33 / 142
第5章 壁の先にあるもの
第33話 緊急事態と命令無視
しおりを挟む
封印解除の承認後、淡い光を放ち始める魔石。
その光は徐々に強くなりそして一つの魔砲を形作る。
それは以前リンリッドが使用していた愛銃でもあるライフルを元型にした魔砲であった。
細部は違えどその見た目は似ており、面制圧よりも一撃の威力を重視した形であった。
「いつ見ても不思議な感じだな。中隊長の【ブラックスミス】を見ていて思うが、リヒテルのはまた雰囲気が違うな。光り方が中隊長よりもさらに強い。いわば強そうだ!!」
アドリアーノは魔砲生成を終えたリヒテルに近づくと魔法をまじまじと見つめていた。
リヒテルが普段使っているのは連携を意識して、制圧力を優先した魔銃である。
アサルトライフルと呼ばれる分類で、今作ったライフル型魔砲とは違うコンセプトのもとに生まれた魔銃である。
「強そうって……。ランク3の開放ですからそれほどでもないですよ。中型機械魔を貫通できれば御の字です。」
「十分だと思うぞ……」
小隊メンバーはリヒテルの発言に呆れながら生暖かい目で見つめるのであった。
「よし、アドリアーノ小隊はこれより立入禁止区域ランク3であるこの森の西側A5で補給を受けつつ北側D4を目指す。途中の補給部隊の合流の前に群れに遭遇した場合は補給部隊には近づけないよう細心の注意を払うように。以上。それでは出発する。」
出発の準備を整えたリヒテルたちはアドリアーノの号令とともに野営地を出発した。
合流地点までは直線距離で約30km。
リヒテルたち狩猟者の身体能力をもってすればどうってことのない道のりである。
おそらく合流までは約1時間もかからない予測となっていた。
移動を始めて10分後、リヒテルたちの腕輪からブザーが鳴り響く。
小隊に一気に緊張が走った。
周辺警戒態勢に移行した小隊は、相互に死角を補い密集形態となる。
『アドリアーノ小隊応答願う!!こちら補給第8部隊!!こちら第8補給部隊!!現在機械魔の群れが接近中!!ランク3を多数確認!!至急応援願う!!って、ちょっと待て!!来るな!!すぐに退避だ!!ランク4相当の大型機械魔確認!!【イレギュラー】体だ!!にげ………………。』
補給部隊の通信が途中で途切れ、緊急事態であることが伝わってくる。
小隊全員に緊張の色がうかがえる。
アドリアーノはすぐに本部に連絡を入れ、対応を迫る。
本部としては立入禁止区域ランク3に作戦展開中の全部隊に即時撤退の命令を下した。
しかし、アドリアーノはいい顔をしなかった。
そして小隊のメンバーの顔を見回す。
そこには覚悟を決めた強い意志が見てとれた。
「本部……聞こえますか?こちらアドリアーノ小隊、こちらアドリアーノ小隊。本部応答願います。応答願います。ってあれ~おかしいなぁ~。通信が悪いのか?これだからテスト機は困るよな。本部~?本部~~~?」
通信機器からは本部の声が聞こえてくる。
しかしアドリアーノはあえて聞こえてこないふりをしていた。
「こちらアドリアーノ部隊。本部応答ねが……ます。ほ……お……ね……ます。」
ピッ
アドリアーノは本部の声を無視し通信を強制的に切断してしまった。
「いや~困った困った。通信が切れて作戦の最終確認ができなくなってしまったよ。」
両手を広げていかにも困ったといわんばかりのジェスチャーをするアドリアーノ。
あまりの白々しさにリヒテルも思わず笑ってしまった。
「アドリアーノさん。行きましょう。」
「わかってきたねぇ~リヒテル。悪いなみんな。一緒に怒られてくれ。」
アドリアーノはおどけた雰囲気でメンバーに頭を下げる。
全員すでに覚悟は決まっていたのでたいして気にはしていない様子であった。
「アドリアーノ小隊各位、これより第8補給部隊の救援に向かう。各自5分で装備点検ののち出発とする。かかれ!!」
アドリアーノの号令とともに即座に行動を開始する。
リヒテルも自身の装備を確認していく。
防具も魔砲も特に問題は見られなかった。
魔石も回収分を使えば問題はない量を確保している。
一つ気になる点は魔銃用の残弾が心許ない点だけである。
最悪封印をセキュリティーレベル4まで〝強制開放〟すればいいとも考えていた。
「では出発する!!」
きっちり5分後、準備を終えたアドリアーノ小隊は第8補給部隊の救援へと向かうのであった。
「こいつはひでぇ~な……」
第8補給部隊との合流予定地点へ近づくにつれ、小型・中型の機械魔に遭遇する頻度が増えていく。
一体一体は特に問題は生じてはいなかった。
しかし、普段の個体よりも性能が上がっているように感じていた。
しかも連携が取れすぎている。
おそらくリーダー格になる機械魔が存在しているのだろうとアドリアーノは推測する。
「気を付けろ、おそらくランク3相当の指揮クラスの機械魔が発生している。囲まれたら俺たちも厳しくなる。警戒を怠るな。」
「了解。」
