管よろしく直撃しなくても魔力や体温を検知して炸裂します。
一本が反応すれば、他の八本も連鎖して爆散するので、なかなか強力な武器なのです。とはいえ、まずは様子見で一本辺りの与ダメエリアは一メートル四方というところです。
こちらが魔法陣を展開して、ジャベリンを射出。命中まで二秒といったところでしたが、危なげなく百鬼が横に跳び退り回避されます。
回避までの反応時間が早いですね…… 騎乗している人も、バランスを崩すことなく乗っていられることから、まだまだ回避には余裕があるとみてよいでしょう。
続けて投射される手槍は、今度は炎ではなく紫電をまとっています。まずは足止めか、着弾時に広範囲に形成されるダメージエリアを重ねることで、こちらの移動できる場所を制限する気のようです。
紫電の手槍は、着弾すると直径五メートルほどのダメージエリアを形成するようで、しかも残留時間が十秒ほどあります。
一本一本を躱すことは容易ですが、ダメージエリアを重ねられ、相手の思惑がわかっているのにそれに乗せられています。
相手からすれば、詰将棋などをしているつもりなのかもしれません。碁盤の目のような武舞台上で、徐々に隅のほうへと追いやられた僕の背後で、突然炎の壁が形成されます。
「舞台上から逃げる事をさせないつもりですか…… ますます鬼畜ですね」
空中から余裕を見せている百鬼の将は、右手にひときわ長く大きい炎を槍を形成し、一泊間をおいて投射してきました。
周囲の紫電によるダメージエリアの消失まであと数秒あり、着弾前に回避は困難なようですね。
とはいえ、この程度で怪我でもしたらイリスさんに叱られてしまいますからね。診察という名の生体実験体になるのは避けさせていただきます。それに、反撃の手段が無いわけではありません。
「SAMジャベリン、発射!」
迫りくる炎の槍に、氷のジャベリンを全弾投射。炎の槍の熱に反応して、九本全ての氷槍が連鎖して爆発。一気に融解した氷から形成された水蒸気が渦を巻き、武舞台上の視界を奪いました。
そして、水蒸気の霧が晴れたとき、僕の姿は武舞台上には在りませんでした。紫電と炎が踊る武舞台上を見下ろしていた将が、何かを感じたのか背後を振り向きます。
将には僕がどのように見えたのでしょうか? 背中に白い翼を持ち、周囲に複数の魔法陣を展開した僕は、天使というよりは悪魔の使いに見えたかもしれませんね。
初めて将に驚愕という感情が見えた気がしますが、反撃を待つほど僕はお人よしではありませんよ……
「……残念ながら気付くのが少し遅すぎたようですね。貴方の誤算はただ一つだけ。
それは、空を飛べる者が自分たちだけだと思っていたことです。その驕りを悔いて逝きなさい。
重層展開、ファイナル・ジャベリン投射!」
既に僕を取り巻くように、二重の環状に形成していたジャベリンの射出魔法陣二十四個が青白く一瞬だけ光り、回避できないと判断し僕に向かって突っ込んできた将は、光の中に飲み込まれ……
爆炎が空中に華を咲かせ、そこから血煙を噴きながら舞台上に落下する一つの影。それは肉が石畳に叩きつけられる音を奏で、動きを止めます。
僕は一呼吸つくと、背中に形成した翼を操り、武舞台上にゆっくりと舞い降ります。
生存確認のつもりで、落下した将の脇に降りたのですが、あちこち焼け焦げて意識はありま……せ……ん……と思ったら、僕の足をつかもうとしたので、頭を蹴って意識を完全に飛ばします。
「……なかなかしぶといですね。着用している鎧の効果でしょうか? まあ、いずれにしても無理をすると死にますから、おとなしく寝ててくださいね」
つぶやいた僕は髪をかきあげ、ずれた帽子をかぶりなおします。一応皇帝陛下とやらの前ですからね。身だしなみは多少は整えておきましょう。
着地と同時に背中の白い翼は、金色の光に姿を変えて、一瞬僕の周りをたゆたうと、淡い燐光を放ち消えていきました。
僕は皇帝陛下とやらに向き直り、ポツリとつぶやきます。通訳はエマが行っているので、つぶやく程度でも十分聞き取れるでしょう。
「ファイナル・ジャベリンの威力に誤解がでそうなので言っておきますが、本来の千分の一の威力ですからね」
僕はイリスさんたちが座る席の反対側へ向き直ると、魔法陣の一基を作動させます。一瞬の発光で、対面の壁には、直径三十センチ、深さ数メートルの穴が穿たれました。
「貴方が百鬼を使って帝都を落とした事で、空から急襲を受ける可能性があることを、周辺国家は知ったでしょう。
必然的に、空からの攻撃に対する防御も考案され、空への守りは固くなります。しかし、空を飛ぶものはその性質上重量のかさむ重装備をすることができず、攻撃を受けた場合にはあまりにも脆い。
航空戦力は常に空から落ちる事を考慮にいれて、生還する確率をあげる戦術を組むことを推奨いたします」
先ほどの戦闘で、観戦していた官や兵は、光の爆散ともいえる攻撃で、ほとんどが目を負傷した状態です。
少なからず、今後の公務に影響がでるでしょうが、事前に注意をしておいたにもかかわらずの結果ですので、こちらで治療する気はありません。
さて、武を尊ぶ当代の皇帝陛下はどのような反応を示すのでしょうか?
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