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八回目
第20話
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ピンポーン
予定通り、宅配便が到着したであろうチャイムが鳴り響く。
ピンポーン
ピンポーン
何度もしつこくチャイムが鳴らし続ける。
しかし、家からは何も反応があるはずが無い。
それは当然だ。
だって誰もいないんだから。
その後も何度も鳴らし続けるが、犯人はついに諦めたのか、その音が静まり返る。
これで大丈夫……そう思うと、深く息を吐く。
どうやら思いのほか緊張しすぎて、呼吸が止まっていたみたいだった。
じゃり……
え?なんで……
裏庭に続く小道に敷かれた砂利を踏む音が聞こえてくる。
防犯用に踏むと音が鳴るという砂利石を敷き詰めてある。
だから誰かが来ない限り、そんな音が鳴ることはない。
つまり、現在進行形で、誰かがこっちに向かて歩いていることは間違いない。
じゃり……
そしてもう一歩。
ゆっくりとだけど、確実にその足音が近づいてくる。
そんなはずはない……
だって誰にもここにいるなんて言ってないんだから。
チリン……
やっぱり犯人だ。
何度も聞いてきた透き通った鈴の音が耳に突き刺さる。
恐怖が僕を襲い、全身の血液が凍り付くほどの寒気を覚える。
犯人が砂利を踏むたびに、キシキシと砂利が悲鳴をあげる。
そして鈴の音がその音に重なるように響く。
暗闇に包まれた物置の中、僕はその音に怯えていた。
そしてその和音の様な音が、徐々に物置に近づいてくる。
チリン……
やがて鈴の音は僕のいる物置を通り過ぎ、家の方へと向かっていく。
よし、ばれていない……
このまま帰ってくれ!!
そう願わずには入れれなかった。
コンコン……コンコン……
何度か家の窓をたたく音が聞こえる。
おそらく中を確認しているんだと思う。
だけど反応があるはずはない。
じゃり……
じゃり……
じゃり……
再び僕のいる物置に向けて足音が近づいてくる。
僕の心臓が今にも爆発してしまいそうなほど、急激にその鼓動を強くしていく。
冷や汗が頬を伝い、床にぽたりと垂れていく。
その音すら犯人に聞こえるのではないかと、疑心暗鬼になり、焦りが恐怖を助長していく。
手足はすでに氷のように冷たく、脳裏にはここに隠れたことへの後悔で埋め尽くされていく。
そして僕は声が漏れないように、震える両の手で必死に口を押える。
来るな……来るな……来るな!!
ガン!!
物置に激しい音が鳴り響く。
入り口を何かで殴ったように、衝撃音と金属音が何度も繰り返される。
そのたびに物置自体も激しく揺れ、軋みをあげる。
ガン!!ガン!!ガン!!
何度も繰り返されるその音に、僕の身体は反応を止める。
少しでもばれないようにと、緊張のせいもあり、全く動こうとはしなかった。
ガゴン……
そしてついに扉が耐えきれず、レールから外れる音が聞こえた。
扉がゆっくりと開かれる音は、まるで時間が止まったかのように響き、暗闇に包まれていた物置に光が差し込んでくる。
ギシリギシリと物置の床なりと共に、犯人の足音が僕に近づいてくる。
僕は物置の奥の荷物に隠れるようにして、身を屈めている。
おおよそ4畳くらいある物置を、注意深く探るように入ってくる犯人。
これは絶対に僕がここにいるって確信しているに違いないと思えた。
チリン……
僕の傍で足音が止まり、またあの鈴の音が聞こえる。
ヤバイ……やばい……ヤバイ……やばい……
恐怖が僕の脳内を支配していく。
全身をめぐる恐怖は、冷や汗となり、僕の背中を流れ落ちていく。
だけど、音はそこで止まり、その後何も音がなくなった。
え?いったい何が……まさか……諦めた?
