絶望の鈴音(りんね)~夢幻の牢獄と僕と……~

華音 楓

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十三回目

第34話

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 いやぁ~ごみ掃除を終えると気分が良いな。
 すっきりした家を見渡すと、すがすがしい気分になった。
 ちゃんと母さんに教えてもらった通り、ごみの分別もしたしね。
 3人ともちゃんとゴミ袋に入れたから問題ないでしょ。
 壊れたものは……まいっか。
 どうせ治るんだし。

チリン……

 ほら来た。
 やっと死神様のお出ましだ。

 僕が縁側で日向ぼっこをしていると、遠くからいつもの涼やかな鈴の音が聞こえてきた。
 ただいつもと違うのは、その鈴の音に恐怖心が芽生えなかったことだ。
 どうせ死ぬんだし、怖がるだけ無駄だと思ったからかな?

 日も既に僕の真上に上って、夏のむしばむ暑さが嫌になる。
 出来ればシャワーを浴びて涼みたいところだけど、あいにく僕がボイラーを壊してしまったから今は入れない。

 そう言えば毎回犯人の顔見てなかったな。
 いつもいつも黒のフードを被って、仮面をつけてたっけ。
 いったい誰なんだろうな。

チリン……

 さらに鈴の音が近づいてくる。
 それが誰の持ちのモノなのか……
 それを知りたくて僕はワクワクしていた。
 出来れば犯人を取り押さえて、その正体を見てみたかった。

 僕は自分の死を告げる鈴の音に、どこか興奮を覚えていた。
 緊張からか、心臓の音がやけに大きく聞こえる。
 脈拍も早くなり、興奮状態が高まっていることが自分でも手に取るように分かった。

チリン……

 あぁ~ついに対面だ……
 犯人の顔を拝めるんだ……

 僕は前もって準備しておいた包丁を後ろ手に隠し持ち、いつでも襲い掛かれる準備をする。

ピンポーン

 ついに来た……
 玄関から慣らされるチャイムが、犯人の到着を告げる。
 ヤバイ……緊張する興奮する!!

 おかしな感情が綯交ぜになり、僕は僕でなくなっていく気がする。

 左手には木刀、右手には包丁……
 素晴らしく完全装備!!
 二刀流ってやつかな?もしかして中二病かもしれない……
 なんて一瞬へこみそうになったけど、それどころじゃない。
 僕はすぐに玄関に向かう……
 インターフォンを確認すると、そこには警察官の姿か……
 何だよ、期待外れかよ……

「はい、どなたですか?」
「こういうものです。近隣住民から通報がありまして、中を確認させてください」

 うわ、めんどくさいなぁ~
 今それどころじゃないのに、せっかく犯人が来てくれたんだから、邪魔しないでほしいよ全く。

 僕はめんどくさいと思いながらも、玄関ドアを開ける。
 そこにはディスプレイ越しと同じ2人の警察官がいた。

「中、確認させてもらいますね?」
「散らかってますがどうぞ」

 僕は別に問題無いと思て中に居れた。
 どうせ壊れたものしかないんだから。

 僕は付き合うのも面倒だと思い、外をついでだから外を見回していた。
 いつも見るそれっぽい人は見当たらなかった。
 もしかして警察が来たもんだから、逃げたのかな?
 せっかく会えるチャンスだったのに。

 残念な気持ちを隠しつつ、警察の相手をしようとした時だった。

 家の中から警察官の騒ぎ声が聞こえる。
 何か無線で応援を呼ぶような感じで。

 どうせ壊れたものだけなんだから、何がそんなに慌てる理由になるのさ。
 僕にはまったく見当もつかなかった。

「これは……君がやったのか?」
「これって?あぁ~壊れたからごみの分別しただけですよ?母さんからいつも口酸っぱく言われてましたから」

 警察が指さした方にあったのは、ごみの山。
 偉いでしょ?ちゃんと分別したんだから。

「これから少し話を聞かせてくれるかな?」
「別に構いませんよ?僕は何か悪いことしたっていうんだったらね」

 僕の態度に訝しむ警察官。
 やっぱり意味が分からなかった。
 ごみを捨てて何が悪いんだろうか。

 その後応援で来た警察官に連れられ、僕は家の外に出ようとした時だった。
 ほんの一瞬……ほんの一瞬だけ油断した。
 せっかく犯人の顔を見れるところだったのに。

 僕の左わき腹にはいつものナイフが深く突き刺さっていた。
 出会いがしらでの犯行だったせいか、警察も止めに入ることは出来なかったみたいだ。
 いつも感じる冷たい金属の感触に、僕はまた死ぬんだと改めて理解した。

 今度はまともな家族がいますように。
 欠陥品は勘弁してほしいからね。
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