耳につけた無線機からアドリアーノの指示が飛ぶ。
リヒテルは射撃管制補助装置越しに周囲を警戒する。
射撃管制補助装置の照準補助機能を利用して早期索敵を行っていた。
おかげで数回早期の発見ができ、遭遇戦にならずに済んでいた。
そして合流予定地点についたアドリアーノの小隊が目にしたものは凄惨な殺戮現場であった。
そこにはいくつもの大穴が開いており、激しい戦闘が繰り広げられていたことがうかがえた。
警戒しつつも周囲を伺うと、いくつもの装備品や遺体が転がっている。
原型をとどめている遺体は少なく、だれか判別するのは難しい状況であった。
「各自警戒体制のまま生存者の確認。離れすぎるなよ。」
リヒテルたちは各自の距離を保ったまま散会し、生存者の確認を行う。
むろん索敵は怠ることはしなかった。
リヒテルが受け取るはずであった弾薬箱も散乱しており、いくつかは使用不可の状況だった。
幸いだったのが4ケースほど無事なものが見つかり、補給が可能であったことだった。
「一旦集合。ここでの生存者捜索を完了する。」
10分ほど確認作業を行ったが、生存者は見つからなかった。
しかし遺体の数から考えると、遺体が少なすぎたのが気がかりだった。
アドリアーノも同じ結論に達したようで、戦闘の痕跡のあるほうを確認することにしたのだった。
しばらく確認作業を続けると、茂みがガサゴソと動き始めた。
リヒテルたちは一気に戦闘態勢に移り、いつ機械魔が襲ってきてもいいように気構える。
しかしいくら待っても襲ってくる気配がしない。
しびれを切らしたリチャードは大楯を構えゆっくりと茂みに近づいていく。
「隊長!!すぐに来てください!!」
リチャードが目にしていたものは一人の少女であった。
全身傷だらけで今にも事切れそうな様子であった。
リチャードは慌ててその少女に近づく。
普段ならそんなことは絶対にありえない行動である。
しかし、この戦場でこの状況。
リチャードの意識から警戒心が消えてしまっていた。
「たす……けて……。」
「大丈夫だ。すぐに治療してやるかなら。」
リチャードは手にしていた大楯から手を放し、インベントリから止血剤と包帯を取り出す。
そして治療のため少女に手をかけた時であった。
その少女から聞こえるはずのない音が聞こえてきたのだ。
そう、機械音が。
「寄生体だ!!」
その言葉とともに飛びのくリチャード。
少しでも反応が遅れていたらリチャードはこの世にいなかった可能性があった。
その場所にはいくつものとげが迫り出していたのだ。
「たす……けて……お兄ちゃん……」
少女は助けを求めて飛びのいたリチャードに手を伸ばす。
その伸ばされた腕はぐにゃりといびつに形を変えていった。
その光は徐々に強くなりそして一つの魔砲を形作る。
それは以前リンリッドが使用していた愛銃でもあるライフルを元型にした魔砲であった。
細部は違えどその見た目は似ており、面制圧よりも一撃の威力を重視した形であった。
「いつ見ても不思議な感じだな。中隊長の【ブラックスミス】を見ていて思うが、リヒテルのはまた雰囲気が違うな。光り方が中隊長よりもさらに強い。いわば強そうだ!!」
アドリアーノは魔砲生成を終えたリヒテルに近づくと魔法をまじまじと見つめていた。
リヒテルが普段使っているのは連携を意識して、制圧力を優先した魔銃である。
アサルトライフルと呼ばれる分類で、今作ったライフル型魔砲とは違うコンセプトのもとに生まれた魔銃である。
「強そうって……。ランク3の開放ですからそれほどでもないですよ。中型機械魔を貫通できれば御の字です。」
「十分だと思うぞ……」
小隊メンバーはリヒテルの発言に呆れながら生暖かい目で見つめるのであった。
「よし、アドリアーノ小隊はこれより立入禁止区域ランク3であるこの森の西側A5で補給を受けつつ北側D4を目指す。途中の補給部隊の合流の前に群れに遭遇した場合は補給部隊には近づけないよう細心の注意を払うように。以上。それでは出発する。」
出発の準備を整えたリヒテルたちはアドリアーノの号令とともに野営地を出発した。
合流地点までは直線距離で約30km。
リヒテルたち狩猟者の身体能力をもってすればどうってことのない道のりである。
おそらく合流までは約1時間もかからない予測となっていた。
移動を始めて10分後、リヒテルたちの腕輪からブザーが鳴り響く。
小隊に一気に緊張が走った。
周辺警戒態勢に移行した小隊は、相互に死角を補い密集形態となる。
『アドリアーノ小隊応答願う!!こちら補給第8部隊!!こちら第8補給部隊!!現在機械魔の群れが接近中!!ランク3を多数確認!!至急応援願う!!って、ちょっと待て!!来るな!!すぐに退避だ!!ランク4相当の大型機械魔確認!!【イレギュラー】体だ!!にげ………………。』
補給部隊の通信が途中で途切れ、緊急事態であることが伝わってくる。
小隊全員に緊張の色がうかがえる。
アドリアーノはすぐに本部に連絡を入れ、対応を迫る。
