43 / 44
第四章 対 決
月明かりの求婚
しおりを挟む
*
「さち! 無事で良かった!!」
ぬらりひょんの屋敷に着いたとたん、真っ先に出迎えたのらろくろ首のおりんだった。豊かな胸元にさちを抱きしめ、愛しそうにすりすりとする。
「さち姐さん! おいら、心配で心配で、メシも喉を通らなくて……」
さちの体に抱きついてきたのは、さちを姐さんと呼ぶ、一つ目小僧だった。
「そのわりに雑穀の粥を、わしわし食ってた気がするがなぁ?」
さらりと嫌味を言ったのは、油すましだ。
「そ、そりゃあ腹は減るっす。ただいつもより腹七、八分ぐらいしか食べられなかったでやんす」
「それだけ食べれりゃ十分だ」
食いしん坊で少しお調子者な一つ目小僧の変わらぬ姿に、さちはつい笑ってしまった。
「皆さん、お元気そうで……」
「元気なもんかい。さちが心配でたまらなかったんだから。九桜院家に襲撃に行こう! って一つ目小僧と相談してたんだよ」
「そうでやんす。おいらが悪党をこれでもかと殴り倒してやろうかと」
「おチビなあんたにそれができんのかい? 吹き飛ばされて終わりだろ?」
「おりんさん、それはないでやんす~! 実力はともかく、思いだけは強かったでやんす」
子供のような姿の一つ目小僧が、蓉子を殴り倒せるとは思えなかったが、さちのことを思ってくれていたのはよくわかった。その思いが何より嬉しい。
「でもさ、さち。こうしてここに帰ってきてくれて、本当に良かったよ」
「そうでやんす。おいら、安心したら腹が減ってきやした!」
早速お腹を鳴らし始める一つ目小僧に、一同は一斉に笑った。
(私、心から笑ってる。なんて幸せなことでしょう)
「おい、一つ目小僧。しばらくはふたりきりにしてやれ。ぬらりひょんとさちは正式に夫婦になるそうだからな」
「んまぁ! じゃあいずれお祝いしないとね! んじゃ、今日のところはこれで。お邪魔虫は、さっさと退散しないとね。さ、行くよ。一つ目小僧」
「さち姐さん~またハイカラ料理を作ってくれでやんすぅ~」
「このおりん様がパンケーク作ってやるからさ」
「おりんさんのパンケークはところどころ焦げてるでやんす」
「おだまり!」
「うわーん、おりんさんがぶったぁ」
おりんにずるずると引きずられていく一つ目小僧を見送ると、さちは笑いながらも、目に涙がたまっているのを感じていた。
「皆様がお元気で良かった。ようやく帰ってこれた気がします」
涙がこぼれ落ちる前に、さちは袂でそっとふき取った。
「あやつら、さちのことを心から心配しとった。またうまい食事でも作って、もてなしてやってくれ」
「はい。そうさせていただきます」
「さち、早速ですまんが、ほうじ茶を淹れてくれ。おぬしと一緒にわしの部屋で茶が飲みたい。さちに話したいことがあるからのぅ」
「はい、すぐにお茶をおもちしますね」
はりきって、さちはお茶の準備をする。小さなことだが、さちには嬉しくてたまらないのだ。
「化け火さん、私、帰ってきました。かまどに火をお願いできますか?」
さちがかまどをのぞきこむと、化け火はすぐに飛び出してきた。楽しそうにぱちぱちと、火花を散らす。化け火もさちの帰りを待ち望んでいたのだ。
「ありがとう、化け火さん。これからもよろしくね」
化け火は、ぱちん! と大きめの火花をたてた。
ほうじ茶を丁寧に淹れると、さちはぬらりひょんの部屋へと運んだ。
「ぬらりひょん様、お茶をおもちしました」
「入ってくれ、さち」
「はい」
襖を開けると、ぬらりひょんが月明かりを背にあぐらをかいていた。
ぬらりひょんの顔はいつになく真剣だった。
「話したいことがあるのだ」
「はい。どのようなお話しでしょう?」
ぬらりひょんは穏やかに微笑み、さちの名を呼んだ。
「さち、ここへおいで」
ぬらりひょんは、自らの膝あたりをぽんぽんと軽くたたくと、両の手を左右に開いた。
「さぁ、おいで」
最初は意味がわからなかった。まるで愛猫を呼ぶように、さちを気軽に呼ぶのだから。
(おいで……って、私を呼ばれてる。そ、それって……)
ようやく意味を理解したさちは、顔がみるみる熱くなっていく。
「嫌か? 少しばかり、おぬしの温もりを感じたいのだが」
「いや、ではございません……」
さちはぬらりひょんの求めに逆らえそうになかった。恋しい人に求められて、拒絶できるはずがないのだから。
(以前おりんさんが言ってたものね。女は度胸って。女はどきょう、おんなは度胸……!)
