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十四回目
第37話
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チリン
あぁ~ついにこの場所に来たのか。
僕の心臓が震えるように鼓動を早くしていく。
これは今までのような恐怖からじゃない……むしろ、犯人に出会えるかもしれないという喜び?違うな……そう、愛憎だ。
今にも僕は換気の声をあげそうだ。
今まで何度も僕をごろし続けた人間……
それが誰か分かる日が来たんだ。
高鳴る心臓を精神的に抑え込み、僕は一歩……また一歩ってその場所に近づく。
チリン
今度は右わき腹か?左わき腹からか?
僕は制服の右ポケットに手を入れると、家から持ってきたカッターナイフに手をかける。
愛理にばれないようにと、ゆっくりとカチカチと刃を出していく。
犯人は何処から来るのか……
右か?
左か?
後ろか?
前か?
どこから?
さぁ、早く来てよ。
僕を殺しに来てよ。
僕の周りにはいっぱい肉壁がいるんだからさ……
ほら、早く……早く……早く!!
僕の鼓動が、爆発寸前に暴れ出している。
僕の中の好奇心が抑えられないよ。
だからほら、早く来てよ!!
チリン
近くに聞こえる鈴の音が、僕に幸福をもたらしてくれる……
周りを見ても、やっぱりそれらしき人影がいない。
誰だ?
誰なんだ?
誰なんだよ!!
早く姿を現してくれよ!!
さぁ!!
さぁ!!
さぁ!!!!
もうすぐあの場所だ……
僕が刺されたあの場所。
一歩一歩近づくたびに、僕の鼓動が今か今かと叫び続ける。
「悠君どうしたの?顔が怖いよ?」
「うるさいな……今それどころじゃないんだから、黙っててくれる?」
僕はせっかくの気持ちが萎えそうになってしまった。
なんで愛理が邪魔してくるかな?
幼馴染ならわかるでしょうに。
僕は右手にしまっていたカッターを取り出して、愛理に振り下ろす。
なぜって顔をした愛理だったけど、どう考えても僕のじゃなしたでしょ?
僕の大事な大事な時間を壊そうとする、邪魔な愛理はいらない。
だったらさっさと廃棄処分しなきゃ。
振り下ろしたカッターナイフは、愛理の首元に深々と刺さる。
ザクリという手に伝わる感触が、また心地好かった。
刺さる感触と、傷口が深くなっていく感触。
両方の感触が、僕の心を満たした行くみたいだ。
「キャぁ~~~~~!!」
「おい誰か!!救急車!!早く!!警察も呼んで!!」
「誰かそいつを取り押さえろ!!」
「えぇ、人殺し⁈カメラまわした?SNSにアップしたらバズるんじゃね?」
「え?もしかした、あの子がこの前の犯人なんじゃ?」
あぁ~もう、うるさいなぁ~
邪魔しないでくれるかな。
これじゃあ犯人が近づいてきてくれないじゃないか……
せっかくここまでお膳立てしたのに、犯人が近寄れないんじゃ意味ないじゃん。
「じゃますんじゃねぇ~よ、産廃ども!!」
僕はあまりの苛立ちに、そこいらじゅうの野次馬に八つ当たりをするように、カッターナイフを振り回した。
逃げまどう野次馬に一振りする毎に、悲鳴が拡大していく。
それが僕を更に苛立たせてくれる。
せめて邪魔しないでよ。
静かにしていれば別に僕がごみ処理しなくて済むんだからさ。
って、あぁ~ほら、ごみ増えちゃったじゃん……
ごみ袋持ってきてないのに。
「愛理~?聞こえる愛理?なんで僕の邪魔したのさ。せっかく気分がよかったのに……」
あれ?返事がないな……
やっぱ壊れちゃったか。
どうしてこうも、すぐ壊れちゃうかな。
せっかくもっと遊びたかったのに。
まあ、壊れたってまた元通りだろうし、それほど心配なんてしなくていいか。
それはそうと、ほら野次馬がいなくなったぞ?
「なぁ、死神!!僕を殺しに来てみろ!!お前の獲物はここにいるぞ!!」
僕は道のど真ん中で、両手を広げて犯人を挑発してみた。
どっからでもかかって来いって、なんか強者みたいじゃない?
ヒュン……
ドス……
あれ?
なんだか胸が痛いんだけど……
これってもしかして、僕は愛理が壊れたことを後悔しているのかな?