本部としては立入禁止区域ランク3に作戦展開中の全部隊に即時撤退の命令を下した。
しかし、アドリアーノはいい顔をしなかった。
そして小隊のメンバーの顔を見回す。
そこには覚悟を決めた強い意志が見てとれた。
「本部……聞こえますか?こちらアドリアーノ小隊、こちらアドリアーノ小隊。本部応答願います。応答願います。ってあれ~おかしいなぁ~。通信が悪いのか?これだからテスト機は困るよな。本部~?本部~~~?」
通信機器からは本部の声が聞こえてくる。
しかしアドリアーノはあえて聞こえてこないふりをしていた。
「こちらアドリアーノ部隊。本部応答ねが……ます。ほ……お……ね……ます。」
ピッ
アドリアーノは本部の声を無視し通信を強制的に切断してしまった。
「いや~困った困った。通信が切れて作戦の最終確認ができなくなってしまったよ。」
両手を広げていかにも困ったといわんばかりのジェスチャーをするアドリアーノ。
あまりの白々しさにリヒテルも思わず笑ってしまった。
「アドリアーノさん。行きましょう。」
「わかってきたねぇ~リヒテル。悪いなみんな。一緒に怒られてくれ。」
アドリアーノはおどけた雰囲気でメンバーに頭を下げる。
全員すでに覚悟は決まっていたのでたいして気にはしていない様子であった。
「アドリアーノ小隊各位、これより第8補給部隊の救援に向かう。各自5分で装備点検ののち出発とする。かかれ!!」
アドリアーノの号令とともに即座に行動を開始する。
リヒテルも自身の装備を確認していく。
防具も魔砲も特に問題は見られなかった。
魔石も回収分を使えば問題はない量を確保している。
一つ気になる点は魔銃用の残弾が心許ない点だけである。
最悪封印をセキュリティーレベル4まで〝強制開放〟すればいいとも考えていた。
「では出発する!!」
きっちり5分後、準備を終えたアドリアーノ小隊は第8補給部隊の救援へと向かうのであった。
「こいつはひでぇ~な……」
第8補給部隊との合流予定地点へ近づくにつれ、小型・中型の機械魔に遭遇する頻度が増えていく。
一体一体は特に問題は生じてはいなかった。
しかし、普段の個体よりも性能が上がっているように感じていた。
しかも連携が取れすぎている。
おそらくリーダー格になる機械魔が存在しているのだろうとアドリアーノは推測する。
「気を付けろ、おそらくランク3相当の指揮クラスの機械魔が発生している。囲まれたら俺たちも厳しくなる。警戒を怠るな。」
「了解。」
耳につけた無線機からアドリアーノの指示が飛ぶ。
リヒテルは射撃管制補助装置越しに周囲を警戒する。
射撃管制補助装置の照準補助機能を利用して早期索敵を行っていた。
おかげで数回早期の発見ができ、遭遇戦にならずに済んでいた。
そして合流予定地点についたアドリアーノの小隊が目にしたものは凄惨な殺戮現場であった。
そこにはいくつもの大穴が開いており、激しい戦闘が繰り広げられていたことがうかがえた。
警戒しつつも周囲を伺うと、いくつもの装備品や遺体が転がっている。
原型をとどめている遺体は少なく、だれか判別するのは難しい状況であった。
「各自警戒体制のまま生存者の確認。離れすぎるなよ。」
リヒテルたちは各自の距離を保ったまま散会し、生存者の確認を行う。
むろん索敵は怠ることはしなかった。
リヒテルが受け取るはずであった弾薬箱も散乱しており、いくつかは使用不可の状況だった。
幸いだったのが4ケースほど無事なものが見つかり、補給が可能であったことだった。
「一旦集合。ここでの生存者捜索を完了する。」
10分ほど確認作業を行ったが、生存者は見つからなかった。
しかし遺体の数から考えると、遺体が少なすぎたのが気がかりだった。
アドリアーノも同じ結論に達したようで、戦闘の痕跡のあるほうを確認することにしたのだった。
しばらく確認作業を続けると、茂みがガサゴソと動き始めた。
リヒテルたちは一気に戦闘態勢に移り、いつ機械魔が襲ってきてもいいように気構える。
しかしいくら待っても襲ってくる気配がしない。
しびれを切らしたリチャードは大楯を構えゆっくりと茂みに近づいていく。
「隊長!!すぐに来てください!!」
リチャードが目にしていたものは一人の少女であった。
全身傷だらけで今にも事切れそうな様子であった。
リチャードは慌ててその少女に近づく。
普段ならそんなことは絶対にありえない行動である。
しかし、この戦場でこの状況。
リチャードの意識から警戒心が消えてしまっていた。
「たす……けて……。」
「大丈夫だ。すぐに治療してやるかなら。」
リチャードは手にしていた大楯から手を放し、インベントリから止血剤と包帯を取り出す。
そして治療のため少女に手をかけた時であった。
その少女から聞こえるはずのない音が聞こえてきたのだ。
そう、機械音が。
「寄生体だ!!」
その言葉とともに飛びのくリチャード。
少しでも反応が遅れていたらリチャードはこの世にいなかった可能性があった。
