最強無双のチート猫、異世界を蹂躙する

第12話ニャ！たいへんたいへん。これはドラに届きうる牙だニャ！

「ぐぬぬ…これは大変にゃことになったニャ」
「邪神ロキ…はじめてみた」



ロキの話だと女神様はドラを殺すために勇者召喚するみたいだニャ。

やばいニャ。
勇者はドラ一人で充分なんだニャ！
このままじゃあ用なしとなったドラは負け組異世界召喚者なんだニャ。

これはにゃんとかしないと…



「こうしちゃられにゃいニャ！ひとまず様子だけでも見に行かなきゃ！」
「えっ目立つな、って」
「いいから魔王も手伝えニャ！」
「で、でも様子たってどう見に行くんですか？」
「ドラズファストトラベル！」
「わっ」


シュン！



しっぽに火がついたドラは急いで女神様の近くにワープするニャ。
もちろん、しっぽに火は言葉のたとえで、実際にはドラのしっぽは誰もが惚れ惚れする美しいトラ柄なんだニャ。


「ドラ様、ここは本当にアテナの近くなんですか？」
「？当然だニャ？ドラズGPSで女神様のマーカー位置情報を特定、そこにドラズファストトラベルするだけ。洋ゲーを応用した簡単なことなんだニャ？」
「そんなデタラメワープが可能だというの…」

「シッ！居たニャ、女神様だニャ！」



さっそく女神様発見だニャ。

まずは何をしてるのか様子を見ないと…
さいわいドラはネコだから気配を消すことは得意なんだニャ。
野生の狩りの本能で、これでいくどとなく逃げまどうネズミを仕留めてきたニャ。



「めが…み…ア…テナ！」
「ニャニャ！？まま魔王しゃん？」


ゴゴゴゴゴ！


魔王は女神様を見るや鬼のような形相でにらみつけるニャ。

とんでもない憎しみの表情。
ドラもさすがに魔王の気迫に少し怖いんだニャ。


「魔王しゃん？今はバレてはいけませんから殺気はほどほどにしませんか…」
「アテナ…あいつのせいで私は！私はー！」
「第15階層ネコ式超魔術…」
「はいー静かにします！」


ふうーやれやれ。

魔王の厨二発作も怖いもんだニャ。
こんなシリアスかつ隠密な場面で厨二をこじらすとか、どういう神経してるんだニャ？
こんなバカを使わざるえないドラの立場にもなって欲しいニャ。


「こ…ここは！？」
「どうやら見たことのない景色のようだな」
「ふええ、怖いよお」
「もしやこれって」

「ハア…ハア。私は女神アテナ。あなた達を異世界に召喚したものです」



ニャニー！？

もはや異世界召喚が始まっていたニャ！
しかも3…4…5。
全部で5人も一斉に召喚なんだニャ！

女神様本気すぎる。
見に来ておいて良かったニャ。
思ったより事態は深刻なんだニャ。


「い、異世界ってどういうことだよ！？」
「元の世界に帰れないの？」
「き、きたああああ！」

「ハア…ハア。落ちついてください」


召喚者達の反応は戸惑っている者、喜んでいる者様々だニャ。
その一方で、なんだか女神様は、かなり消耗している様子だニャ？

それもそうか。
一気に5人とか、さすがにキツかったんかニャ。

そんにゃことより、肝心の部分が気になるんだニャ。


「ハア…ハア。大丈夫です。あなたたちが異世界で生きていけるように強力な能力を授けてあります」
「ですので、どうかこの世界をお救いください！」



ニャアアア！？

やっぱり！
女神様はしっかりチート能力を付与しているみたいだニャ。
たいへんたいへん。
これはドラに届きうる牙だニャ！

実際ドラも、全く同じシチュエーションを体験してたんだニャ。
『どうかこの世界をお救いください』の言葉に漢ドラは奮いたたずにいられなかったニャ！

ただ心配性のドラの場合は3日間くらいダダをこね続けてチート能力を相当もらったかニャ？
チート能力の数々は、ドラの魔法開発に組み込んで使っているニャ。

最期のほうは女神様も半ばなげやりで、チート能力を付与していた気がするニャ。



「あのー」
「あれ…あなたは。たしか召喚は4人だったはず」

「はい。巻き込まれ召喚のものです。ぼくだけ年上ですし」
「あらら」
「ですので、ぼくは気ままに生きていいですか？もらった能力も大した能力じゃなさそうですし…」
「まあ、巻き込まれ召喚の方なら」


ふむ！？

なぜか異世界召喚者のうち1人が女神様から離れていくニャ。
ニヤリ。
これは願ってもないチャンスかもニャ？

さっそく、この巻き込まれ召喚の人のあとをつけるとするか…ニャ。