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6 ※レイヴンside
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バササッーーーーー
窓や壁を通り抜ける不思議な白いフクロウがいつもの定位置に降り立つ。
『ニヤニヤと気持ち悪いですぞ、レイヴン。』
「シンフー…、しょうがないじゃないか。久々にあんなに長い時間一緒に居られたんだ。」
『まぁ、それもそうですねぇ。私も毎日のように見ているのに、ついつい見える状態で成長した彼女に会いに行ってしまいました。』
彼は相談役として代々王と共に居る、土の最高位精霊【シンフー】。なにやら、初代の王と約束したらしくそれを律儀に守っているんだとか。彼のお陰でこの国が実り良く、豊かで有る事は確かな事実である。
王家でも見える者が少なく、彼の知る所では初代、三代、そして長く間を空けて僕。
僕は産まれた時から彼が見えた。父と母はそれは、それは喜んださ。先祖返りだと。
その代わりかもしれないが身体が弱かった。と云うより膨大な魔力量を幼い身体で受け止めきれる訳もなく、今も尚魔力を使い発散する事でしかそれを解決する方法がない。
高位の精霊は自分の姿を相手に【見せる】事も出来るが、見せるのは王族のみ。声に至っては彼が許した王のみが聞くことが出来る。その他で見えたり聞こえている者は仕方ないらしいのだが、まず見えている者が少ないし魂が綺麗な者しか見えないので心配が要らないらしい。
魂が綺麗でも性格が良いとは限らないのにね、僕みたいに。
『どうでしたか、彼女は。』
「…素晴らしいよ、ルルーシュアは。影では見守って来たけど、相変わらず正義感が強くて優しい女性のままだった。僕の我儘にも疑問は浮かべていたけれど、否定する事も怒る事も無く着いてきてくれたよ。
ルルーシュアの傍はやはり楽しかったし、安心する。
あぁ、早く例の問題が解決しないかな。」
『後もう少しの辛抱です。二人の卒業式迄には終わるでしょうしね。』
「そうだといいな。」
『それにしても、しぶといですな。』
「無理も無いよ、複雑に絡み合っているから少しずつしか除去が出来ない。やっと無害化の目処が着き出した所だ。
殺したら早いのかもしれないけれど、彼女自身に罪は無い。」
『確かに変なのに好かれなければ彼女は平穏に暮らし、誰かの心を乱す事も無かったかもしれません。被害者である事には変わりないですが、それを無意識に利用していた節も有りますから。』
シンフーはそう言って目を細めた。彼は良く僕を試そうとする。王が道を踏み外したとて、彼等は人間社会に干渉し過ぎると良くない為見ている事しか出来ないのだが、永く生きる者として試してみたくなるらしい。
選択を間違えると容易に彼の心は離れてしまう事を僕は知っているのだ。
「これが、最善だよ。罪の無い市民を守る事も王成り得る者の務めだからね。
まぁ、そのお陰でルルーシュアとは離れなくてはいけなかった事だけが恨みかな。僕自身は彼女が嫌いだ。」
『ふぉっ、ふぉっ、相変わらずレイヴンは正直者で良いですねぇ。』
「こんな事言えるのは君にだけだよ。」
そう、だからこそシンフーには正直でいようと決めている。彼等は本質を見ているので嘘をついた所で直ぐにバレる。
僕の唯一の相棒だ。
彼のお陰で僕は精神を壊さずに居られた。嘘ばかりの世界で正直に話せる相手が居る事は救いなのだ。
そして、シンフーは気ままにルルーシュアの事を見に行ってはずっと僕に報告してくれていたのだ。シンフー自体が余り遠出をしないので学園と王城での彼女の事ばかりだったが、それでも嬉しかった。
彼女とは手紙を送り合っていたけれど、あれは彼女への配慮だ。
少しでも僕を覚えていて欲しかったから。
『ルルーシュア嬢が君の本性を知ったらどうなるでしょうねぇ。まさか、彼女の噂を流した張本人がレイヴンだとは思いますまい。』
「…僕が離れている間に他に狙われたらたまったもんじゃないよ。だけど、最初に少し彼女の事を回しただけなんだけどなぁ。彼女の魅力に気付かない馬鹿ばっかりだ。」
『まぁ、彼女は変わっていますからねぇ。男性陣には受けは悪そうではあります。』
「ふふ、女性陣からは実は人気者なんだよね。彼女は気付いていないけれど。そこが恋に発展しているならライバルは多そうだ。」
嫉妬深く、執着が強い僕のこんな黒い部分なんて彼女は知らなくても良い。
王妃という鎖を付けてしまうんだ。彼女の心は自由でいて欲しい。
部屋に閉じ込めて僕だけの物になんてしない。美しく、逞しく生きる彼女を好きになったから。
『厄介な人間に好かれましたね、彼女も。』
