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愛理編
第48話 ―愛理編~父と子―
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あれは私が小学校1年生の時のこと。
私のお父さんは民俗学・考古学の研究をしている学者。
年の半分以上は海外を飛び回っては、こうして意味の分からない物を買ってくる。
お母さんはどこか呆れているけど、それでもなんだかうれしそうだから似たもの夫婦なんだともう。
そうは言っても、部屋に仕舞いきれず貸倉庫を借りるのはどうかと思うけど。
まあ、二人が良いなら私が何か言うのも変だよね。
お父さんが研究がひと段落して、うちに帰ってきた。
ただ、今回家に居られるのは恐らく一週間程度。
だからお父さんとは休みに入る前からいろいろと計画を練っていた。
遊園地に、水族館、動物園に、お買い物。
あれもこれもって言ってたら、時間が足りないよって呆れられちゃったんだよね。
それでもお父さんは出来る限り遊ぼうって言ってくれたんだ。
その一週間は怒涛の一週間。
いっぱい遊んでもらえたのは今でも覚えてる。
休みの最終日。
お父さんは出発の為の準備を始めていたの。
私は名残惜しかったのか、お父さんの書斎にいって、準備している姿をじっと眺めていたの。
だって次いつ会えるか分からなかったから。
「ねぇ、お父さん。このナイフって何?」
「あぁそれな。現地で買ってきたナイフなんだが……どうやら曰く付きらしくてな。現地の人が言うには、呪いがかけられているらしい。現代科学からすればナンセンスなんだが、民俗学からすれば、なかなか興味深いものなんだよ」
そう言うとお父さんは、私が手にしていたナイフを取り上げると、少し高い棚に飾ってしまう。
そこには他にもどこから手に入れたか分からない仮面や、胡散臭い羽根飾り。
他にもたくさんの物がコレクションされていたんだ。
「でもなんかあのナイフ、ちょっと怖いよね?」
「愛理もそう感じるか……お父さんもそう思っているんだけどな。どうにも手放せなくて……」
怖い……でもなぜか目が離せない……そんな思いを抱いてしまう。
〝魔性〟とでも言えばいいのかな?その言葉が一番ぴったりな気もする。
そう話しながら、二人でそのナイフをじっと見つめていた。
それからお父さんの準備が進み、バッグには最後の荷物が入った。
正直あのカバンい入ればついて行けるって思ったこともあったけど、実行して怒られたのは幼稚園の時だったかな?
今ではいい思い出になってる。
お父さんが準備が終わったと言って、書斎から出ていった。
私もついて行こうとしてけど、どうしてもあのナイフが気になって仕方がなかった。
本当はダメだってわかってたけど、その欲求を止めることは小学1年生の頃の私は出来なかった。
近くの椅子を台替わりわりにして、さっきのナイフに手を延ばす。
ぎりぎり届くか届かないかの位置にあって一苦労した。
でも何とか届くと、ゆっくりとそのナイフを手元に引き寄せる。
「怒られちゃうかな……」
私はそう独り言ちりながらも、ナイフを元の位置に戻すという決断をすることはなかった。
そのナイフを手にしてから少し……ついにその欲求が我慢できなくなってしまう。
私は鞘から少し引き抜く。
そこには鈍鉄色の刃が見えた。
少し引き抜いただけで、心が鷲掴みされたかのように、鼓動が早くなのを感じる。
もう少し……もう少しだけ……
私は魅了されたように、ナイフを鞘から少しずつ引き抜く。
鈍く輝く刃が、徐々に露わになる。
「愛理!!」
「え?」
お父さんが慌てたように私の手を止めた。
何が何だか分からない……
だけど物凄い剣幕と、慌てた様子からただ事ではないことは分かった。
「お前いったい何をやってるんだ!!」
「なにって……ナイフを……え?」
私は何をしていたの……
ナイフを握る手が、私の首元まで迫っている。
無意識のうちにナイフで首を切ろうとしていた?
