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九回目
第22話
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——————速報です!!ただいま○○県✕✕市で住宅火災が発生!!中にはまだ住民が取り残されている模様です!!激しい炎が住宅を丸ごと包んでしまっています!!ただいま消防隊が懸命の消火活動を行っておりますが、鎮火のめどが立っていません!!現場より中継です!!——————
手が震え、スマホがボトリと地面に落ちる音が、静寂に包まれた構内に響いた気がした。
地面に落ちたスマホからは、いまだニュースが流れ続ける。
僕は現実を受け止められずにいた。
そのニュースで燃えている家は……僕の家だ……
まさか……まさかまさかまさか!!
犯人は僕が居ないってわかってて家に火をつけた?
家族がいるってわかってて放火したのか!?
どうしてそこまでするんだ!?
僕が何をしたんだ!?
どうして……どうして……どうして!?
頭の中で応えのない疑問が繰り返されていく。
思考がグルグルと回り続け、定まらず、僕の意識は現実と乖離していく。
何も考えたくない。
いやだいやだいやだいやだいやだ。
やめろ、やめてくれ、もうやめてくれ……
嘘だ……これは現実なんかじゃない……
だって、少し前までルリと……
駅の構内では、通行人たちがざわついている。
興味本位の奴、本気で心配してくれる人。
でも、誰一人として僕の苦しみなんて理解できるはずが無い。
僕を心配してか、何度か駅員さんに声をかけられたけど、どこか遠い音のように聞こえていた。
それからどれくらい経ったか分からない……
駅員さんに何度も声をかけられても、反応する事も出来なかった。
最終的には警察が呼ばれ、僕はそのまま警察署へと連れていかれた。
一応は保護という名目らしい……
警察署内では、日常業務が忙しいのか、僕にかまうものはそれほど多くは無かった。
事情聴取の為か、何かを聞かれていたのはうっすらと覚えている。
だけど何を聞かれていたかは全く覚えていない……
僕はただひたすらに、家族の無事を願うしかできなかった。
「君の住所ってもしかして……あのニュースの場所かい?」
「そ、そうだ!!み、み、み、みんな、か、かぞ、かぞ……」
警察官の言葉に僕の意識ははっきりと覚醒する。
だけど呂律がうまく回らない。
家族の安否を確認したいのに、言葉が上手く出てこない。
僕は焦りにも似た感情がグルグルと思考を支配していく。
「そうか……それはお気の毒としか言いようがないな……残念だけど、ご家族の死亡が確認されたそうだよ」
「え?そんな……そんなはずはない!!父さんは⁈母さんは!?ルリは!?皆は!?どこにいるの⁈これどっきりでしょ⁈ねぇ!!ねえ!!ねえ!!」
僕は壊れたおもちゃのように、喚き散らしていた。
頭ではわかってる。
あんな火事があったんだから、そうなるだろうなと言うあきらめもあった。
だけどそれとは裏腹に、感情はそれを否定する。
肯定と否定が鬩ぎ合い、僕の心が悲鳴をあげ、ついに限界を超えてしまった。
僕の心がメシメシと音をたてて壊れていく。
僕の叫びは警察署内に一瞬の静寂を作る。
ただ、警察官たちも度していいのか分からないようで、僕に声をかけることはなかった。
しばらくすると、一人の女性警察官が毛布をもって現れた。
その毛布を僕にそっとかけると、寄り添うようにソファーの隣に腰を下ろす。
そして何を思ったのか、僕の事をぎゅっと抱きしめてくれた。
「大丈夫とは言えないわね……でもね、私がそばにいるから……あなたは無事なの……だから、ね?今は我慢しなくていいのよ」
その言葉に僕は感情が爆発したかのように、嗚咽を漏らす。
そして堰を切ったかのように涙があふれ、女性警察官に縋りつくように泣きじゃくった。
泣けども泣けども涙は止まるつもりはないらしい。
僕は家族を失った絶望の中、犯人への怒りがふつふつと沸き上がるのを感じていた。
今まで感じたことのないような殺意を超える殺意。
僕にもこんな感情があったんだ……そう思いながら、僕は意識を手放したのだった。
手が震え、スマホがボトリと地面に落ちる音が、静寂に包まれた構内に響いた気がした。
地面に落ちたスマホからは、いまだニュースが流れ続ける。
僕は現実を受け止められずにいた。
そのニュースで燃えている家は……僕の家だ……
まさか……まさかまさかまさか!!
