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第五章 繋がる心
揺らぐ心
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「何者か? と問われて正直に答える者がおるか? のぅ、栄貴妃?」
琳淑妃はなおも星の問いをはぐらかそうとする。
「正義を振りかざした者ならば、名乗ってしまうかもしれません、正直に。そういえば先程自ら名乗りを上げた者がいましたねぇ」
「そういえばそうであった。ほほほ」
星のことを言っているようだ。馬鹿にされているとわかった星は顔が熱くなるのを感じた。
「おや。天御門星、顔が赤いぞ?」
「う、うるさい!」
からかわれていることに気づいた星は恥ずかしくなり、咄嗟に叫んでしまった。
「可愛らしいことよ。だが愛する男を守らんとする気概は見事だ。その思いにわらわは感動したぞ。天御門星、そなた我らに協力してくれぬか? 力を貸してくれるなら、皇帝陛下にこれ以上手出しするのはやめておいてもよい」
驚いたことに、琳淑妃は星と交渉がしたいようだ。
「愚かなことを言うな! 自らの正体を明かさぬ者たちに協力するわけがないだろう。おまえたちのせいで天御門家一族と、兄の優は死んだのに!」
「おまえは少し勘違いをしておるぞ。皇帝を陥れるためだけに、わざわざ和国の天御門家一族を殺しにいくと思うか? すべては天御門家の初代当主から始まったことなのだぞ」
「なぜそこに初代様がでてくるんだ? 関係ないだろう」
「関係あるとも。天御門家初代当主兄妹が我ら一族の統領を封印したのだから。そのために我らは人に憑りつくことでしか力を発揮できなくなってしまった」
「初代様が一族の統領を封印した……? 人に憑りつく? おまえたちの正体はあやかしか?」
天御門家の初代当主が封印しなくてはいけないほどの存在。それはつまり凶悪な存在であり、人を害する者たちということだ。
「あやかしなどと総称で呼ぶのは無礼だぞ。我らは偉大なる九尾の狐様にお仕えする妖狐の一族なのだから」
「妖狐の一族……? では天御門家を襲った鬼たちは何者だ?」
「我らの仲間じゃ。鬼に憑りつき、天御門家を攻撃してやった。鬼はあやかしの中で最も攻撃力に優れているため、人間たちを襲わせるのに適しておるからな」
星はようやく琳淑妃たちの正体を知ることができた。
これまでずっと優の敵は鬼だと思っていたため、他のあやかしの可能性を考えていなかったのだ。
「後宮と雷烈様を呪っていたのは、おまえたちの正体を悟られないためでもあったのか?」
「そのとおり。そなた、なかなか賢いのぅ。ますます気に入ったぞ」
(悔しい……! 敵だと思っていた奴らの正体が妖狐で、ずっと騙されていたなんて)
妖狐という存在は自分以外の存在に化けるのが得意だという。巧みに正体を隠していたのだろう。
「ふふ。そう我らを睨むな。先ほども話したが、我らは誰かに憑りつかなくては力を発揮できぬのだ。天御門家の初代当主が九尾の狐様を封印したためにな」
「その九尾の狐とやらが人間に悪さをしたからだろう。ならば初代様に封印されて当然だ」
「いいや。悪さなどしておらぬぞ。九尾の狐様は大陸から和国に渡られただけ。それなのに、天御門家初代当主兄妹は九尾の狐様を突然襲ったのだ。陰陽師として活躍し、名声を得たかったのだろう」
「うそだ! 初代様がそのようなことをするはずが……」
「なぜそう言い切れる? おまえは天御門家に生まれながらながら存在を消され、疎まれて生きてきたはずだ。そのような非情なことを平気でする一族なのだぞ? 初代当主が善人だと本当に断言できるか?」
「そ、それは……」
星は天御門家初代当主のことを詳しく知らない。あくまで兄の優から教わっただけなのだ。
「天御門家初代当主であった天御門 晴人は妹と共に陰陽師として活躍していたはずなのに、その存在を消し、初代当主はひとりだけだと記した。それはなぜだと思う? 九尾の狐様を封印した手柄を独り占めにしたかったからさ。妹のほうは、かわいそうなことよのぅ。兄よりも呪封師の才能に恵まれていたために、ただひとりの兄から疎まれていたとは。そうとも知らず健気に兄を支えていた」
「初代様がそのようなことを……? いや、そんなはずはない! きっとないはずだ」