「僕もそう思うよ」
ただ、僕が彼女を離してあげられないだけだ。
窓や壁を通り抜ける不思議な白いフクロウがいつもの定位置に降り立つ。
『ニヤニヤと気持ち悪いですぞ、レイヴン。』
「シンフー…、しょうがないじゃないか。久々にあんなに長い時間一緒に居られたんだ。」
『まぁ、それもそうですねぇ。私も毎日のように見ているのに、ついつい見える状態で成長した彼女に会いに行ってしまいました。』
彼は相談役として代々王と共に居る、土の最高位精霊【シンフー】。なにやら、初代の王と約束したらしくそれを律儀に守っているんだとか。彼のお陰でこの国が実り良く、豊かで有る事は確かな事実である。
王家でも見える者が少なく、彼の知る所では初代、三代、そして長く間を空けて僕。
僕は産まれた時から彼が見えた。父と母はそれは、それは喜んださ。先祖返りだと。
その代わりかもしれないが身体が弱かった。と云うより膨大な魔力量を幼い身体で受け止めきれる訳もなく、今も尚魔力を使い発散する事でしかそれを解決する方法がない。
高位の精霊は自分の姿を相手に【見せる】事も出来るが、見せるのは王族のみ。声に至っては彼が許した王のみが聞くことが出来る。その他で見えたり聞こえている者は仕方ないらしいのだが、まず見えている者が少ないし魂が綺麗な者しか見えないので心配が要らないらしい。
魂が綺麗でも性格が良いとは限らないのにね、僕みたいに。
『どうでしたか、彼女は。』
「…素晴らしいよ、ルルーシュアは。影では見守って来たけど、相変わらず正義感が強くて優しい女性のままだった。僕の我儘にも疑問は浮かべていたけれど、否定する事も怒る事も無く着いてきてくれたよ。
ルルーシュアの傍はやはり楽しかったし、安心する。
あぁ、早く例の問題が解決しないかな。」
『後もう少しの辛抱です。二人の卒業式迄には終わるでしょうしね。』
「そうだといいな。」
『それにしても、しぶといですな。』
「無理も無いよ、複雑に絡み合っているから少しずつしか除去が出来ない。やっと無害化の目処が着き出した所だ。
殺したら早いのかもしれないけれど、彼女自身に罪は無い。」
『確かに変なのに好かれなければ彼女は平穏に暮らし、誰かの心を乱す事も無かったかもしれません。被害者である事には変わりないですが、それを無意識に利用していた節も有りますから。』
シンフーはそう言って目を細めた。彼は良く僕を試そうとする。王が道を踏み外したとて、彼等は人間社会に干渉し過ぎると良くない為見ている事しか出来ないのだが、永く生きる者として試してみたくなるらしい。
選択を間違えると容易に彼の心は離れてしまう事を僕は知っているのだ。
「これが、最善だよ。罪の無い市民を守る事も王成り得る者の務めだからね。
まぁ、そのお陰でルルーシュアとは離れなくてはいけなかった事だけが恨みかな。僕自身は彼女が嫌いだ。」
『ふぉっ、ふぉっ、相変わらずレイヴンは正直者で良いですねぇ。』
「こんな事言えるのは君にだけだよ。」
そう、だからこそシンフーには正直でいようと決めている。彼等は本質を見ているので嘘をついた所で直ぐにバレる。
僕の唯一の相棒だ。
彼のお陰で僕は精神を壊さずに居られた。嘘ばかりの世界で正直に話せる相手が居る事は救いなのだ。
そして、シンフーは気ままにルルーシュアの事を見に行ってはずっと僕に報告してくれていたのだ。シンフー自体が余り遠出をしないので学園と王城での彼女の事ばかりだったが、それでも嬉しかった。
彼女とは手紙を送り合っていたけれど、あれは彼女への配慮だ。
少しでも僕を覚えていて欲しかったから。
『ルルーシュア嬢が君の本性を知ったらどうなるでしょうねぇ。まさか、彼女の噂を流した張本人がレイヴンだとは思いますまい。』
「…僕が離れている間に他に狙われたらたまったもんじゃないよ。だけど、最初に少し彼女の事を回しただけなんだけどなぁ。彼女の魅力に気付かない馬鹿ばっかりだ。」
『まぁ、彼女は変わっていますからねぇ。男性陣には受けは悪そうではあります。』
「ふふ、女性陣からは実は人気者なんだよね。彼女は気付いていないけれど。そこが恋に発展しているならライバルは多そうだ。」
嫉妬深く、執着が強い僕のこんな黒い部分なんて彼女は知らなくても良い。
王妃という鎖を付けてしまうんだ。彼女の心は自由でいて欲しい。
部屋に閉じ込めて僕だけの物になんてしない。美しく、逞しく生きる彼女を好きになったから。
『厄介な人間に好かれましたね、彼女も。』
「僕もそう思うよ」
ただ、僕が彼女を離してあげられないだけだ。
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