その場所にはいくつものとげが迫り出していたのだ。
「たす……けて……お兄ちゃん……」
少女は助けを求めて飛びのいたリチャードに手を伸ばす。
その伸ばされた腕はぐにゃりといびつに形を変えていった。
10
あなたにおすすめの小説
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
軽トラの荷台にダンジョンができました★車ごと【非破壊オブジェクト化】して移動要塞になったので快適探索者生活を始めたいと思います
こげ丸
ファンタジー
===運べるプライベートダンジョンで自由気ままな快適最強探索者生活!===
ダンジョンが出来て三〇年。平凡なエンジニアとして過ごしていた主人公だが、ある日突然軽トラの荷台にダンジョンゲートが発生したことをきっかけに、遅咲きながら探索者デビューすることを決意する。
でも別に最強なんて目指さない。
それなりに強くなって、それなりに稼げるようになれれば十分と思っていたのだが……。
フィールドボス化した愛犬(パグ)に非破壊オブジェクト化して移動要塞と化した軽トラ。ユニークスキル「ダンジョンアドミニストレーター」を得てダンジョンの管理者となった主人公が「それなり」ですむわけがなかった。
これは、プライベートダンジョンを利用した快適生活を送りつつ、最強探索者へと駆け上がっていく一人と一匹……とその他大勢の配下たちの物語。
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました
髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」
気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。
しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。
「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。
だが……一人きりになったとき、俺は気づく。
唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。
出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。
雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。
これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。
裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか――
運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。
毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります!
期間限定で10時と17時と21時も投稿予定
※表紙のイラストはAIによるイメージです
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした
夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。
しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。
彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。
一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!
ダンジョン冒険者にラブコメはいらない(多分)~正体を隠して普通の生活を送る男子高生、実は最近注目の高ランク冒険者だった~
エース皇命
ファンタジー
学校では正体を隠し、普通の男子高校生を演じている黒瀬才斗。実は仕事でダンジョンに潜っている、最近話題のAランク冒険者だった。
そんな黒瀬の通う高校に突如転校してきた白桃楓香。初対面なのにも関わらず、なぜかいきなり黒瀬に抱きつくという奇行に出る。
「才斗くん、これからよろしくお願いしますねっ」
なんと白桃は黒瀬の直属の部下として派遣された冒険者であり、以後、同じ家で生活を共にし、ダンジョンでの仕事も一緒にすることになるという。
これは、上級冒険者の黒瀬と、美少女転校生の純愛ラブコメディ――ではなく、ちゃんとしたダンジョン・ファンタジー(多分)。
※小説家になろう、カクヨムでも連載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる