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何やら様子がおかしいターゲット
5話 暗殺失敗?
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ここに来てからあっという間に1週間が経った
アイリス様の授業はとても分かりやすく、スムーズに進んでいる
……本業は?
僕も僕で全く殺す機会を見つけられないけど……
そういえば、神子って普段は何をする人なんだろう
「シード様、こんな時に考え事?手が止まってるよ」
「あ、ごめんなさい。……神子様って、何をする人なんだろうと思って………」
「あぁ、私は基本暇してるだけで特に何も。神子としての役目は終わってるからな。最近してることと言えば強いて言うなら魔法で人助け…かな」
神子としての役目…?
最近になってその存在が明らかになった『神子』という存在
シソーラスには無い概念だった
神によって生み出された神聖な存在だと言う人もいれば、神に選ばれた崇高な人間であると言う人もいる
でも、その実態はラディクスでも不明のままらしい
ハッキリしていることは、神の恩恵を受けていることと人間から誕生したということ
その本質は神様と本人にしか知らないのだろう
「神子が気になる?」
「そりゃあ、気にならない人なんていないだろうね」
「そっか…。神子なんて言っても、ただの呪われた人間だけどな」
……呪われた?
神聖な存在と呪いがどうにも結びつかない
「私が神子になったのは悪魔と契約するようなものだった。願いを叶える代わりに役目を果たす。役目を果たすまでは逃れられないように呪いがかけられてたんだ」
「それって…神様と取引をしたってこと?」
「そう。しかも持ち掛けたのは神様からだった。私たち双子は神子としての役目を与える条件に合っていたらしいよ」
……つまり、僕と同じで後から純粋な人間じゃ無くなったんだ
そっか、羨ましいな
神様から力を貰って人間離れするなんて…僕もそうだったらこんな風にならなかったのかな
こんな、ただ殺すだけの道具にならなかったのかな
それでも暗殺者になると決めたのは自分自身だ
兵器改造された僕の行き先なんてそれくらいしか無かったんだから
神子が与えられる呪いが『役目から逃れられない』なら、僕たち兵器の呪いは……『殺人衝動』だ
殺人衝動さえ無ければ、普通の人間と同じように生きれたのに
「まぁ、おかげで何回か死んだけどさ」
「え……?死んだ?でも、今生きて……」
「それが呪い。役目を果たすまではどんな方法であれ死んでも復活する。今は役目が終わったからいつでも死に得るけど…まぁ、そんな危険を今はする必要も無い」
前言撤回
こっちの呪いの方が厄介だ
何回か死んだ?
……僕には想像できない
なんだ、神様も人間も同じだ
どっちも酷すぎる
「…って、シード様、泣かないで」
「え…?あ……」
「ごめん、こんな話しが聞きたかった訳じゃないよな。忘れてくれ」
自分が泣いてた事に気付かなかった
ただ、ひたすらにこの世は理不尽だと感じる
だって、僕はこんなにも苦労してきた人を…こんなにも優しい人を殺さないといけない
ねぇ、どうしよう
僕は……アイリス様を殺したく無いみたい
これは同情?
それとも仲間意識でも湧いたのか
こうなっちゃいけないって、分かってたのに
でも、いつかこうなるって分かってた
………きっと、この世界に必要なのは僕よりアイリス様だ
誰かの為に動き続けるアイリス様が生きているべきなんだ
だから、僕はアイリス様を殺さない
代わりに僕が…必要とされない僕がこの世界からいなくなればいいよね………?
お兄ちゃんには怒られるかもしれないけど、もう…それしか無いよ
「……ごめんなさい、アイリス様。僕としたことが取り乱すなんて」
「一人で思い悩むようなことはしないで、私が力になるから」
「あぁ、ありがとう、大丈夫。」
ーーーーーーーーーー
まずい、シードの姿が弟と重なる
今の彼女は行方をくらます前のミリーと同じ目をしていた
同じような笑い方に同じようなかわし方
一人で抱え込んで、一人で行動しようとしている
本当は今すぐにでも助けたいけど、ここで彼女の目的を知ってると明かせば余計に危険になりかねない
全ての危険性は用心しないと
もし城内に仲間が既に潜入していれば、暗殺が失敗した時点で彼女は殺される
まだ安全を確保できるまでは私も動けない
でも……まずいことを言ったか?
確かにあの呪いは厄介なものだった
普通に生きていれば知ることのない苦痛
もし、彼女がその話しを聞いて私に情でも湧いたら困る
彼女が私の暗殺を諦めるということは、最悪処分される覚悟を持ってしまうこと
……やむを得ない
彼女を助ける手段を見つけるまでは、彼女に嫌われる努力をしないと
でも、嫌われるってどうすればいい?
