絶望の鈴音(りんね)~夢幻の牢獄と僕と……~

華音 楓

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八回目

第19話

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——————今日は20✕✕年8月5日の朝です!!朝です!!起きるのです!!——————

「またか……」

 僕の口から洩れた言葉は、どこか虚無感を漂わせていた。
 自分で言うのもなんだけど、そうとしか表現できないものだった。
 確実に僕の行動は読まれている。
 そうでもなきゃこんなピンポイントで、襲ってくるか?
 しかも前回は一旦学校行って、ばれないように帰ってきたのにも関わらずぞ?
 僕の行動を見張っている……そう思わなきゃ説明がつかない。
 今度は人混みの多い場所へ逃げてみるか……って、やっぱり自分の命が軽くなってるな。
 死にたくないはずなのに、クリア方法を探している死に戻りゲーをリアル体験しているみたいだ。
 犯人の目的も分からない以上、僕に打つ手は恐らくない。
 犯人の気まぐれでどうとでもなる、そう思わずにはいられなかった。

 次のアラームが鳴る前に目覚まし時計を止めると、いつものようにカーテンと窓を開け、空気の入れ替えをする。
 僕は軽い身支度を済ませ、リビングへと向かった。
 リビングでは相も変わらず父さんは新聞を見ていた。
 母さんはキッチンで朝食を。
 ルリは……ってまだ起きてないか。

「おはよう父さん。」
「今日は早いんだな。」

 父さんは新聞から目を放すことはなく、食い入るように読みふけっていた。
 何を読んでいるのかと気になったら、どうやらローカル記事を読んでいた。
 そこにはここ数週間で多数の犬猫などの動物の不審死や虐待死の事が記載されていた。
 そう言えば母さんも似たようなことを話していたな。
 今回の件とは関係ないとはいえ、同じ街の中でこうも立て続けに事件が起こるとつい関連付けてしまいたくなる。

「あれ?これって……」
「どうした悠一……あぁ、これか。ここ最近ハトや猫なんかが、ナイフでバラバラに切断されているらしい。しかも同じ刃物みたいだから、連続犯じゃないかって話が出てたな。」

 父さんは前々から動物虐待の件は知っていたようで、どうやらローカルニュース内で頻繁に書かれている内容だったみたいだ。
 詳しく父さんに話を聞くと、事件自体はここ一年くらいだったらしい。
 最初は野良猫の毛がバリカンの様なもので適当に刈られてたみたいだった。
 それからしばらくそれが続き、今度は傷を負う猫や犬が現れたらしい。
 そしてここ最近は野鳥や犬猫が捉えられて、そのまま殺されたり、バラバラにされたりと、犯行がエスカレートしているんだとか・
 それもあって、ついに……って考える人も出始めているみたいだ。
 とは言え関連性はまだ認め垂れていないって記事にもなっていることから、僕たち一般人には判断がつかないことでもある。

 朝食を前にこんな話をしていると、洗顔を終えたルリに朝から気持ち悪いと怒られてしまった。
 とは言え、かなり大事な話でもある事だったので、父さんからも十分に注意するように念を押された。

「あ、そうだルリ。さっきのニュースの件もあるし、今日は絶対に一人で光度をしないようにな?それと出来れば友達と行動を一緒にした方が安全策だろうね」
「確かに、さっきのニュースを見ると、ばかばかしいって言えないよね。うん、分かった。友達に連絡して一緒に学校行くことにする。近くに何人かいるし、まとまって行くことにするよ。」

 よし、これでルリは大丈夫だ。
 あとは僕の事だけど……どうせなら全く違う行動をとってみるか。
 
 僕は母さんに先に行くように伝え、急いで家を出た。
 向かった先は……裏庭にある物置だ。
 ここに隠れてやり過ごす。
 これが今回の作戦。
 さすがにこれがばれるんだったら、監視や盗撮、盗聴を疑う必要がありそうだ。

 物置は夏場だけあり、すでに室温が高くなっていた。
 水分補給用にポットは持ってるものの、これはさすがに想定外だった。
 だからと言って今更買えるわけにも行かないから、僕は静かにここでやり過ごすことにした。
 玄関あらは輝の到着を知らせるチャイムが鳴る。
 母さんが上手く説明してくれていることを祈ろう。
 それからルリや父さんが出かける音が聞こえてきた。
 その後しばらくすると、もう一回玄関が開閉する音が聞こえる。
 今度は母さんが町内会の集まりで出かけたみたいだ。
 これで正真正銘誰も家に居ない状況。
 もしこれで宅配便が来ても、返っていくに違いない。
 僕はその時をじっと待つことにした。
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