ある日仕事帰りに神様の手違いがあったが無事に転移させて貰いました。

いくみ

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新たな町へ

593話 悩むなケイルスくん。

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一方の暁彦は?

 一週間屋敷を留守にした暁彦は、自分の部屋に戻るとシャワーで身綺麗にしてから部屋を出て一階に降りる。

 一階まで降りると暁彦はリビングに顔を出す。
 が、誰も居ない。
 なんだ……

「ああ、そうか…まだ時間が早いんだったな。皆はまだ其々の持ち場で仕事中か。俺としたことが忘れてたよ」

 そんなことを呟いてリビングに入りソファーに座ると、ネットからアイスコーヒーのペットボトルを取出した。
 そして、アイテムボックスからグラスを出すと氷をグラスに二、三個氷をカランカランと軽い音を立てて入れるとコーヒーを注ぎコーヒーの入ったグラスに口を付けてくいっと飲む。

「あ~美味い!ほっとするねぇ」

 と、独り言ち。

 そんなことをしていると…リビングに誰かが入って来る。

「………だ、旦那様?」

 その声を聞いて暁彦は声の主のに振り向き「よっ!」と軽く手を挙げて挨拶をする。

「よっ!じゃありませんよ。旦那様今までどちらへ?」

「ん~? まあ、あちこちかな」

「あちこち…」

「で? ケイルス君、屋敷に変わりはなかったかな?」

「まあそれといって変わりは無いですよ」

 へぇ~あの領主さん達やギルマス来なかったんだ。それは良かったよ。でも一応確認。

「えっとケイルスくん、ギルマスは?来たかな」

「…ええ、毎日来てます。そして門番に泣きつくそうです」

 あれではカナル達が気の毒ですよと言いながら爽やかに笑う。
 くぅ~このイケメンが!笑顔が眩しいじゃねぇか!

「ふ、ふぅ~んそうなんだ。それから…ブルーはきた?」

 ギルマスの件は、ポイっと宇宙の彼方に投げ捨て次はうちの問題児のことを聞くことに。

「ええ、一度。何か食べさせろとグレドにまとわり付いてましたが、子ども達に捕まっておもちゃに為ってましたね。あれは見ていて、ブルーが気の毒でした」

「そ、そうなんだ。なんかその光景みてみたかったかも。ぷぷっなんか笑える」

「ええ、それはもう微笑ましい光景でしたが。ブルーにしてみれば、笑ってる場合ではなかったかもしれませんよ?」

「そ、そうか。なら後で様子をみて来るよ。それから後は報告ある?」

「それが宜しいかと。あとの報告ですが……あの……旦那様?」

 何かまだあんの?

「な、なに?他にもなにか?」

「いえ、その……旦那様のそのお飲み物は?」

 ケイルスは首を傾げ、さらに黒い飲み物に興味津々のご様子…あ~やったかも。

《気を抜きすぎです》

 そうだったね、でも今更じゃないかな?
 この屋敷の不思議な造りと、いい。(俺は不思議だとは思ってないけどね!)
 飲み食いする物も若干日本寄りに為ってるし。

「ええっとこれは…コーヒーだよ。ケイルスは知ってるだろ?」

 それに屋敷でも…あっ だしてない。

「こ、コーヒーですか?! 貴族の間でもほんの一部でしか飲めないあの!コーヒーでしょうか?」

 凄い剣幕で暁彦に顔を近付けてコーヒーか?と、迫り聞くケイルス。その表情は尋常ではない。(な、なにをそんなに驚く?それも日頃のケイルス君の態度とは程遠い程取り乱してるが?不思議な人だ)と呑気に思う暁彦だ…でも顔ちか!

「ち、近いよ!顔が!ケイルスくん落ち着いて!」

「はっ……こ、これは失礼しました。わたしとしたことが。オホン…旦那様に無礼を…」

 取り乱した自分を落ち着けさせるように、一つ咳払いをして頭を下げるケイルスくん。
 ほんと、珍しいものが見れた。

「い、いや、いいけどね? でもそうなの?」

「は、はい。それはもう!それは生産量が少ないらしく、殆どの物は生産する地域でしかてに入れられないと聞いております。それにその地域の王族でしか飲めないとかなんとか?と聞き及んでおります」

「へぇ~そなんだね? けど俺は結構飲むよ? これ(コーヒー)、それに一部の貴族しかのめないの? これ?」

 そう言ってグラスに入るコーヒーを持ち上げてふむと、不思議がる。

「だ、旦那様は御存じないのですか?」

 また興奮しだすケイルスくん、君顔怖いよ。

「うん、知らない。それに俺は貴族じゃないもん。あっ、ケイルスも飲む?冷たいのと、あったかいのと、どっちがどっちが好きかなぁ~」

 アイス用のペットボトルと、缶コーヒーを鞄から取り出しケイルスにニッコリ微笑んでどっち?と聞いてみた。おや……返事がないぞ?

「ん? 飲まないの」

 するとケイルスは真っ赤になって下を向いてしまった。
 あ、あれ? 俺、なにかしたか?

「おい、ケイルスくん。おーい!コーヒー飲まないの? 飲まないなら仕舞っちゃうよ?」

「はっ! そ、それなら……くぅ~迷います」

 ははは、こいつも面白い人だった。
 たかがコーヒー位で悩むなよ、変な奴だ。
 こんなの何時でも飲めるよ、俺の屋敷で働いてくれるならね。


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