駄女神に拉致られて異世界転生!!どうしてこうなった……

猫缶@睦月

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7.女王の奏でるラプソディー

73.借りは高くつくものです

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 『ニャルラ・トテップ』が消えた後、大量のドロップ品をすべて亜空間収納にしまったり、イリスさんに魔力譲渡してなぜか殴られたりといろいろありましたが、僕たちは無事地上に戻りました。

 時間にして約二時間というところですが、イリスさんとユイが早く艦内に戻りたいらしく、パトリシアさんに帰還の報告だけすませると、詳しい話を聞きたがる冒険者の皆さんとパトリシアさんを放置して、艦に転移で戻ります。

 戻った僕たちは、ワイアット航空指令が倒れた件や、アレキサンドリア本国への『ニャルラ・トテップ』との戦闘記録とこの遺跡についての情報をまとめて提出したりと、慌ただしく一日が過ぎました。

 夕方になって、遺跡げんばから戻ってきたパトリシアさんには、遺跡の最深部で大型の何者かと戦闘したことを告げます。
 『うねうねのぐにぐに』は、なかなか信じてもらえませんでしたが、破格のドロップ品の目録を見せると、問答無用でS級の魔物『這いよる混沌』が登録されたようです。
 遺跡の探索も、当初より少し長めの翌日夕刻までに延長しましたので、多少の不満はあっても納得はされたようですね。なにせ、この艦がここを離れれば、探索をしたいと残った人も、補給なし・帰る手段無しになるのはわかっていますからね。

 翌朝はなぜかカレンさんに叩き起こされ、イリスさんやユイが見守る中で魔力譲渡をさせられるわ、なぜかカレンさんが気を失い、目が覚めたカレンさんに長時間説教をくらう羽目になったのは謎ですが、緊急時以外の魔力譲渡は禁止を言い渡されました。

 そして士官会議では、僕からの宿題の回答を士官の皆さんに報告してもらいましたが……

「……四連装パルス魔道機関銃ですか…… リアンにしては地味で堅実なモノを出してきましたね。配置箇所もほぼ問題ないと思いますが、砲雷科の人員では賄いきれないのではないですか?」

 僕の言葉に、なぜかリアンはふくれっ面になり、隣のアーシャが満面に笑みを浮かべていますね。
 あ~、これはリアンのデタラメな案を、アーシャが無難にまとめあげたとみる方が良さそうです。配備するための資材や消費魔力量、耐久力なども十分許可が出る範囲内に収まっていますしね。

 そして、アンソニー砲雷長が、砲雷科の編成を二班編成にして対応すれば、当面は問題が無い事も報告されています。
 実際、戦闘時には総員起こしとなりますので、被害対策班などのダメコンに割く人員以外を除けば、自分の担当火器に詰めているので、良いようですね。

「……それで、飛行科はなぜ白紙提出なのでしょうか? 説明してもらえますか? ワイアット航空指令?」

 疑問符を沢山つけてジト目でワイアットを睨んだ僕ですが、ハリー航海長やアンソニー砲雷長、アーシャ副機関長からもなぜか僕を責める様な視線を感じるのですが……

「艦長、昨日航空指令が魔力切れで寝込んだのを知っているでしょう? あれって、艦長が召喚したんでしょ? ぶっ倒れて帰ってきた航空指令の治療やらなんやらで昨日はてんてこ舞いだったんですよ。
 聞いたら得体のしれない何かと戦ってる艦長たちに呼び出されてとかいうんですから、報告書を作る時間なんてある訳ないじゃないですか」

 むぅ、そういえばそんなことがありましたね。あえて忘れていたのに、周囲から指摘されるとは思っていませんでしたよ。
 イリスさんやユイまで呆れた顔で僕を見ていますし……

「報告書にまとめる事は出来なかったが、案ならある。量産型ヴァルキリーと翼下攻撃用ポッドの装備だ」

 そう言ってワイアットが一枚の図をパネルに投影します。その図は、僕専用機のヴァルキリーVF-1を複座にして小型化した形状をした感じですね。まるっきり、僕の知っている戦闘機ですよ、これ?

「……これで飛ぶには操縦者の魔力量が圧倒的に足りませんよ。アレキサンドリアでも、この手の飛行体を飛ばせるのは僕とアレクシアさんしかいないんですから。
 ワイアットにしては、実現不可能な案を……」

「……貸しといったはずですが?」

 却下しようとした僕をみて、ワイアットはポツリと呟きます。

 むぅ、まさか見破られてる?

 ヴァルキリーVF-1は、DM2などと違って、ヘリウムガスの浮力とプロペラを回して方向を変える訳ではなく、普通のジェット機と一緒で揚力という力を使って飛びます。
 そして、エンジンの代わりにあるのは多段式の魔法陣がセットされた魔道推進器です。搭乗者が魔力を使うのは一段目の魔法陣を駆動するだけで、二段目以降の魔法陣はオンオフの制御をするだけなので、スロットルレバーと同調する魔道具を作れば負担はかなり軽減されます。

「……長時間の飛行は無理ですよ。それに、今までの物とちがって、操縦特製がちがいますから、本気で人を選ぶ機体になります。それと、資材の問題がありますから、試作機だけしか作れませんよ」

 僕の言葉に、ワイアットがニヤリと笑みを浮かべます。

「短距離迎撃型にすれば問題ないでしょう。飛行時間は三十分もあれば、当面問題はないはずです。
 パイロットは自分、砲術士はライラで設定をしてもらえばいいでしょう。訓練時間も必要ですから、二日くらいで作ってくれますよね、艦長?
 よもや、自分を丸一日眠らせることになったんですから、艦長もそのくらいしてくれると信じていますよ?」

 くぅ、『這いよる混沌』を倒すのに力を借りたことがこんなことで裏目にでるとは……

「魔道機関砲もあるんですよ? 一人で作るんですから時間が……」

「じゃあ、俺が…「私がお手伝いしますね、班長は艦橋をお願いします」…、おう……」

 リアンが何かを言いかけましたが、アーシャが言葉を被せます。うん、リアン、見事に尻に敷かれてますね、良い事です。

 仕方なく僕は肩をすくめます。まあ、良いでしょう。いつまでも借りがあると、利息が高く付きそうですしね。
 了承しようとしたその時、イリスさんから『待った!』がかかります。

「クロエ? 第一優先は、わたくしとユイの魔道具の再構築ですわよ?
 特にユイはいろいろと変わってしまったのだから、再調整しないと魔道具がつかえないのでしょう?」

 へっ? いや確かにそうですが、それをここで言いますか?

 救いを求めて周りを見ますが…… リアンすら目を合わせてくれないですよ!!

 思わず Orz してしまいますが、誰も同情してくれません。はいはい、分かりましたよ、作りますよ!

 この日の会議は、僕の一人負けに終始したのでした。
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