ってそんなわけはないかな……
痛みのもとは簡単だった。
僕の左胸に深々と刺さるボーガンの矢。
その先に立っていたのは、僕に向けてボーガンを構える、黒のフードを纏った仮面の死神……
やっと僕の命を刈り取りに来たか……
っていうか、そこはナイフだろうが。
空気読めよな……
夏の暑さの為か、地面がゆらゆらと揺らめき、犯人の姿もゆがめていく。
「それにしても……お前……誰だよ……」
そして僕の意識はこれで途切れた……
あぁ~ついにこの場所に来たのか。
僕の心臓が震えるように鼓動を早くしていく。
これは今までのような恐怖からじゃない……むしろ、犯人に出会えるかもしれないという喜び?違うな……そう、愛憎だ。
今にも僕は換気の声をあげそうだ。
今まで何度も僕をごろし続けた人間……
それが誰か分かる日が来たんだ。
高鳴る心臓を精神的に抑え込み、僕は一歩……また一歩ってその場所に近づく。
チリン
今度は右わき腹か?左わき腹からか?
僕は制服の右ポケットに手を入れると、家から持ってきたカッターナイフに手をかける。
愛理にばれないようにと、ゆっくりとカチカチと刃を出していく。
犯人は何処から来るのか……
右か?
左か?
後ろか?
前か?
どこから?
さぁ、早く来てよ。
僕を殺しに来てよ。
僕の周りにはいっぱい肉壁がいるんだからさ……
ほら、早く……早く……早く!!
僕の鼓動が、爆発寸前に暴れ出している。
僕の中の好奇心が抑えられないよ。
だからほら、早く来てよ!!
チリン
近くに聞こえる鈴の音が、僕に幸福をもたらしてくれる……
周りを見ても、やっぱりそれらしき人影がいない。
誰だ?
誰なんだ?
誰なんだよ!!
早く姿を現してくれよ!!
さぁ!!
さぁ!!
さぁ!!!!
もうすぐあの場所だ……
僕が刺されたあの場所。
一歩一歩近づくたびに、僕の鼓動が今か今かと叫び続ける。
「悠君どうしたの?顔が怖いよ?」
「うるさいな……今それどころじゃないんだから、黙っててくれる?」
僕はせっかくの気持ちが萎えそうになってしまった。
なんで愛理が邪魔してくるかな?
幼馴染ならわかるでしょうに。
僕は右手にしまっていたカッターを取り出して、愛理に振り下ろす。
なぜって顔をした愛理だったけど、どう考えても僕のじゃなしたでしょ?
僕の大事な大事な時間を壊そうとする、邪魔な愛理はいらない。
だったらさっさと廃棄処分しなきゃ。
振り下ろしたカッターナイフは、愛理の首元に深々と刺さる。
ザクリという手に伝わる感触が、また心地好かった。
刺さる感触と、傷口が深くなっていく感触。
両方の感触が、僕の心を満たした行くみたいだ。
「キャぁ~~~~~!!」
「おい誰か!!救急車!!早く!!警察も呼んで!!」
「誰かそいつを取り押さえろ!!」
「えぇ、人殺し⁈カメラまわした?SNSにアップしたらバズるんじゃね?」
「え?もしかした、あの子がこの前の犯人なんじゃ?」
あぁ~もう、うるさいなぁ~
邪魔しないでくれるかな。
これじゃあ犯人が近づいてきてくれないじゃないか……
せっかくここまでお膳立てしたのに、犯人が近寄れないんじゃ意味ないじゃん。
「じゃますんじゃねぇ~よ、産廃ども!!」
僕はあまりの苛立ちに、そこいらじゅうの野次馬に八つ当たりをするように、カッターナイフを振り回した。
逃げまどう野次馬に一振りする毎に、悲鳴が拡大していく。
それが僕を更に苛立たせてくれる。
せめて邪魔しないでよ。
静かにしていれば別に僕がごみ処理しなくて済むんだからさ。
って、あぁ~ほら、ごみ増えちゃったじゃん……
ごみ袋持ってきてないのに。
「愛理~?聞こえる愛理?なんで僕の邪魔したのさ。せっかく気分がよかったのに……」
あれ?返事がないな……
やっぱ壊れちゃったか。
どうしてこうも、すぐ壊れちゃうかな。
せっかくもっと遊びたかったのに。
まあ、壊れたってまた元通りだろうし、それほど心配なんてしなくていいか。
それはそうと、ほら野次馬がいなくなったぞ?
「なぁ、死神!!僕を殺しに来てみろ!!お前の獲物はここにいるぞ!!」
僕は道のど真ん中で、両手を広げて犯人を挑発してみた。
どっからでもかかって来いって、なんか強者みたいじゃない?
ヒュン……
ドス……
あれ?
なんだか胸が痛いんだけど……
これってもしかして、僕は愛理が壊れたことを後悔しているのかな?
ってそんなわけはないかな……
痛みのもとは簡単だった。
僕の左胸に深々と刺さるボーガンの矢。
その先に立っていたのは、僕に向けてボーガンを構える、黒のフードを纏った仮面の死神……
やっと僕の命を刈り取りに来たか……
っていうか、そこはナイフだろうが。
空気読めよな……
夏の暑さの為か、地面がゆらゆらと揺らめき、犯人の姿もゆがめていく。
「それにしても……お前……誰だよ……」
そして僕の意識はこれで途切れた……
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