さちは呪文を唱えるがごとく心の中で、『女は度胸』を唱えながら、ぬらりひょんの近くまで歩み寄る。
「し、失礼致します、ぬらりひょん様」
覚悟を決めて、ぬらりひょんの太ももあたりにちょこんと腰を下ろした。これが今のさちの精一杯だった。
「さち、もっと体を寄せよ。わしはおぬしの体温を感じたいのだ」
ぬらりひょんは開いた両の手で、さちを背後から抱きしめた。その温もりを確かめるように、しっかりと抱え込む。
「さちの体は温かいのぅ……」
ぬらりひょんはさちの温もりを堪能していたが、さちにはその余裕は全くなかった。
(ぬらりひょん様に抱きしめらてる。どうしよう、どうしょう……)
みるみる熱くなっていくのを感じていると、ぬらりひょんはさちの耳元にささやいた。
「そう緊張せずともよい。おぬしの無事を今一度確認したいだけなのだ。さちがわしの元に帰ってきてくれて、本当に良かった……」
さちの温もりを感じながら、ぬらりひょんは安堵の吐息をもらす。
「ぬらりひょん様、私もです。こちらへ戻ってこれて嬉しいです……」
蓉子の術中にはまってしまったのに、よくここへ帰ってこれたとさちも思う。
「さち、わしの話を聞いてくれるか?」
「はい」
ぬらりひょんはゆっくりと話し始めた。
「さち、我らあやかしは、いずれ幽世へ戻らねばならん。この日本という国は、今後もますます西洋化し、めまぐるしく変わっていくからだ。我らあやかしはその変化についていけぬ。だから幽世へ帰るのだ。ゆえに九桜院家との契約も終わらせるべきだと考えた。しかしそれが蓉子につけ入る隙を与えてしまった。今さら悔いても仕方のないことだが、もう少し用心すべきだった」
「でもそれはぬらりひょん様のせいでは」
「さちはそのように言ってくれるが、わしに責任が一切ないとも思えんのだ。一度人間の一族と契約を交わしたのなら、徐々に解消していくべきだった。しかしもう、事は起きてしまった。となれば、わしにできることは蓉子にこれ以上のことをさせぬようにしなくてはならん」
ぬらりひょんは今後について、さちに話してくれているのだ。
「蓉子も今回のことで痛手を被ったから、しばらくは問題を起こさないだろう。だが未来はわからん。九桜院家を根城に、人間の世界に悪さをするやもしれぬ。わしはそれを阻止したいと思っている。そうなれば蓉子とて黙ってはいないだろう。場合によっては大きな戦乱になる可能性もある。わしはすでに覚悟を決めているが、問題はさち、おぬしのことだ」
「私のことですか?」
ここで自分の名前が出てくるとは思わず、さちはつい聞いてしまった。
「さちの身の安全を思えば、おぬしを間の鬼の里か、幽世へ預けておくのが一番良いと思っているのだが……」
「そんな、嫌です! 私はぬらりひょん様と離れたくありません」
ようやくここへ帰ってこれたのに、別の場所へなど行きたくない。さちは必死に懇願した。
さちの頭を撫でながら、ぬらりひょんは小さく笑った。
「そうだな、困ったことにわしも同じなのだ」
「え……?」
「さちの安全を考えるのであれば、わしの屋敷から離れてもらったほうが良い。だがわしはもう、おぬしを手放したくない。さちが蓉子によってかどわかされたときに思い知ったよ。さちを誰より必要としているのはわしなのだと。改めて、おぬしに伝えたい」
ぬらりひょんはさちを目の前におろすと、そのまま体の向きを変えさせる。さちはぬらりひょんと向かい合わせに座る形となった。
ぬらりひょんの整った容姿が、さちの目の前にあった。
驚くさちの目の前で、ぬらりひょんはさちの手を降り、微笑みながら告げた。
