勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します

華音 楓

文字の大きさ
245 / 246
第7章 ここから始まる雁字搦め

五十八日目③ 第4層への覚悟

しおりを挟む
「ふぅ~、とりあえずこんなところかな?」
「上出来じゃないか?」

 俺たちは【湿原のダンジョン】を順調に攻略していた。
 第3層でも問題なく行動する事が出来るようになってきた。
 俺とアリサの連携も問題ないレベルになってきたようだ。
 これについてはポールから及第点が出たようだった。

「それにしてもアリサはすごいね。攻撃をしつつ、バフデバフでずっとフル稼働だよね?」
「そうですね、スキル【並列思考】のおかげでしょうか。最近さらに精度が上がってきている気がしています。」

 どうやら皆にはスキルのレベルという概念がないようで、どちらかと言うと熟練度?的なものらしい。
 どれだけ使い込んだかでその威力だったり精度だったりが増すようだ。
 少し前にレベルの話をしたときのみんなの様子がおかしかったからなんでだろうと思ったら、これが原因だったみたいだ。
 俺と一緒にいると世界の常識が常識では何のでは?と思ってしまうらしい。
 
「第3層は問題ないみたいだな。」
「そうですね。やはり問題は第4層でしょうか。カイトさんとアリサの連携は問題ないですが、我々との練度の溝はいかんせん埋めがたいものがありますからね。」

 俺たちはあらかた第3層での戦闘を終えて、第4層への階段付近で簡易休息をとっていた。
 ポールとナンディーは第4層に進むか否かを悩んでいるようだった。
 当然その対象は俺とアリサ。
 前回同様の展開になった場合、うまく退避できるとは限らないからだ。
 
「一応ギルドが巡回してこの前のように【イレギュラー】の出没ってことはないみたいだけど、万が一の事があるしね。第4層は厳しいって言わざるを得ないよね。」
「そうね……こればかりは贔屓目に見ても厳しいわよね……」

 デイジーとエルダも同様に、俺たちを心配していた。
 こればっかりは経験の差だけあって埋めようにも埋められるものじゃない。
 アリサも何か言いたげだったけど、その言葉を飲み込むように沈黙を貫いた。
 
「八方ふさがりって感じか……」

 ポールの言葉が重くのしかかった。
 それだけ前回の失敗が俺たちに傷をつけていた。
 だけど……ここで止まって良いのか……
 これから俺はもっともっと冒険したいんじゃないのか?
 
「ごめん皆。もう一度チャンスをもらえないかな。皆の心配も分かるんだ。だけどこの剣の性能を信じてみたいんだ。ここまで戦ってみて、この剣の性能が今までとは段違いだってよくわかった。それにここを超えないと俺は前に進めないんだろ?だったら進むしかないと思う。」

 俺は腰に下げた新し相棒にそっと手を添える。
 第3層での戦闘力は格段に上がった。
 移動速度とか上がったわけじゃない。
 手数だって同じだ。
 だけどその一撃一撃の攻撃力は比ではなかった。
 だから俺はこの剣を……ココットを信じることにした。

 ナンディーが俺に視線を向けてきた。
 何か確認するような……そして探るように。
 俺はナンディーが何を考えているのかは分からない。
 だけどナンディー的に何か感じるものがあったのか、ふむと一つ頷くと、ポールにまた視線を移した。
 
「そうですね……カイトさんの覚悟も決まったようですし、ここはひとつ試しに進んでみませんか?」

 ナンディーはそう言うとにこやかに笑みを浮かべる。
 そこにはすでに俺を止めようという意思は感じられなかった。
  
「ナンディーもこう言ってることだし、エルダ……どうする?俺はナンディーに賛成するが。」
「分かったわ。この前の二の前にならないように、私たちが全力でフォローする。アリサも頑張って!!」

 ポールも諦めたというよりは、納得してくれたんだと思う。
 小さくため息を吐くポール。
 なんか今度胃薬準備してあげた方が良いのかな?
 むしろポーションで治りそうな気もしなくはないな。

 エルダはポールとナンディーにこうまで言われれば反対するつもりはないらしい。
 俺をってよりもアリサに向けてエールを送っていた。
 デイジーはうんうんと頷いていたから、同意と受け取っていいと思う。

 そしてそんなこんなで俺たちは第4層に足を踏み入れたんだけど……



「なあ、ポール……」
「なんだ、カイト……」

 第4層に降りると、そこには数匹のスライムたちがいた。
 この前であった【スライムヘッジホッグ】と【マッドスライム】なんだが……俺たちは肩透かしを食らっていた。
 確かに第3層に比べてスライムたちの連携は強さを増していた。
 だけど、この前のあの惨状に比べたら可愛さすら感じる。
 
「あの時の状況って本当に【イレギュラー】のせいだったんだな……」
「そうだな……」

 おそらく俺たちが見ていない所で【イレギュラー】個体がこの群れを成業していたんだろうって答えに落ち着いた。
 そうでも考えなければこの落差は説明がつかなすぎる。
 しかもさっきから【ヒーリングスライム】にすらほとんど出会わない。
 出没数から考えても前回が異常だったってことは理解できた。

 そのおかげもあってか俺たちは順調に第4層を探索していく。
 時折見かける群に少してこずったりしたものの、全体通してみれば無難に戦闘をこなせるようになってきていた。

 この階に降りるまでの俺の覚悟と決意を返してほしいって心の底から思ってしまったのは内緒だ。
しおりを挟む
感想 77

あなたにおすすめの小説

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい

ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆ 気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。 チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。 第一章 テンプレの異世界転生 第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!? 第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ! 第四章 魔族襲来!?王国を守れ 第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!? 第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~ 第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~ 第八章 クリフ一家と領地改革!? 第九章 魔国へ〜魔族大決戦!? 第十章 自分探しと家族サービス

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。