酷いことをしないで嫌われるって、難しくない?
アイリス様の授業はとても分かりやすく、スムーズに進んでいる
……本業は?
僕も僕で全く殺す機会を見つけられないけど……
そういえば、神子って普段は何をする人なんだろう
「シード様、こんな時に考え事?手が止まってるよ」
「あ、ごめんなさい。……神子様って、何をする人なんだろうと思って………」
「あぁ、私は基本暇してるだけで特に何も。神子としての役目は終わってるからな。最近してることと言えば強いて言うなら魔法で人助け…かな」
神子としての役目…?
最近になってその存在が明らかになった『神子』という存在
シソーラスには無い概念だった
神によって生み出された神聖な存在だと言う人もいれば、神に選ばれた崇高な人間であると言う人もいる
でも、その実態はラディクスでも不明のままらしい
ハッキリしていることは、神の恩恵を受けていることと人間から誕生したということ
その本質は神様と本人にしか知らないのだろう
「神子が気になる?」
「そりゃあ、気にならない人なんていないだろうね」
「そっか…。神子なんて言っても、ただの呪われた人間だけどな」
……呪われた?
神聖な存在と呪いがどうにも結びつかない
「私が神子になったのは悪魔と契約するようなものだった。願いを叶える代わりに役目を果たす。役目を果たすまでは逃れられないように呪いがかけられてたんだ」
「それって…神様と取引をしたってこと?」
「そう。しかも持ち掛けたのは神様からだった。私たち双子は神子としての役目を与える条件に合っていたらしいよ」
……つまり、僕と同じで後から純粋な人間じゃ無くなったんだ
そっか、羨ましいな
神様から力を貰って人間離れするなんて…僕もそうだったらこんな風にならなかったのかな
こんな、ただ殺すだけの道具にならなかったのかな
それでも暗殺者になると決めたのは自分自身だ
兵器改造された僕の行き先なんてそれくらいしか無かったんだから
神子が与えられる呪いが『役目から逃れられない』なら、僕たち兵器の呪いは……『殺人衝動』だ
殺人衝動さえ無ければ、普通の人間と同じように生きれたのに
「まぁ、おかげで何回か死んだけどさ」
「え……?死んだ?でも、今生きて……」
「それが呪い。役目を果たすまではどんな方法であれ死んでも復活する。今は役目が終わったからいつでも死に得るけど…まぁ、そんな危険を今はする必要も無い」
前言撤回
こっちの呪いの方が厄介だ
何回か死んだ?
……僕には想像できない
なんだ、神様も人間も同じだ
どっちも酷すぎる
「…って、シード様、泣かないで」
「え…?あ……」
「ごめん、こんな話しが聞きたかった訳じゃないよな。忘れてくれ」
自分が泣いてた事に気付かなかった
ただ、ひたすらにこの世は理不尽だと感じる
だって、僕はこんなにも苦労してきた人を…こんなにも優しい人を殺さないといけない
ねぇ、どうしよう
僕は……アイリス様を殺したく無いみたい
これは同情?
それとも仲間意識でも湧いたのか
こうなっちゃいけないって、分かってたのに
でも、いつかこうなるって分かってた
………きっと、この世界に必要なのは僕よりアイリス様だ
誰かの為に動き続けるアイリス様が生きているべきなんだ
だから、僕はアイリス様を殺さない
代わりに僕が…必要とされない僕がこの世界からいなくなればいいよね………?
お兄ちゃんには怒られるかもしれないけど、もう…それしか無いよ
「……ごめんなさい、アイリス様。僕としたことが取り乱すなんて」
「一人で思い悩むようなことはしないで、私が力になるから」
「あぁ、ありがとう、大丈夫。」
ーーーーーーーーーー
まずい、シードの姿が弟と重なる
今の彼女は行方をくらます前のミリーと同じ目をしていた
同じような笑い方に同じようなかわし方
一人で抱え込んで、一人で行動しようとしている
本当は今すぐにでも助けたいけど、ここで彼女の目的を知ってると明かせば余計に危険になりかねない
全ての危険性は用心しないと
もし城内に仲間が既に潜入していれば、暗殺が失敗した時点で彼女は殺される
まだ安全を確保できるまでは私も動けない
でも……まずいことを言ったか?
確かにあの呪いは厄介なものだった
普通に生きていれば知ることのない苦痛
もし、彼女がその話しを聞いて私に情でも湧いたら困る
彼女が私の暗殺を諦めるということは、最悪処分される覚悟を持ってしまうこと
……やむを得ない
彼女を助ける手段を見つけるまでは、彼女に嫌われる努力をしないと
でも、嫌われるってどうすればいい?
酷いことをしないで嫌われるって、難しくない?
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