安堵が一瞬頭をよぎる。
しかし、ここまできて犯人が諦めるとは到底思えなかった。
いやな予感が僕に警鐘を鳴らす。
僕は警戒をしつつも、ばれていないならこのままやり過ごそうと決めた。
それからどれくらいたったのか……体感時間とは実に曖昧なものだなって思えた。
時計すら見られない状況だったために、音が聞こえなくなってからどれだけ立ったかが分からなかった。
だけど長く静まり返っていることから、もう大丈夫……そう思った僕は、隠れている場所から少しだけ顔をのぞかせた。
チリン……
するとそこには仁王立ちした犯人がまだいたのだ。
犯人は何処にも行っていなかった。
僕が限界を超えるのをそこで今か今かと待っていたみたいだ。
犯人の付けた仮面が、壊された入り口から入り込んだ光にうっすらと照らされる。
そこから見えた口元は、獲物を狩ることに快感を感じているような、そんなニヤリとした笑みがたたえられていたように思えた。
そして次に、ブオンという音と共に、僕の頭部を激しい衝撃が襲う。
何か金属の棒のようなものに感じる。
僕はあまりの痛みと衝撃にそのまま床に顔面を打ち付けてしまう。
土下座でもしているかの格好になった僕は、顔を少しだけ動かすと、そこには大量の血が付いた、バールが見えた。
そのバールはゆっくりと持ち上げられ、そのまま僕の頭部をまた激しく打ち付ける。
それは容赦という言葉がもったいないとでもいうかのように、何度も何度も繰り返された。
正直気を失っていた方がまだましだったかもしれない。
だけどこんな時に限って、うっすらと意識が残ってしまっていた。
痛みと衝撃だけが僕を支配していく。
チリン……
そしてとどめの一撃が、鋭い痛みとなって喉を搔き切る。
飛び散る鮮血と共に、呼吸が途切れ、視界が赤黒く染まる。
自分の血の温かさを感じながら、ゆっくりと意識が遠のいていく。
予定通り、宅配便が到着したであろうチャイムが鳴り響く。
ピンポーン
ピンポーン
何度もしつこくチャイムが鳴らし続ける。
しかし、家からは何も反応があるはずが無い。
それは当然だ。
だって誰もいないんだから。
その後も何度も鳴らし続けるが、犯人はついに諦めたのか、その音が静まり返る。
これで大丈夫……そう思うと、深く息を吐く。
どうやら思いのほか緊張しすぎて、呼吸が止まっていたみたいだった。
じゃり……
え?なんで……
裏庭に続く小道に敷かれた砂利を踏む音が聞こえてくる。
防犯用に踏むと音が鳴るという砂利石を敷き詰めてある。
だから誰かが来ない限り、そんな音が鳴ることはない。
つまり、現在進行形で、誰かがこっちに向かて歩いていることは間違いない。
じゃり……
そしてもう一歩。
ゆっくりとだけど、確実にその足音が近づいてくる。
そんなはずはない……
だって誰にもここにいるなんて言ってないんだから。
チリン……
やっぱり犯人だ。
何度も聞いてきた透き通った鈴の音が耳に突き刺さる。
恐怖が僕を襲い、全身の血液が凍り付くほどの寒気を覚える。
犯人が砂利を踏むたびに、キシキシと砂利が悲鳴をあげる。
そして鈴の音がその音に重なるように響く。
暗闇に包まれた物置の中、僕はその音に怯えていた。
そしてその和音の様な音が、徐々に物置に近づいてくる。
チリン……
やがて鈴の音は僕のいる物置を通り過ぎ、家の方へと向かっていく。
よし、ばれていない……
このまま帰ってくれ!!
