勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します

華音 楓

文字の大きさ
167 / 246
第5章 ここから始まる女神様?

五十日目⑫ 結果……クラフトバカだった件

しおりを挟む
「カイトちょっと良いかしら。」

 俺が変なことを考え込んでいると、背後からエルダが話しかけてきた。
 ヤバいな、全然気が付かなかった。
 
「ん?あ、あぁ、構わないよ。どうしたの?」

 俺が慌ててエルダに向けて返事をすると、近くに居たはずのポールの姿が無かった。
 ポールは、今はリサとデイジーの側に居るようだ。
 いつの間に移動したんだ?

「ポールがね、話の途中でカイトが思考の海に飛び込んだって言ってたんで心配になったのよ。」
「ごめん。さすがにダンジョンでこれはまずかったね。」

 どうやらポールは、俺があまりにも深く考え込みすぎて反応が無くなった事で心配になったらしい。
 それをエルダに相談した事で、いまこうなっているみたいだ。

「それは気を付けるようにしてね。もしこれで襲われたら、私もフォローが間に合わないから。」
「ご、ごめん。」
「それで、これからどうするの?カイトもリサもスライム退治には慣れてきたようだし、フロッグ種と戦うために下に降りる?」

 エルダが確認してきたのは下に降りるか否かと言う事だった。
 しかし、時間も大分遅くなっている気がする。
 本来は第2層まで足を延ばすつもりだったけど、すでに外の時間は夕方近いはずだ。

「いや、今日は引き上げよう。見てくれよ、なんだかんだで俺の手は震えてるよ。」

 俺はおどけた感じで今の身体の状況を説明した。
 さすがに今回は俺でも分かるほどに消耗が激しかったようで、両手共に握力の低下がみられた。
 初めての地形で初めてのモンスター。
 なんだかんだで消耗していたらしい。
 それを自覚出来ただけ成長したんだろうなと思ったりもした。

「カイト、撤収で良いのか?」
「そうするよ。さすがにこの手じゃ更に強い敵とは戦えない。」

 震える手をポールに見せると、一つ頷いて理解を示してくれた。
 その表情はどこか嬉しそうだった。

「いきなり思考の海に飛び込んだり、手が震えているのは消耗の証でもある。よく決断が出来たよ。これが若い冒険者なら無謀にも第2層に突撃してただろうな。」
「さすがにそこまで無謀じゃないさ。」

 俺の返答に満足したのか、ポールの表情は明るかった。
 どうやらかなり心配させてしまっていたようだ。
 リサを見ても、大分消耗が激しそうだった。
 まぁ、あれだけ動き回ればそうなるよねってところか。

「あ、そうだ。ドロップアイテム確認してなかったけど、誰か拾ってくれてた?」

 俺はふと、自分が戦いに夢中になりすぎてドロップアイテムを拾っていなかった事に気が付いた。
 やはり、ここでも周りに目を向けられていなかった事が良く分かるね。

「大丈夫だよぉ~。私が預かってるから。戻ったら全部出すねぇ~。」
「ありがとうデイジー。助かったよ。」

 俺がデイジーに頭を下げると、何でも無いよとデイジーが返してきた。
 うん、仲間の存在って本当に助かるね。

「おや?話は終わりましたかな?カイトさん回復はいかがです?今リサさんも回復し終えたので、もう少ししたら行動に移れそうですよ。」
「そうか……。今日はこれで探索は終了にするよ。それと回復頼んでいいかな?手の感覚が若干怪しいんだ。」

 俺が自分の不調箇所を伝えると、ナンディーはふむふむと言いながら俺の身体を隅々まで見回していた。
 そして一つ頷くと、【回復魔法】をかけてくれた。
 淡い緑色の光が俺の身体を覆うと、かすり傷などが無くなっていくのが良く分かる。
 両手をにぎにぎと握ってみると、手に感覚が戻ってきているのが分かった。
 ありがたい。

「ありがとうナンディー。助かった。ところでなんでさっき俺の身体を見回していったんだ?」
「それはですね、昔の【勇者】一行に随伴していた【聖女】様の教えです。【回復魔法】はただかけるだけでも回復する。しかし、きちんと人の身体を学び、何をしたらどう回復するか、それをイメージ出来れば更に回復は力を増していく。そう言い伝えられているのです。」