必死に否定する星だったが、自分自身の信じていたものが少しずつ揺らぎ始めていた。
琳淑妃はなおも星の問いをはぐらかそうとする。
「正義を振りかざした者ならば、名乗ってしまうかもしれません、正直に。そういえば先程自ら名乗りを上げた者がいましたねぇ」
「そういえばそうであった。ほほほ」
星のことを言っているようだ。馬鹿にされているとわかった星は顔が熱くなるのを感じた。
「おや。天御門星、顔が赤いぞ?」
「う、うるさい!」
からかわれていることに気づいた星は恥ずかしくなり、咄嗟に叫んでしまった。
「可愛らしいことよ。だが愛する男を守らんとする気概は見事だ。その思いにわらわは感動したぞ。天御門星、そなた我らに協力してくれぬか? 力を貸してくれるなら、皇帝陛下にこれ以上手出しするのはやめておいてもよい」
驚いたことに、琳淑妃は星と交渉がしたいようだ。
「愚かなことを言うな! 自らの正体を明かさぬ者たちに協力するわけがないだろう。おまえたちのせいで天御門家一族と、兄の優は死んだのに!」
「おまえは少し勘違いをしておるぞ。皇帝を陥れるためだけに、わざわざ和国の天御門家一族を殺しにいくと思うか? すべては天御門家の初代当主から始まったことなのだぞ」
「なぜそこに初代様がでてくるんだ? 関係ないだろう」
「関係あるとも。天御門家初代当主兄妹が我ら一族の統領を封印したのだから。そのために我らは人に憑りつくことでしか力を発揮できなくなってしまった」
「初代様が一族の統領を封印した……? 人に憑りつく? おまえたちの正体はあやかしか?」
天御門家の初代当主が封印しなくてはいけないほどの存在。それはつまり凶悪な存在であり、人を害する者たちということだ。
「あやかしなどと総称で呼ぶのは無礼だぞ。我らは偉大なる九尾の狐様にお仕えする妖狐の一族なのだから」
「妖狐の一族……? では天御門家を襲った鬼たちは何者だ?」
「我らの仲間じゃ。鬼に憑りつき、天御門家を攻撃してやった。鬼はあやかしの中で最も攻撃力に優れているため、人間たちを襲わせるのに適しておるからな」
星はようやく琳淑妃たちの正体を知ることができた。
これまでずっと優の敵は鬼だと思っていたため、他のあやかしの可能性を考えていなかったのだ。
「後宮と雷烈様を呪っていたのは、おまえたちの正体を悟られないためでもあったのか?」
「そのとおり。そなた、なかなか賢いのぅ。ますます気に入ったぞ」
(悔しい……! 敵だと思っていた奴らの正体が妖狐で、ずっと騙されていたなんて)
妖狐という存在は自分以外の存在に化けるのが得意だという。巧みに正体を隠していたのだろう。
「ふふ。そう我らを睨むな。先ほども話したが、我らは誰かに憑りつかなくては力を発揮できぬのだ。天御門家の初代当主が九尾の狐様を封印したためにな」
「その九尾の狐とやらが人間に悪さをしたからだろう。ならば初代様に封印されて当然だ」
「いいや。悪さなどしておらぬぞ。九尾の狐様は大陸から和国に渡られただけ。それなのに、天御門家初代当主兄妹は九尾の狐様を突然襲ったのだ。陰陽師として活躍し、名声を得たかったのだろう」
「うそだ! 初代様がそのようなことをするはずが……」
「なぜそう言い切れる? おまえは天御門家に生まれながらながら存在を消され、疎まれて生きてきたはずだ。そのような非情なことを平気でする一族なのだぞ? 初代当主が善人だと本当に断言できるか?」
「そ、それは……」
星は天御門家初代当主のことを詳しく知らない。あくまで兄の優から教わっただけなのだ。
「天御門家初代当主であった天御門 晴人は妹と共に陰陽師として活躍していたはずなのに、その存在を消し、初代当主はひとりだけだと記した。それはなぜだと思う? 九尾の狐様を封印した手柄を独り占めにしたかったからさ。妹のほうは、かわいそうなことよのぅ。兄よりも呪封師の才能に恵まれていたために、ただひとりの兄から疎まれていたとは。そうとも知らず健気に兄を支えていた」
「初代様がそのようなことを……? いや、そんなはずはない! きっとないはずだ」
必死に否定する星だったが、自分自身の信じていたものが少しずつ揺らぎ始めていた。
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