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第二章 新たな生活とじゃがいも料理あらかると
ぽってりとろり、ぽてとすーぷ
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「ぽてとすーぷって、つぶしたじゃがいもを牛乳で煮た汁でやんすね」
かまどの前に立つさちの手元を、一つ目小僧が興味深そうにのぞき込んでいる。
「ええ。スープと言います。スープにはいろんな種類があるのですが、これはそのひとつです」
「へー。じゃがいもはコロッケだけじゃなく、スープなんて名前の、ハイカラな料理にもなるでやんすね」
「そうですよ。じゃがいもは洋風にも和風にもなれるんです!」
さちはやや控えめな胸を張り、誇らしげに主張する。じゃがいもが万能なのであって、さちが有能なわけではないのだが、まるで自分の手柄のように話すのだった。そんなさちを、一つ目小僧は愉快そうに見つめている。
化け火に火加減を調節してもらいながら、じゃがいもと牛乳が入った鍋を木べらで混ぜていく。うっかり目を離すと焦げ付いてしまうから注意が必要だ。
「そうそう、さちさん。おいらに妙な言葉遣いは不要でやんす。さちさんは、おやびんの奥様でやんすから」
ことこと、くつくつと煮える鍋を、さちと共に見守る一つ目小僧が言った。
「でも、一つ目小僧さん」
「おいらだって、人間の話し方を真似ているうちに、妙な話し方になってるのは自覚してるでやんす。ふたりでよそよそしい話し方してたら、体がむずがゆくなるでやんす」
一つ目小僧の話し方が人間の真似をしているとは知らなかった。変わった話し方をしているとは思っていたが。
「わかりました。でも、一つ目小僧さんも私にあまり気を遣わないで。私はぬらりひょん様のお嫁さんとして、認められたわけではないのですから」
「そうなんでやんすか? そりゃあ知らなかったっす」
「私はぬらりひょん様の元で働かせていただくだけなの。だから若奥様とか御寮さんとかやめてね」
「がってんでやんす!」
にかっと笑った一つ目小僧の無邪気な笑顔に、さちも自然と顔がほころぶ。
「あのね、ひとつお願いがあるのだけれど……」
「なんでやんす?」
木べらで鍋を混ぜているさちの頬が、ぽっと赤く染まった。
「私ね、弟が欲しいって、ずっと思ってたの。もしも、もしもでいいのだけれど、『一つ目ちゃん』って呼んでもいいかしら?」
「一つ目ちゃん……」
面食らったのか、一つ目小僧はその場で黙り込んでしまった。
「や、やだ、ごめんなさい。いきなり失礼よね、一つ目小僧さん、さっきのは忘れて……」
気を悪くさせてしまったのかもしれない。さちは火加減を見ながら、一つ目小僧に謝ろうとした時だった。
「ではおいらは、さちさんを、『さち姐さん』って呼ぶでやんす!」
一つ目小僧の元気な声が、土間に響いた。
「さち姐さん……?」
「あれ、駄目でやんすか? おやびんの若奥様、いや、若奥様候補だから、『さち姐さん』って」
「ううん、嬉しい。ありがとう、一つ目ちゃん!」
さちと一つ目小僧は共にかまどの前に並びながら、楽しそうに笑った。
化け火も二人の笑い声に応えるように、ぱちん、と軽く火花を散らした。
「一つ目小僧と嫁さん、すっかり仲良しになったみてえだな」
体をぼりぼりと掻きむしりながら、油すましが体をこきこきと鳴らしている。一つ目小僧と一緒にちゃぶ台の横で寝てしまい、二人の賑やかな声で目を覚ましたようだ。
「あー昨夜は飲みすきだ。頭がいてぇわ。ぬらりひょんは変わらす酒に強いな」
「油すましは酒を飲みたがるくせに、酒に弱いのは昔から変わらんのぅ」
さちと一つ目小僧の様子を見守りながら、ぬらりひょんはせせら笑った。
「そういうおまえこそ、阿呆みたいに、とろけた顔で嫁さんを見てやがって」
「何か言ったか、油すまし」