犯人は僕が居ないってわかってて家に火をつけた?
家族がいるってわかってて放火したのか!?
どうしてそこまでするんだ!?
僕が何をしたんだ!?
どうして……どうして……どうして!?
頭の中で応えのない疑問が繰り返されていく。
思考がグルグルと回り続け、定まらず、僕の意識は現実と乖離していく。
何も考えたくない。
いやだいやだいやだいやだいやだ。
やめろ、やめてくれ、もうやめてくれ……
嘘だ……これは現実なんかじゃない……
だって、少し前までルリと……
駅の構内では、通行人たちがざわついている。
興味本位の奴、本気で心配してくれる人。
でも、誰一人として僕の苦しみなんて理解できるはずが無い。
僕を心配してか、何度か駅員さんに声をかけられたけど、どこか遠い音のように聞こえていた。
それからどれくらい経ったか分からない……
駅員さんに何度も声をかけられても、反応する事も出来なかった。
最終的には警察が呼ばれ、僕はそのまま警察署へと連れていかれた。
一応は保護という名目らしい……
警察署内では、日常業務が忙しいのか、僕にかまうものはそれほど多くは無かった。
事情聴取の為か、何かを聞かれていたのはうっすらと覚えている。
だけど何を聞かれていたかは全く覚えていない……
僕はただひたすらに、家族の無事を願うしかできなかった。
「君の住所ってもしかして……あのニュースの場所かい?」
「そ、そうだ!!み、み、み、みんな、か、かぞ、かぞ……」
警察官の言葉に僕の意識ははっきりと覚醒する。
だけど呂律がうまく回らない。
家族の安否を確認したいのに、言葉が上手く出てこない。
僕は焦りにも似た感情がグルグルと思考を支配していく。
「そうか……それはお気の毒としか言いようがないな……残念だけど、ご家族の死亡が確認されたそうだよ」
「え?そんな……そんなはずはない!!父さんは⁈母さんは!?ルリは!?皆は!?どこにいるの⁈これどっきりでしょ⁈ねぇ!!ねえ!!ねえ!!」
僕は壊れたおもちゃのように、喚き散らしていた。
頭ではわかってる。
あんな火事があったんだから、そうなるだろうなと言うあきらめもあった。
だけどそれとは裏腹に、感情はそれを否定する。
肯定と否定が鬩ぎ合い、僕の心が悲鳴をあげ、ついに限界を超えてしまった。
僕の心がメシメシと音をたてて壊れていく。
僕の叫びは警察署内に一瞬の静寂を作る。
ただ、警察官たちも度していいのか分からないようで、僕に声をかけることはなかった。
しばらくすると、一人の女性警察官が毛布をもって現れた。
その毛布を僕にそっとかけると、寄り添うようにソファーの隣に腰を下ろす。
そして何を思ったのか、僕の事をぎゅっと抱きしめてくれた。
「大丈夫とは言えないわね……でもね、私がそばにいるから……あなたは無事なの……だから、ね?今は我慢しなくていいのよ」
その言葉に僕は感情が爆発したかのように、嗚咽を漏らす。
そして堰を切ったかのように涙があふれ、女性警察官に縋りつくように泣きじゃくった。
泣けども泣けども涙は止まるつもりはないらしい。
僕は家族を失った絶望の中、犯人への怒りがふつふつと沸き上がるのを感じていた。
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