まさかそんな……
「このナイフは危険だ……家に置いておいていいものじゃないな」
お父さんはそう言ってそのナイフをどこかに仕舞ってしまった。
私は気になってお父さんがいないすきを見計らって家中探してみたけど、結局そのナイフは見つかることはなかったんだよね。
私のお父さんは民俗学・考古学の研究をしている学者。
年の半分以上は海外を飛び回っては、こうして意味の分からない物を買ってくる。
お母さんはどこか呆れているけど、それでもなんだかうれしそうだから似たもの夫婦なんだともう。
そうは言っても、部屋に仕舞いきれず貸倉庫を借りるのはどうかと思うけど。
まあ、二人が良いなら私が何か言うのも変だよね。
お父さんが研究がひと段落して、うちに帰ってきた。
ただ、今回家に居られるのは恐らく一週間程度。
だからお父さんとは休みに入る前からいろいろと計画を練っていた。
遊園地に、水族館、動物園に、お買い物。
あれもこれもって言ってたら、時間が足りないよって呆れられちゃったんだよね。
それでもお父さんは出来る限り遊ぼうって言ってくれたんだ。
その一週間は怒涛の一週間。
いっぱい遊んでもらえたのは今でも覚えてる。
休みの最終日。
お父さんは出発の為の準備を始めていたの。
私は名残惜しかったのか、お父さんの書斎にいって、準備している姿をじっと眺めていたの。
だって次いつ会えるか分からなかったから。
「ねぇ、お父さん。このナイフって何?」
「あぁそれな。現地で買ってきたナイフなんだが……どうやら曰く付きらしくてな。現地の人が言うには、呪いがかけられているらしい。現代科学からすればナンセンスなんだが、民俗学からすれば、なかなか興味深いものなんだよ」
そう言うとお父さんは、私が手にしていたナイフを取り上げると、少し高い棚に飾ってしまう。
そこには他にもどこから手に入れたか分からない仮面や、胡散臭い羽根飾り。
他にもたくさんの物がコレクションされていたんだ。
「でもなんかあのナイフ、ちょっと怖いよね?」
「愛理もそう感じるか……お父さんもそう思っているんだけどな。どうにも手放せなくて……」
怖い……でもなぜか目が離せない……そんな思いを抱いてしまう。
〝魔性〟とでも言えばいいのかな?その言葉が一番ぴったりな気もする。
そう話しながら、二人でそのナイフをじっと見つめていた。
それからお父さんの準備が進み、バッグには最後の荷物が入った。
正直あのカバンい入ればついて行けるって思ったこともあったけど、実行して怒られたのは幼稚園の時だったかな?
今ではいい思い出になってる。
お父さんが準備が終わったと言って、書斎から出ていった。
私もついて行こうとしてけど、どうしてもあのナイフが気になって仕方がなかった。
本当はダメだってわかってたけど、その欲求を止めることは小学1年生の頃の私は出来なかった。
近くの椅子を台替わりわりにして、さっきのナイフに手を延ばす。
ぎりぎり届くか届かないかの位置にあって一苦労した。
でも何とか届くと、ゆっくりとそのナイフを手元に引き寄せる。
「怒られちゃうかな……」
私はそう独り言ちりながらも、ナイフを元の位置に戻すという決断をすることはなかった。
そのナイフを手にしてから少し……ついにその欲求が我慢できなくなってしまう。
私は鞘から少し引き抜く。
そこには鈍鉄色の刃が見えた。
少し引き抜いただけで、心が鷲掴みされたかのように、鼓動が早くなのを感じる。
もう少し……もう少しだけ……
私は魅了されたように、ナイフを鞘から少しずつ引き抜く。
鈍く輝く刃が、徐々に露わになる。
「愛理!!」
「え?」
お父さんが慌てたように私の手を止めた。
何が何だか分からない……
だけど物凄い剣幕と、慌てた様子からただ事ではないことは分かった。
「お前いったい何をやってるんだ!!」
「なにって……ナイフを……え?」
私は何をしていたの……
ナイフを握る手が、私の首元まで迫っている。
無意識のうちにナイフで首を切ろうとしていた?
まさかそんな……
「このナイフは危険だ……家に置いておいていいものじゃないな」
お父さんはそう言ってそのナイフをどこかに仕舞ってしまった。
私は気になってお父さんがいないすきを見計らって家中探してみたけど、結局そのナイフは見つかることはなかったんだよね。
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