「いーや、なんでも。嫁さん、いや、さちって娘は何か作ってるみてぇだけど、おれも欲しいな」
「おそらく用意してくれてるはずだ」
「ありがてぇ」
油すましは嬉しそうに膝を叩いた。
ことこと煮たじゃが芋と牛乳を、スープストックで溶きのばし、仕上げにメリケン粉を降り混ぜたら、ぽってりとした優しい味わいの、ポテトスープの完成だ。
「ポテトスープをご用意しました。どうぞお召し上がりください」
ぬらりひょんの屋敷にスープ皿までは置いてなかったので、大きめのお椀で代用させてもらった。
「ほー、白い汁とはな。白味噌の味噌汁とはまた違うみたいだな」
油すましは見たことのないスープを、不思議そうに見つめている。
「潰したじゃがいもを牛乳で煮たスープです。体も温まりますよ」
さちの説明に、ぬらりひょんと油すましはお椀の中をのぞき込んだ。
「じゃがいもの牛乳汁といったところか。ではいただくとしよう」
手を合わせると、匙でポテトスープをすくいとり、口の中へ運ぶ。油すましは匙を使うのが面倒なのか、お椀を傾け、そのまま口の中へ流し込んでいる。
「ふぅむ……これはまた……」
まず一声唸うなったのは、ぬらりひょんだった。
とろりとしたスープは、じゃがいもの素朴な甘みとわずかなベーコンの塩気を牛乳がつつみ込み、体にしみじみとしみ込む優しい味わいとなっている。木べらで潰したことで、じゃが芋の粒が残っており、ほくほくとした食感が口の中で広がる。コロッケのような華やかさはないものの、とろりと喉の奥に流れていく感覚が不思議と癖になる。
「なんと優しい味わいだ。酒を飲んだ後の腹に、ゆっくりと染み渡っていく」
ぬらりひょんはポテトスープを匙ですくい取り、ゆっくり口の中へ運んでは、目をつむって堪能している。
油すましは何も言わず、お椀を傾けながら飲み干すと、すぐにお代わりをさちに要求した。
「今度は匙でゆっくり味わいたい」
お代わりのポテトスープに匙を添えて油すましに渡すと、慣れない手つきでスープをすくい取り、口の中へ運んでいく。口に入れるたび、その顔は情けないほど緩み、また口へと運ぶ。言葉にはしないが、とても気に入っている様子だ。
「うまいでやんすねぇ、うまいでやんすねぇ」
一つ目小僧は「うまい、うまい」と連呼しながら、ポテトスープを夢中で口に運んでいる。彼もまたポテトスープをお気に召したようだ。
「ごつごつとしたじゃがいもが牛乳と合わさることで、コロッケとはまた違った味わいとなるのだな。ああ、しみじみとうまい……」
少し多めに作ったポテトスープであったが、あっさりなくなってしまった。一つ目小僧に至っては、鍋の底を木べらでこそげとっている有様だ。
「ああ、美味かった。美味かったぞ」
ぬらりひょんは満足そうに微笑んだ。厳しい顔つきはとっくにどこかへ消えていた。
「お気に召していただけて、私も嬉しゅうございます。またお作りしますね」
さちはポテトスープを味見程度しか口にできなかったが、心はほっこりと温かかった。三人の満足そうな顔を見ているだけで、さちの顔も自然と笑顔になる。
(皆様に喜んでもらえると、私もうれしい。もっと作ってさしあげたくなる)
さちの心は不思議と弾んでいた。それは初めて知る感覚だった。今日は何を、そして明日は何を作ろう? 考えるだけで楽しい。
九桜院家でも毎日働いていたのに、心が弾むような楽しさは一度も感じたことはなかった。
(ぬらりひょん様に、そして皆様に料理を作ってお出しする。それがこんなにも嬉しいだなんて)
さちはぬらりひょんに体を向けると、おずおずと、けれど懸命に自分の想いを伝えてみた。
「ぬらりひょん様、許されるのでしたら、私は毎日こうしてお料理を作ってお出ししたいです。よろしいでしょうか……?」
ぬらりひょんは口元を軽く拭い取ると、にやりと笑った。
「許すも何も、そのようにしてくれと最初に頼んだのはわしだ。好きにするがいい」
不安そうなさちの顔は消え去り、輝くような笑顔がそこにあった。
「ありがとうございます!」
さちは喜びと嬉しさで、心がはち切れそうなほどだ。
今晩は何をお出ししよう? 夢中で献立を考え出したさちを、ぬらりひょんは微笑ましく見守っていた。
かまどの前に立つさちの手元を、一つ目小僧が興味深そうにのぞき込んでいる。
「ええ。スープと言います。スープにはいろんな種類があるのですが、これはそのひとつです」
「へー。じゃがいもはコロッケだけじゃなく、スープなんて名前の、ハイカラな料理にもなるでやんすね」
「そうですよ。じゃがいもは洋風にも和風にもなれるんです!」
さちはやや控えめな胸を張り、誇らしげに主張する。じゃがいもが万能なのであって、さちが有能なわけではないのだが、まるで自分の手柄のように話すのだった。そんなさちを、一つ目小僧は愉快そうに見つめている。
化け火に火加減を調節してもらいながら、じゃがいもと牛乳が入った鍋を木べらで混ぜていく。うっかり目を離すと焦げ付いてしまうから注意が必要だ。
「そうそう、さちさん。おいらに妙な言葉遣いは不要でやんす。さちさんは、おやびんの奥様でやんすから」
ことこと、くつくつと煮える鍋を、さちと共に見守る一つ目小僧が言った。
「でも、一つ目小僧さん」
「おいらだって、人間の話し方を真似ているうちに、妙な話し方になってるのは自覚してるでやんす。ふたりでよそよそしい話し方してたら、体がむずがゆくなるでやんす」
一つ目小僧の話し方が人間の真似をしているとは知らなかった。変わった話し方をしているとは思っていたが。
「わかりました。でも、一つ目小僧さんも私にあまり気を遣わないで。私はぬらりひょん様のお嫁さんとして、認められたわけではないのですから」
「そうなんでやんすか? そりゃあ知らなかったっす」
「私はぬらりひょん様の元で働かせていただくだけなの。だから若奥様とか御寮さんとかやめてね」
「がってんでやんす!」
にかっと笑った一つ目小僧の無邪気な笑顔に、さちも自然と顔がほころぶ。
「あのね、ひとつお願いがあるのだけれど……」
「なんでやんす?」
木べらで鍋を混ぜているさちの頬が、ぽっと赤く染まった。
「私ね、弟が欲しいって、ずっと思ってたの。もしも、もしもでいいのだけれど、『一つ目ちゃん』って呼んでもいいかしら?」
「一つ目ちゃん……」
面食らったのか、一つ目小僧はその場で黙り込んでしまった。
「や、やだ、ごめんなさい。いきなり失礼よね、一つ目小僧さん、さっきのは忘れて……」
気を悪くさせてしまったのかもしれない。さちは火加減を見ながら、一つ目小僧に謝ろうとした時だった。
「ではおいらは、さちさんを、『さち姐さん』って呼ぶでやんす!」
一つ目小僧の元気な声が、土間に響いた。
「さち姐さん……?」
「あれ、駄目でやんすか? おやびんの若奥様、いや、若奥様候補だから、『さち姐さん』って」
「ううん、嬉しい。ありがとう、一つ目ちゃん!」
さちと一つ目小僧は共にかまどの前に並びながら、楽しそうに笑った。
化け火も二人の笑い声に応えるように、ぱちん、と軽く火花を散らした。
「一つ目小僧と嫁さん、すっかり仲良しになったみてえだな」
体をぼりぼりと掻きむしりながら、油すましが体をこきこきと鳴らしている。一つ目小僧と一緒にちゃぶ台の横で寝てしまい、二人の賑やかな声で目を覚ましたようだ。
「あー昨夜は飲みすきだ。頭がいてぇわ。ぬらりひょんは変わらす酒に強いな」
「油すましは酒を飲みたがるくせに、酒に弱いのは昔から変わらんのぅ」
さちと一つ目小僧の様子を見守りながら、ぬらりひょんはせせら笑った。
「そういうおまえこそ、阿呆みたいに、とろけた顔で嫁さんを見てやがって」
「何か言ったか、油すまし」
「いーや、なんでも。嫁さん、いや、さちって娘は何か作ってるみてぇだけど、おれも欲しいな」
「おそらく用意してくれてるはずだ」
「ありがてぇ」
油すましは嬉しそうに膝を叩いた。