 またここでも勇者様案件だった……
 おそらくその【聖女】も医学をかじった転移者か転生者だろうな。
 先輩たちには頭が上がらないよ。

「よし、それじゃあ戻ろうか。」

 俺たちはこうして【湿原のダンジョン】の初回探索を終えたのだった。



 冒険者ギルドに戻ると、キャサリンさんから木工ギルドからの伝言を教えて貰った。
 予定通りレンガ400個が完成したらしい。
 さすがエドワードさんだ。
 俺は早速レンガを受け取りに木工ギルドへと向かった。
 といっても、先に女性陣は【森のアナグマ亭】に戻ってもらった。
 夕食の件もあるので、二手に分かれた形だ。


「お、来たな。裏手に回れ。そこにすべてを置いてきた。」

 どこぞの海賊王でも見ているようで何とも言い難かった。
 もしかして、勇者様は俺とあまり変わらない年代の人間だったのかもしれないなって思ってしまった。

 裏手に回ると、出来上がったレンガが綺麗に積み重なっていた。
 しかも崩れないようにきちんと台を使ってくれている。

「こいつで問題ないか?」
「はい、全く問題ないです。それにしてもよく間に合わせましたね。もっと遅くなるかと思ってました。」
「あぁ、それな。実は職人たちが作業になれたら、どんどんペースアップが進んだんだよ。効率重視で作業を進めた結果……トータル500個のほかに200個の余剰分まで作成できた。これも君のお陰だ。ありがとう。」

 そんなに大それたことしてないんだけどな……

 俺は500個のレンガを収納箱(簡易)に入れられるだけ入れて持ち帰る事にした。
 これで明日は晴れて簡易溶鉱炉の作成日だ。
 なんだかんだでワクワクが止まらなかった。
しおりを挟む
感想 77

あなたにおすすめの小説

国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。

樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。 ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。 国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。 「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

【土壌改良】で死の荒野がSランク農園に!食べただけでレベルアップする野菜で、世界最強ギルド設立

黒崎隼人
ファンタジー
「え? これ、ただのトマトですよ?」 「いいえ、それは食べただけで魔力が全回復する『神の果実』です!」 ブラック企業で働き詰めだった青年は、異世界の名門貴族の三男・ノアとして転生する。 しかし、授かったスキルは【土壌改良】という地味なもの。 「攻撃魔法も使えない役立たず」と罵られ、魔物すら寄り付かない死の荒野へ追放されてしまう。 だが、彼らは知らなかった。 ノアのスキルは、現代の農業知識と合わせることで、荒れ果てた土地を「Sランク食材」が溢れる楽園に変えるチート能力だったことを! 伝説の魔獣(もふもふ)をキュウリ一本で手懐け、行き倒れた天才エルフを極上スープで救い出し、気づけば荒野には巨大な「農業ギルド」が誕生していた。 これは、本人がただ美味しい野菜を作ってのんびり暮らしたいだけなのに、周囲からは「世界を救う大賢者」と崇められてしまう、無自覚・最強の農業ファンタジー!

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします

ランド犬
ファンタジー
 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?

出来損ないと追放された俺、神様から貰った『絶対農域』スキルで農業始めたら、奇跡の作物が育ちすぎて聖女様や女騎士、王族まで押しかけてきた

黒崎隼人
ファンタジー
★☆★完結保証★☆☆ 毎日朝7時更新! 「お前のような魔力無しの出来損ないは、もはや我が家の者ではない!」 過労死した俺が転生したのは、魔力が全ての貴族社会で『出来損ない』と蔑まれる三男、カイ。実家から追放され、与えられたのは魔物も寄り付かない不毛の荒れ地だった。 絶望の淵で手にしたのは、神様からの贈り物『絶対農域(ゴッド・フィールド)』というチートスキル! どんな作物も一瞬で育ち、その実は奇跡の効果を発揮する!? 伝説のもふもふ聖獣を相棒に、気ままな農業スローライフを始めようとしただけなのに…「このトマト、聖水以上の治癒効果が!?」「彼の作る小麦を食べたらレベルが上がった!」なんて噂が広まって、聖女様や女騎士、果ては王族までが俺の畑に押しかけてきて――!? 追放した実家が手のひらを返してきても、もう遅い! 最強農業スキルで辺境から世界を救う!? 爽快成り上がりファンタジー、ここに開幕!

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。