「さち、わしの結婚してほしい。この先にどんな困難があろうと、わしと共に生きてくれるか?」
驚いたのはさちだった。
それはぬらりひょんからの初めての求婚だったからだ。さちに結婚を申し込むために、ぬらりひょんの部屋へと呼び寄せたのだ。
うれしくて、また泣きなくなってしまう。
「問うまでもありません。さちはとっくに、ぬらりひょん様の妻です」
小さく叫んださちは、ぬらりひょんにしがみついた。
さちの頬に涙があふれていく。涙を手で拭い取ってやりながら、さちのくちびるに、ぬらりひょんはそっとくちづけをした。受け入れたさちもまた、ぬらりひょんの整った顔に自らの顔を寄せる。
さちとぬらりひょんは互いを求め合うままに、心と体を寄せ合った。
雲に遮られた月の光は、さちとぬらりひょんの思いも覚悟も、そっと闇の中につつみこんでいく。切なく甘い夜は、静かに更けていった。
その夜、さちはぬらりひょんの部屋から出てくることはなかった。
「さち! 無事で良かった!!」
ぬらりひょんの屋敷に着いたとたん、真っ先に出迎えたのらろくろ首のおりんだった。豊かな胸元にさちを抱きしめ、愛しそうにすりすりとする。
「さち姐さん! おいら、心配で心配で、メシも喉を通らなくて……」
さちの体に抱きついてきたのは、さちを姐さんと呼ぶ、一つ目小僧だった。
「そのわりに雑穀の粥を、わしわし食ってた気がするがなぁ?」
さらりと嫌味を言ったのは、油すましだ。
「そ、そりゃあ腹は減るっす。ただいつもより腹七、八分ぐらいしか食べられなかったでやんす」
「それだけ食べれりゃ十分だ」
食いしん坊で少しお調子者な一つ目小僧の変わらぬ姿に、さちはつい笑ってしまった。
「皆さん、お元気そうで……」
「元気なもんかい。さちが心配でたまらなかったんだから。九桜院家に襲撃に行こう! って一つ目小僧と相談してたんだよ」
「そうでやんす。おいらが悪党をこれでもかと殴り倒してやろうかと」
「おチビなあんたにそれができんのかい? 吹き飛ばされて終わりだろ?」
「おりんさん、それはないでやんす~! 実力はともかく、思いだけは強かったでやんす」
子供のような姿の一つ目小僧が、蓉子を殴り倒せるとは思えなかったが、さちのことを思ってくれていたのはよくわかった。その思いが何より嬉しい。
「でもさ、さち。こうしてここに帰ってきてくれて、本当に良かったよ」
「そうでやんす。おいら、安心したら腹が減ってきやした!」
早速お腹を鳴らし始める一つ目小僧に、一同は一斉に笑った。
(私、心から笑ってる。なんて幸せなことでしょう)
「おい、一つ目小僧。しばらくはふたりきりにしてやれ。ぬらりひょんとさちは正式に夫婦になるそうだからな」
「んまぁ! じゃあいずれお祝いしないとね! んじゃ、今日のところはこれで。お邪魔虫は、さっさと退散しないとね。さ、行くよ。一つ目小僧」
「さち姐さん~またハイカラ料理を作ってくれでやんすぅ~」
「このおりん様がパンケーク作ってやるからさ」
「おりんさんのパンケークはところどころ焦げてるでやんす」
「おだまり!」
「うわーん、おりんさんがぶったぁ」
おりんにずるずると引きずられていく一つ目小僧を見送ると、さちは笑いながらも、目に涙がたまっているのを感じていた。
「皆様がお元気で良かった。ようやく帰ってこれた気がします」
涙がこぼれ落ちる前に、さちは袂でそっとふき取った。
「あやつら、さちのことを心から心配しとった。またうまい食事でも作って、もてなしてやってくれ」
「はい。そうさせていただきます」
「さち、早速ですまんが、ほうじ茶を淹れてくれ。おぬしと一緒にわしの部屋で茶が飲みたい。さちに話したいことがあるからのぅ」
「はい、すぐにお茶をおもちしますね」
はりきって、さちはお茶の準備をする。小さなことだが、さちには嬉しくてたまらないのだ。
「化け火さん、私、帰ってきました。かまどに火をお願いできますか?」
さちがかまどをのぞきこむと、化け火はすぐに飛び出してきた。楽しそうにぱちぱちと、火花を散らす。化け火もさちの帰りを待ち望んでいたのだ。
「ありがとう、化け火さん。これからもよろしくね」
化け火は、ぱちん! と大きめの火花をたてた。
ほうじ茶を丁寧に淹れると、さちはぬらりひょんの部屋へと運んだ。
「ぬらりひょん様、お茶をおもちしました」
「入ってくれ、さち」
「はい」
襖を開けると、ぬらりひょんが月明かりを背にあぐらをかいていた。
ぬらりひょんの顔はいつになく真剣だった。
「話したいことがあるのだ」
「はい。どのようなお話しでしょう?」
ぬらりひょんは穏やかに微笑み、さちの名を呼んだ。
「さち、ここへおいで」
ぬらりひょんは、自らの膝あたりをぽんぽんと軽くたたくと、両の手を左右に開いた。
「さぁ、おいで」
最初は意味がわからなかった。まるで愛猫を呼ぶように、さちを気軽に呼ぶのだから。
(おいで……って、私を呼ばれてる。そ、それって……)
ようやく意味を理解したさちは、顔がみるみる熱くなっていく。
「嫌か? 少しばかり、おぬしの温もりを感じたいのだが」
「いや、ではございません……」
さちはぬらりひょんの求めに逆らえそうになかった。恋しい人に求められて、拒絶できるはずがないのだから。
(以前おりんさんが言ってたものね。女は度胸って。女はどきょう、おんなは度胸……!)
さちは呪文を唱えるがごとく心の中で、『女は度胸』を唱えながら、ぬらりひょんの近くまで歩み寄る。
「し、失礼致します、ぬらりひょん様」
覚悟を決めて、ぬらりひょんの太ももあたりにちょこんと腰を下ろした。これが今のさちの精一杯だった。
「さち、もっと体を寄せよ。わしはおぬしの体温を感じたいのだ」
ぬらりひょんは開いた両の手で、さちを背後から抱きしめた。その温もりを確かめるように、しっかりと抱え込む。
「さちの体は温かいのぅ……」
ぬらりひょんはさちの温もりを堪能していたが、さちにはその余裕は全くなかった。
(ぬらりひょん様に抱きしめらてる。どうしよう、どうしょう……)
みるみる熱くなっていくのを感じていると、ぬらりひょんはさちの耳元にささやいた。
「そう緊張せずともよい。おぬしの無事を今一度確認したいだけなのだ。さちがわしの元に帰ってきてくれて、本当に良かった……」
さちの温もりを感じながら、ぬらりひょんは安堵の吐息をもらす。
「ぬらりひょん様、私もです。こちらへ戻ってこれて嬉しいです……」
蓉子の術中にはまってしまったのに、よくここへ帰ってこれたとさちも思う。
「さち、わしの話を聞いてくれるか?」
「はい」
ぬらりひょんはゆっくりと話し始めた。
「さち、我らあやかしは、いずれ幽世へ戻らねばならん。この日本という国は、今後もますます西洋化し、めまぐるしく変わっていくからだ。我らあやかしはその変化についていけぬ。だから幽世へ帰るのだ。ゆえに九桜院家との契約も終わらせるべきだと考えた。しかしそれが蓉子につけ入る隙を与えてしまった。今さら悔いても仕方のないことだが、もう少し用心すべきだった」
「でもそれはぬらりひょん様のせいでは」
「さちはそのように言ってくれるが、わしに責任が一切ないとも思えんのだ。一度人間の一族と契約を交わしたのなら、徐々に解消していくべきだった。しかしもう、事は起きてしまった。となれば、わしにできることは蓉子にこれ以上のことをさせぬようにしなくてはならん」
ぬらりひょんは今後について、さちに話してくれているのだ。
「蓉子も今回のことで痛手を被ったから、しばらくは問題を起こさないだろう。だが未来はわからん。九桜院家を根城に、人間の世界に悪さをするやもしれぬ。わしはそれを阻止したいと思っている。そうなれば蓉子とて黙ってはいないだろう。場合によっては大きな戦乱になる可能性もある。わしはすでに覚悟を決めているが、問題はさち、おぬしのことだ」
「私のことですか?」
ここで自分の名前が出てくるとは思わず、さちはつい聞いてしまった。
「さちの身の安全を思えば、おぬしを間の鬼の里か、幽世へ預けておくのが一番良いと思っているのだが……」
「そんな、嫌です! 私はぬらりひょん様と離れたくありません」
ようやくここへ帰ってこれたのに、別の場所へなど行きたくない。さちは必死に懇願した。
さちの頭を撫でながら、ぬらりひょんは小さく笑った。
「そうだな、困ったことにわしも同じなのだ」
「え……?」
「さちの安全を考えるのであれば、わしの屋敷から離れてもらったほうが良い。だがわしはもう、おぬしを手放したくない。さちが蓉子によってかどわかされたときに思い知ったよ。さちを誰より必要としているのはわしなのだと。改めて、おぬしに伝えたい」
ぬらりひょんはさちを目の前におろすと、そのまま体の向きを変えさせる。さちはぬらりひょんと向かい合わせに座る形となった。
ぬらりひょんの整った容姿が、さちの目の前にあった。
驚くさちの目の前で、ぬらりひょんはさちの手を降り、微笑みながら告げた。
「さち、わしの結婚してほしい。この先にどんな困難があろうと、わしと共に生きてくれるか?」
驚いたのはさちだった。
それはぬらりひょんからの初めての求婚だったからだ。さちに結婚を申し込むために、ぬらりひょんの部屋へと呼び寄せたのだ。
うれしくて、また泣きなくなってしまう。
「問うまでもありません。さちはとっくに、ぬらりひょん様の妻です」
小さく叫んださちは、ぬらりひょんにしがみついた。
さちの頬に涙があふれていく。涙を手で拭い取ってやりながら、さちのくちびるに、ぬらりひょんはそっとくちづけをした。受け入れたさちもまた、ぬらりひょんの整った顔に自らの顔を寄せる。
さちとぬらりひょんは互いを求め合うままに、心と体を寄せ合った。
雲に遮られた月の光は、さちとぬらりひょんの思いも覚悟も、そっと闇の中につつみこんでいく。切なく甘い夜は、静かに更けていった。
その夜、さちはぬらりひょんの部屋から出てくることはなかった。
0
あなたにおすすめの小説
『婚約破棄された悪役令嬢ですが、嫁ぎ先で“連れ子三人”の母になりました ~三人の「ママ」が聞けるまで、私は絶対に逃げません~』
放浪人
恋愛
「母はいりません」と拒絶された悪役令嬢が、最強の“ママ”になるまでの物語。
「君のような可愛げのない女は、王妃にふさわしくない」
身に覚えのない罪で婚約破棄され、“悪役令嬢”の汚名を着せられたクラリス。 彼女が新たに嫁いだのは、北方の辺境を守る「氷の公爵」ことレオンハルト・フォン・グレイフだった。
冷え切った屋敷で彼女を待っていたのは、無表情な夫と、心に傷を負った三人の連れ子たち。 「僕たちに、母はいりません」 初対面で突きつけられた三つの拒絶。しかし、クラリスは諦めなかった。
「称号はいりません。私が欲しいのは――あなたたち三人の『ママ』になれる日だけです」
得意の生活魔法『灯(ともしび)』で凍えた部屋を温め、『鎮(しずめ)』の歌で夜泣きを癒やし、家政手腕で荒れた食卓を立て直す。 クラリスの献身的な愛情は、頑なだった子供たちの心を解きほぐし、やがて不器用な夫の氷の心さえも熱く溶かしていく。
これは、不遇な悪役令嬢が「最強の母」となり、家族を脅かす元婚約者や魔獣たちを華麗に撃退し、最愛の家族から「ママ」と呼ばれるその日までを綴った物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あやかし帝都の婚姻譚 〜浄癒の花嫁が祓魔の軍人に溺愛されるまで〜
鳴猫ツミキ
キャラ文芸
【完結】【第一章までで一区切り】時は大正。天羽家に生まれた桜子は、特異な体質から、家族に虐げられた生活を送っていた。すると女学院から帰ったある日、見合いをするよう命じられる。相手は冷酷だと評判の帝国陸軍あやかし対策部隊の四峰礼人だった。※和風シンデレラ風のお話です。恋愛要素が多いですが、あやかし要素が主体です。第9回キャラ文芸大賞に応募しているので、応援して頂けましたら嬉しいです。【第一章で一区切りで単体で読めますので、そこまででもご覧頂けると嬉しいです】。
別れし夫婦の御定書(おさだめがき)
佐倉 蘭
歴史・時代
★第11回歴史・時代小説大賞 奨励賞受賞★
嫡男を産めぬがゆえに、姑の策略で南町奉行所の例繰方与力・進藤 又十蔵と離縁させられた与岐(よき)。
離縁後、生家の父の猛反対を押し切って生まれ育った八丁堀の組屋敷を出ると、小伝馬町の仕舞屋に居を定めて一人暮らしを始めた。
月日は流れ、姑の思惑どおり後妻が嫡男を産み、婚家に置いてきた娘は二人とも無事与力の御家に嫁いだ。
おのれに起こったことは綺麗さっぱり水に流した与岐は、今では女だてらに離縁を望む町家の女房たちの代わりに亭主どもから去り状(三行半)をもぎ取るなどをする「公事師(くじし)」の生業(なりわい)をして生計を立てていた。
されどもある日突然、与岐の仕舞屋にとっくの昔に離縁したはずの元夫・又十蔵が転がり込んできて——
※「今宵は遣らずの雨」「大江戸ロミオ&ジュリエット」「大江戸シンデレラ」「大江戸の番人 〜吉原髪切り捕物帖〜」にうっすらと関連したお話ですが単独でお読みいただけます。
後宮なりきり夫婦録
石田空
キャラ文芸
「月鈴、ちょっと嫁に来るか?」
「はあ……?」
雲仙国では、皇帝が三代続いて謎の昏睡状態に陥る事態が続いていた。
あまりにも不可解なために、新しい皇帝を立てる訳にもいかない国は、急遽皇帝の「影武者」として跡継ぎ騒動を防ぐために寺院に入れられていた皇子の空燕を呼び戻すことに決める。
空燕の国の声に応える条件は、同じく寺院で方士修行をしていた方士の月鈴を妃として後宮に入れること。
かくしてふたりは片や皇帝の影武者として、片や皇帝の偽りの愛妃として、後宮と言う名の魔窟に潜入捜査をすることとなった。
影武者夫婦は、後宮内で起こる事件の謎を解けるのか。そしてふたりの想いの行方はいったい。
サイトより転載になります。
【完結】あやかし団地 管理人見習い日誌
双月ねむる
キャラ文芸
就活全滅で「自分には社会性がない」と思い込む凛は、遠縁の親戚に紹介され、昭和レトロな巨大団地・さくらヶ丘第一団地の『管理人見習い』として住み込みで働くことに。しかしその団地には、中庭の「靴鳴らし」、エレベーター表示盤に棲む狐など、団地限定あやかし達が当たり前のように暮らしていた。
最初は逃げ腰の凛だったが、すねた空き部屋や、ベランダの風鈴が告げるSOSなど、人とあやかしのトラブルに巻き込まれながら、少しずつ『共同体』に関わる勇気を取り戻していく。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる