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七回目
第16話
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——————今日は20✕✕年8月5日の朝です!!朝です!!起きるのです!!——————
今度は殺されてないはずなのにな……
転落死もこの朝に戻ると。
どうやら僕はどんな死に方をしたとしても、この時間に戻されるってことか。
それと今回の死亡原因が殺人じゃないってことは、学校関係者に殺されるっていう仮説の信ぴょう性が微妙になってきたってことか。
もし学校関係者なら、もっと早くに殺せたはず。
もしくは、僕が一人になるタイミングを計ってた?
確かにお昼休みまで一人になることはなかった。
ほとんどの場合輝がそばにいたし、そうじゃなくても誰かしら傍にいたな。
うん、やっぱり材料が足りない。
犯人が絞り込めない以上、手も足も出ないじゃないか……
——————今日は20✕✕年8月5日の朝です!!朝です!!起きるのです!!——————
「お兄ちゃん煩いよ!!高3にもなって、その目覚ましって痛いからね!!」
つい考えこんでしまって、目覚ましを止めるの忘れてた。
ルリが怒るのも無理はないよね。
このアニメボイスがずっと流れているんだから。
ごめんルリ……
僕は目覚まし時計を止めると、カーテンと窓を開け、空気の入れ替えをした。
日課の作業だけに、やらないって方が気持ち悪かったりする。
窓の外から聞こえるサイレンと、無理やり入り込もうとする生温い風。
どちらも僕からすれば勘弁願いたいとしか思えなかった。
空気の入れ替えを終えた僕は、リビングへ向かう。
リビングでは父さんが新聞を読み、キッチンでは母さんが朝食の準備、洗面所ではルリが身支度。
いつもと変わらない日常がそこに有った。
——————臨時ニュースです。昨夜○○県✕✕市の路上で、男性の遺体が発見されました。状況から殺人とみて警察が捜査を開始した模様です。詳細については……——————
「犯人は捕まらずか……怖い世の中だな」
父さんは新聞から目を外し、流れているニュースを見入っていた。
いつになく真剣な表情の父さんは、一家の大黒柱として家族を守ろうと思ってくれているんだろうな。
「しんぱいねぇ。早く捕まってくれるといいんだけど……」
母さんがテレビを見ながらため息を漏らしていた。
まあ、当然といえば当然の反応かもしれない。
「ほんとだよねぇ~」
顔を洗ってすっきりした様子のルリが、テレビをちらりと見ると、どこかげんなりした表情を浮かべていた。
朝から殺人事件のニュース、しかも自分たちが住む街で起こったことであればなおのことだ。
「そう言えば、町内会の田中さんの息子さんなんだけど、あまりいい噂が流れていないわね。犯人が田中さんの息子さんなんじゃないのかって話も出ていて……さすがに証拠もなしにそれを言うのは失礼すぎるって窘めたけど、どれだけの人が信じちゃったか……」
「そうだな。犯人と決まっていないのに、周りが犯人扱いするっていうのは感心しないな。お前たちもそう言ったことはしてはだめだからな?」
母さんの話を受けて、父さんが僕たちを窘めた。
昔から父さんは、噂を鵜呑みにしてはいけないと口酸っぱく言ってたっけ。
父さん自身、昔会社でその噂のせいで嫌な思いをしたって話をしてくれてたっけ。
朝食を終えた俺は、自室に戻り今後の事について考えていた。
まずは僕が殺された状況を整理しよう。
最初は普通の通学時間に心臓破りの急こう配で左から刺された。
二回目も同じだった。
この時は自分がループ世界に迷い込んでるなんて思いもしなかったから。
三回目は左側を護っていたら、右側から刺された。
この事から、僕が何か対策していることを犯人が知っているってことになる。
4回目は家を20分早く出て学校へ行った。
これで同じ場所で刺されはしなかったけど、今度は校内で後ろから刺された。
この事から、犯人は学校に警戒されることなく侵入可能な人物であることが仮定できる。
そして5回目……ルリが攫われた。
僕が1時限分遅れて学校に行ったために起こった……
通学中に恐らくスタンガンで気を失わされ、埒られた可能性が高い。
目を覚ました場所から考えると、コンクリート造りの個室を準備できる人物。
そして何より、ルリが警戒しない人物に限られる。
そんな人物なんて一握りもいいところだ。
最後の6回目……これはイレギュラーととらえていいかもしれない。
屋上の柵が壊れていて、それに気が付かず転落死するなんて、あまりにもあほすぎる。
犯人からすれば、ビックリな出来事だったろうな。
これらを考えると、
①犯人は何らかの方法で僕の行動を監視している。
②犯人はルリの知り合い又は警戒しない人物。
③犯人は恐らく学校関係者。
このくらいだろうか。
情報不足もいいところだな。
とは言えこれ以上殺されるなんてまっぴらごめんだ。
どうすれば回避できるのか……
とりあえずルリが一人になることが無いようにしないとな。
前回は学校まで行けたんだから、そこまでは同じ行動でいいはずだ。
その先で問題だったのが屋上での過ごし方。
さすがに愛理からの誘いを断れないし……輝とのゲームを辞めたらいいのか。
ただ、そもそも学校自体が安全とも言い切れない。
となると、早退するっていうのも手かもしれない。
トイレに行くふりしてそっと帰ってみるか……
そして僕はこれを実行に移すことにした。
今度は殺されてないはずなのにな……
転落死もこの朝に戻ると。
どうやら僕はどんな死に方をしたとしても、この時間に戻されるってことか。
それと今回の死亡原因が殺人じゃないってことは、学校関係者に殺されるっていう仮説の信ぴょう性が微妙になってきたってことか。
もし学校関係者なら、もっと早くに殺せたはず。
もしくは、僕が一人になるタイミングを計ってた?