そう願わずには入れれなかった。
コンコン……コンコン……
何度か家の窓をたたく音が聞こえる。
おそらく中を確認しているんだと思う。
だけど反応があるはずはない。
じゃり……
じゃり……
じゃり……
再び僕のいる物置に向けて足音が近づいてくる。
僕の心臓が今にも爆発してしまいそうなほど、急激にその鼓動を強くしていく。
冷や汗が頬を伝い、床にぽたりと垂れていく。
その音すら犯人に聞こえるのではないかと、疑心暗鬼になり、焦りが恐怖を助長していく。
手足はすでに氷のように冷たく、脳裏にはここに隠れたことへの後悔で埋め尽くされていく。
そして僕は声が漏れないように、震える両の手で必死に口を押える。
来るな……来るな……来るな!!
ガン!!
物置に激しい音が鳴り響く。
入り口を何かで殴ったように、衝撃音と金属音が何度も繰り返される。
そのたびに物置自体も激しく揺れ、軋みをあげる。
ガン!!ガン!!ガン!!
何度も繰り返されるその音に、僕の身体は反応を止める。
少しでもばれないようにと、緊張のせいもあり、全く動こうとはしなかった。
ガゴン……
そしてついに扉が耐えきれず、レールから外れる音が聞こえた。
扉がゆっくりと開かれる音は、まるで時間が止まったかのように響き、暗闇に包まれていた物置に光が差し込んでくる。
ギシリギシリと物置の床なりと共に、犯人の足音が僕に近づいてくる。
僕は物置の奥の荷物に隠れるようにして、身を屈めている。
おおよそ4畳くらいある物置を、注意深く探るように入ってくる犯人。
これは絶対に僕がここにいるって確信しているに違いないと思えた。
チリン……
僕の傍で足音が止まり、またあの鈴の音が聞こえる。
ヤバイ……やばい……ヤバイ……やばい……
恐怖が僕の脳内を支配していく。
全身をめぐる恐怖は、冷や汗となり、僕の背中を流れ落ちていく。
だけど、音はそこで止まり、その後何も音がなくなった。
え?いったい何が……まさか……諦めた?
安堵が一瞬頭をよぎる。
しかし、ここまできて犯人が諦めるとは到底思えなかった。
いやな予感が僕に警鐘を鳴らす。
僕は警戒をしつつも、ばれていないならこのままやり過ごそうと決めた。
それからどれくらいたったのか……体感時間とは実に曖昧なものだなって思えた。
時計すら見られない状況だったために、音が聞こえなくなってからどれだけ立ったかが分からなかった。
だけど長く静まり返っていることから、もう大丈夫……そう思った僕は、隠れている場所から少しだけ顔をのぞかせた。
チリン……
するとそこには仁王立ちした犯人がまだいたのだ。
犯人は何処にも行っていなかった。
僕が限界を超えるのをそこで今か今かと待っていたみたいだ。
犯人の付けた仮面が、壊された入り口から入り込んだ光にうっすらと照らされる。
そこから見えた口元は、獲物を狩ることに快感を感じているような、そんなニヤリとした笑みがたたえられていたように思えた。
そして次に、ブオンという音と共に、僕の頭部を激しい衝撃が襲う。
何か金属の棒のようなものに感じる。
僕はあまりの痛みと衝撃にそのまま床に顔面を打ち付けてしまう。
土下座でもしているかの格好になった僕は、顔を少しだけ動かすと、そこには大量の血が付いた、バールが見えた。
そのバールはゆっくりと持ち上げられ、そのまま僕の頭部をまた激しく打ち付ける。
それは容赦という言葉がもったいないとでもいうかのように、何度も何度も繰り返された。
正直気を失っていた方がまだましだったかもしれない。
だけどこんな時に限って、うっすらと意識が残ってしまっていた。
痛みと衝撃だけが僕を支配していく。
チリン……
そしてとどめの一撃が、鋭い痛みとなって喉を搔き切る。
飛び散る鮮血と共に、呼吸が途切れ、視界が赤黒く染まる。
自分の血の温かさを感じながら、ゆっくりと意識が遠のいていく。
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