ことこと煮たじゃが芋と牛乳を、スープストックで溶きのばし、仕上げにメリケン粉を降り混ぜたら、ぽってりとした優しい味わいの、ポテトスープの完成だ。
「ポテトスープをご用意しました。どうぞお召し上がりください」
ぬらりひょんの屋敷にスープ皿までは置いてなかったので、大きめのお椀で代用させてもらった。
「ほー、白い汁とはな。白味噌の味噌汁とはまた違うみたいだな」
油すましは見たことのないスープを、不思議そうに見つめている。
「潰したじゃがいもを牛乳で煮たスープです。体も温まりますよ」
さちの説明に、ぬらりひょんと油すましはお椀の中をのぞき込んだ。
「じゃがいもの牛乳汁といったところか。ではいただくとしよう」
手を合わせると、匙でポテトスープをすくいとり、口の中へ運ぶ。油すましは匙を使うのが面倒なのか、お椀を傾け、そのまま口の中へ流し込んでいる。
「ふぅむ……これはまた……」
まず一声唸うなったのは、ぬらりひょんだった。
とろりとしたスープは、じゃがいもの素朴な甘みとわずかなベーコンの塩気を牛乳がつつみ込み、体にしみじみとしみ込む優しい味わいとなっている。木べらで潰したことで、じゃが芋の粒が残っており、ほくほくとした食感が口の中で広がる。コロッケのような華やかさはないものの、とろりと喉の奥に流れていく感覚が不思議と癖になる。
「なんと優しい味わいだ。酒を飲んだ後の腹に、ゆっくりと染み渡っていく」
ぬらりひょんはポテトスープを匙ですくい取り、ゆっくり口の中へ運んでは、目をつむって堪能している。
油すましは何も言わず、お椀を傾けながら飲み干すと、すぐにお代わりをさちに要求した。
「今度は匙でゆっくり味わいたい」
お代わりのポテトスープに匙を添えて油すましに渡すと、慣れない手つきでスープをすくい取り、口の中へ運んでいく。口に入れるたび、その顔は情けないほど緩み、また口へと運ぶ。言葉にはしないが、とても気に入っている様子だ。
「うまいでやんすねぇ、うまいでやんすねぇ」
一つ目小僧は「うまい、うまい」と連呼しながら、ポテトスープを夢中で口に運んでいる。彼もまたポテトスープをお気に召したようだ。
「ごつごつとしたじゃがいもが牛乳と合わさることで、コロッケとはまた違った味わいとなるのだな。ああ、しみじみとうまい……」
少し多めに作ったポテトスープであったが、あっさりなくなってしまった。一つ目小僧に至っては、鍋の底を木べらでこそげとっている有様だ。
「ああ、美味かった。美味かったぞ」
ぬらりひょんは満足そうに微笑んだ。厳しい顔つきはとっくにどこかへ消えていた。
「お気に召していただけて、私も嬉しゅうございます。またお作りしますね」
さちはポテトスープを味見程度しか口にできなかったが、心はほっこりと温かかった。三人の満足そうな顔を見ているだけで、さちの顔も自然と笑顔になる。
(皆様に喜んでもらえると、私もうれしい。もっと作ってさしあげたくなる)
さちの心は不思議と弾んでいた。それは初めて知る感覚だった。今日は何を、そして明日は何を作ろう? 考えるだけで楽しい。
九桜院家でも毎日働いていたのに、心が弾むような楽しさは一度も感じたことはなかった。
(ぬらりひょん様に、そして皆様に料理を作ってお出しする。それがこんなにも嬉しいだなんて)
さちはぬらりひょんに体を向けると、おずおずと、けれど懸命に自分の想いを伝えてみた。
「ぬらりひょん様、許されるのでしたら、私は毎日こうしてお料理を作ってお出ししたいです。よろしいでしょうか……?」
ぬらりひょんは口元を軽く拭い取ると、にやりと笑った。
「許すも何も、そのようにしてくれと最初に頼んだのはわしだ。好きにするがいい」
不安そうなさちの顔は消え去り、輝くような笑顔がそこにあった。
「ありがとうございます!」
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