確かにお昼休みまで一人になることはなかった。
ほとんどの場合輝がそばにいたし、そうじゃなくても誰かしら傍にいたな。
うん、やっぱり材料が足りない。
犯人が絞り込めない以上、手も足も出ないじゃないか……
——————今日は20✕✕年8月5日の朝です!!朝です!!起きるのです!!——————
「お兄ちゃん煩いよ!!高3にもなって、その目覚ましって痛いからね!!」
つい考えこんでしまって、目覚ましを止めるの忘れてた。
ルリが怒るのも無理はないよね。
このアニメボイスがずっと流れているんだから。
ごめんルリ……
僕は目覚まし時計を止めると、カーテンと窓を開け、空気の入れ替えをした。
日課の作業だけに、やらないって方が気持ち悪かったりする。
窓の外から聞こえるサイレンと、無理やり入り込もうとする生温い風。
どちらも僕からすれば勘弁願いたいとしか思えなかった。
空気の入れ替えを終えた僕は、リビングへ向かう。
リビングでは父さんが新聞を読み、キッチンでは母さんが朝食の準備、洗面所ではルリが身支度。
いつもと変わらない日常がそこに有った。
——————臨時ニュースです。昨夜○○県✕✕市の路上で、男性の遺体が発見されました。状況から殺人とみて警察が捜査を開始した模様です。詳細については……——————
「犯人は捕まらずか……怖い世の中だな」
父さんは新聞から目を外し、流れているニュースを見入っていた。
いつになく真剣な表情の父さんは、一家の大黒柱として家族を守ろうと思ってくれているんだろうな。
「しんぱいねぇ。早く捕まってくれるといいんだけど……」
母さんがテレビを見ながらため息を漏らしていた。
まあ、当然といえば当然の反応かもしれない。
「ほんとだよねぇ~」
顔を洗ってすっきりした様子のルリが、テレビをちらりと見ると、どこかげんなりした表情を浮かべていた。
朝から殺人事件のニュース、しかも自分たちが住む街で起こったことであればなおのことだ。
「そう言えば、町内会の田中さんの息子さんなんだけど、あまりいい噂が流れていないわね。犯人が田中さんの息子さんなんじゃないのかって話も出ていて……さすがに証拠もなしにそれを言うのは失礼すぎるって窘めたけど、どれだけの人が信じちゃったか……」
「そうだな。犯人と決まっていないのに、周りが犯人扱いするっていうのは感心しないな。お前たちもそう言ったことはしてはだめだからな?」
母さんの話を受けて、父さんが僕たちを窘めた。
昔から父さんは、噂を鵜呑みにしてはいけないと口酸っぱく言ってたっけ。
父さん自身、昔会社でその噂のせいで嫌な思いをしたって話をしてくれてたっけ。
朝食を終えた俺は、自室に戻り今後の事について考えていた。
まずは僕が殺された状況を整理しよう。
最初は普通の通学時間に心臓破りの急こう配で左から刺された。
二回目も同じだった。
この時は自分がループ世界に迷い込んでるなんて思いもしなかったから。
三回目は左側を護っていたら、右側から刺された。
この事から、僕が何か対策していることを犯人が知っているってことになる。
4回目は家を20分早く出て学校へ行った。
これで同じ場所で刺されはしなかったけど、今度は校内で後ろから刺された。
この事から、犯人は学校に警戒されることなく侵入可能な人物であることが仮定できる。
そして5回目……ルリが攫われた。
僕が1時限分遅れて学校に行ったために起こった……
通学中に恐らくスタンガンで気を失わされ、埒られた可能性が高い。
目を覚ました場所から考えると、コンクリート造りの個室を準備できる人物。
そして何より、ルリが警戒しない人物に限られる。
そんな人物なんて一握りもいいところだ。
最後の6回目……これはイレギュラーととらえていいかもしれない。
屋上の柵が壊れていて、それに気が付かず転落死するなんて、あまりにもあほすぎる。
犯人からすれば、ビックリな出来事だったろうな。
これらを考えると、
①犯人は何らかの方法で僕の行動を監視している。
②犯人はルリの知り合い又は警戒しない人物。
③犯人は恐らく学校関係者。
このくらいだろうか。
情報不足もいいところだな。
とは言えこれ以上殺されるなんてまっぴらごめんだ。
どうすれば回避できるのか……
とりあえずルリが一人になることが無いようにしないとな。
前回は学校まで行けたんだから、そこまでは同じ行動でいいはずだ。
その先で問題だったのが屋上での過ごし方。
さすがに愛理からの誘いを断れないし……輝とのゲームを辞めたらいいのか。
ただ、そもそも学校自体が安全とも言い切れない。
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トイレに行くふりしてそっと帰ってみるか……
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