最強無双のチート猫、異世界を蹂躙する

第9話ニャ！第41階層ネコ式超魔術・百獣大行進ニャ！

《ハア…ハア》
《歩いても歩いてもなにも見えてこない…》
《ここは…どこ？》







ドラが逃げたミウちゃんを追いかけた先。
当のミウちゃんは白目を向いて、立ったまま気絶してしまっているニャ？




「ニャハハ。にゃるほどにゃるほど。ミウちゃんはこうなるのかニャー」
「ドラ様」
「ムッ魔王かニャ！？今までどこをほっつき歩いてたんかニャ！？」
「いや急にいなくなるから…って7賢、反魂のミウ！？」
「まあいい。今いいところなんだニャ」




ちなみに白目を向いているミウちゃんが喰らったのは、第41階層ネコ式超魔術・百獣大行進ニャ？

第41階層ネコ式超魔術・百獣大行進とは相手が逃げないと発動しない中々条件の厳しい魔法ニャ。
それだけに、かなりこだわりぬいたニャ。
もとは逃亡しそうな魔王用に開発した魔法だったが、魔王は勘がいいせいか中々逃亡してくれにゃかったニャ。



「ドラ様。7賢のミウはいったいどういう状況で？」
「知りたいかニャ？結論からいうとミウちゃんはもっとも大切なモノをもっていかれたニャ」
「大切な…モノ？」

「第41階層ネコ式超魔術・百獣大行進は正々堂々戦わにゃいネコ道精神に反するヤツに強烈なペナルティを与えるニャ？」
「どういうこと…」
「そのペナルティとは対象者が最も大切にしているモノを失う。家族とか、自分の資産とかその人が一番大切にしている、かけがいのないモノだニャ。ミウちゃんの場合はおのれの魂だったのかニャ？ほら口から魂が抜けてるニャー」
「そんなデタラメが可能だというの…」
「ところで、魔王の大切なモノはいったいなにか…ニャ？」




肉食獣のドラは獲物を狙う目でキラリと見るニャ。
百獣の獅子は逃げまどうネズミにも全力を尽くすんだニャ。

もともとは逃げるのを想定していた魔王のために開発した魔法だったんだニャ？
恐怖で顔をひきつらせる魔王。

ニャハハ。
あまりの恐怖からか少し漏らしているようにみえるのは気のせいかニャ？



「ドラ様…魂を失ったミウはどうなるのでしょう？」
「そんなもん知るかニャ！」
「キャア！」



まったく。

ドラを神様かにゃんかと勘違いしてないかニャ？
ドラはただのネコで魂をつかさどる神様じゃないニャ！
アナザーゴッドハーデスドラじゃないんだニャ。

と、イラついていたらなんとボヤけた白い玉の数々がミウちゃんの周りに集まってきたニャ！



「にゃんだこれは！」
「おそらくミウの反魂の儀で犠牲になった市民の魂たちかと」
「ニャ！？」



そういやミウちゃん、魂変換機とかなんとかいってたニャ！

あの死体の数々はは善良な市民たちのだったのかニャ。
ボヤけた白い玉はミウちゃんの周りでなんかやってるニャ。
いや、かすかだが声が響いてくるニャ…



《俺たちを利用しやがって！》
《なにも悪いことはしてないのに！》
《殺せ！7賢のミウを殺せ！》

《キャアアアアアア！！》




「未練を残してこの世を去った魂の怨念は凄まじいと聞きます」
「そうなのかニャ？ミウちゃーん！大丈夫かニャー？」
「恨まれた魂たちによって、ミウは永遠の時をボコられるかと…」



ゾゾゾと魔王は心底震えているニャ。

『一歩間違えば私も』、といった感じだニャ。
ニャハハ。
ドラの恐ろしさを再認識しているようだニャ？
これに懲りたら、隠している宝石をきちんとぜんぶ出すんだニャ。



「これにて一件落着ニャ。あっ！結局ギルドクエスト終わってないニャ！？金欠のままなんだニャー」
「ミウの身につけているモノを奪えばよいのでは？7賢のものだけに素材なんかより遥かに金になりますよ」
「ニャニ！？」
「えっだからミウのものを…」
「お前には死者を弔う気持ちがないのかニャ！この泥棒ネコが！」
「キャアアア」



まったく泥棒ネコらしい発想だニャ。

でも魔王のくせに一理あるニャ。
チマチマ金策するより、奪ったほうがてっとりばやいかもニャ。

なんせドラはネコ科の肉食獣。
弱肉強食の厳しい世界で生きてきた自然界の掟を守る飼いネコニャ？
強いものが弱いものから奪う、簡単なことだったニャ。