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復讐の旅、開始!
46.最後の神器の返却
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何かがパチパチと燃える音がする。それから何か……良い匂い。甘いのにスッキリする落ち着く匂いだ。
「んっ…………ん??」
目を覚ますと、ちょうど目線の先にある暖炉に火が付いていた。お陰でだいぶ暖かい。
……けど、そうだ、ヒイラギは?これってヒイラギがしてくれたのか?
体を起こして、タオルを被ったまま部屋を見渡してみた。すると、部屋の中でも暖炉から一番遠い隅っこで棒立ちしているヒイラギがいた。
「ヒイラギ?えっと…おはよう」
「あぁ、起きたか」
「暖炉、ヒイラギが付けてくれたのか?」
「…………」
暖炉の話題を出すとヒイラギは一瞬肩をビクッとさせて向こうを向いた。え、ヒイラギがやってくれた訳じゃ無いのか?
「……火は、苦手だがな」
「へ?もしかして、火が苦手なのに無理して付けてくれたのか?」
「仕方あるまい。主が倒れるよりはまだ良いからな」
そういえば、人肌以上の温かい物は火傷もあり得るって……とんでもない無茶をしたな!?いやまぁそれで俺は助かってるんだけどな!?
これは…感謝するべきか、怒るべきか………。テーブルに置いてあるマッチで火をつけたんだろうけど、これを暖炉に放り込んだからって燃え続ける訳も無いだろうに。
ベッドから降りて暖炉を覗くと、まだ入れたばかりであろう綺麗な木の板がゆっくりと燃えていた。薪を追加しないと火は燃え続けない。けど暖炉周辺は人肌なんてものじゃない温度だ。
暖炉から一番遠いところにいるヒイラギの冷たい手首を掴んで腕を上げさせた。
やっぱり…指先から肘に掛けて真っ赤になってる。日焼けしたばかりで赤く炎症が起きてるみたいな腕だ。暖炉に近づき過ぎたからだろう。
「ヒイラギ……、暖炉は正直助かるけど、随分と無茶をしたな」
「あぁ、すまぬ。だがこの程度………」
「火傷しておいてこの程度なんて言うな。お前が無茶をしなくても、俺を起こして自分でやらせればよかっただろ?」
日焼けは火傷だからな!
ヒイラギの事だからちゃんと自衛はして長時間側にいることはしなかっただろうけど、でも近付かないと薪を追加したり火を付けたりは出来ないはずだ。その一瞬でこの火傷か。
優しすぎるというか、危なっかしいというか。でも俺は温めてもらった立場だから強く怒れない。ヒイラギの善意を受け取っておきながら怒るなんて理不尽に思われそうだ。
それにしても…なんだか体に力が入らない。疲れてるとかそういう事じゃなくて、やけに浮くような眠気が襲うというか、強制的にリラックスさせられてるようだ。
あ、マズい。倒れそう。
「っ………」
「おっと、あまり動くで無い。まだ香木の効果は残っておるぞ」
香木の効果?って、この匂いのことか?どうりでやけに体が休まる訳だ。リラックスアロマを嗅ぎながら温かい部屋で毛布被ってりゃあ眠くもなるな。
だとしても、倒れかけるのは流石に強過ぎないか?ヒイラギが支えてくれなかったら頭から倒れそうだったぞ。
ふらふらになりながら俺はベッドに戻り、端に座った。ヒイラギも付いて来ようとはするものの、やっぱり暖炉にこれ以上近付くのは危なそうだ。
「さて、神器の返却を行う。何か不調が感じられたらすぐに言いなさい」
「分かった。……ヒイラギ、暖炉の近くに来るのは危ないだろ。せめてタオル被って火傷しないようにしたらどうだ?」
ヒイラギにタオルを渡すと、とりあえず受け取ってちゃんと肩にかけてくれた。これで熱気が直接肌に当たらないから多少はマシになるだろう。
「すまぬ。神器の返却が済んだら速やかにこれも主に戻そう」
「あぁ、分かった」
「それでは始めるぞ」
ヒイラギの掛け声と共に、神器が目の前に出現した。
最後の神器は『望月の御杖』。名前の通り満月を模した球体が杖の一番上に浮かんでいる。杖の下の方、先の方は鋭利で槍のように突き刺すことすらできそうだ。そして杖の中心部分には幅の広いグリップテープのようなものが巻かれている。
ヒイラギがその杖を持ち、ベッドに座る俺に手渡した。持ち手はやけにヒンヤリしていて、暖炉の近くにいても手が凍てつきそうだ。
さっさと神器を俺の中にしまうが………何とも無いな。
あれ、結構簡単に終わったな。特に体調に変化も無いし、力を取り戻した感じもしな………ッ!?
な、んだ…これ………。っ身体が、焼ける………!?
「……った、い……、痛い、熱い!」
全身の皮膚が爛れるみたいに痛くて痺れる。ベッドに座ってたから倒れても怪我はしなかったみたいだけど、何もしてなくても全身が痛い!
指先、足先から感覚が消えて行く。マズいな、このままだと気を失いそうだ……!
「宵の君!?熱いのか?待て、すぐに我が冷やし……ッ!そんな…我より冷たいなど…………」
俺の頬を撫でたヒイラギは、俺の体の冷たさに驚いていた。そういう事か、熱いんじゃなくて寒過ぎるのか……。
このままだと凍死でもするんじゃ無いか?ってくらい、冗談抜きでマズいかも。熱さと寒さって似てるもんな。そりゃあ直ぐには気付けない。低温火傷ってのがあるくらいだし、間違えもするか。
俺の低体温に気付いたヒイラギは、すぐに俺にタオルを被せて暖炉前の椅子まで横抱きで運んだ。そんなことしたらヒイラギの肌が火傷するのに……。
あぁ、でも、助かるな。体の末端の感覚が戻る代わりに痺れを感じるけど、確かに少しずつ回復してる。それでも寒いのは異常だけどな。
「…ありがとう、ヒイラギ。火傷は大丈夫なのか?」
ダメだ、まだ歯がガチガチ言ってる。火の目の前にいてこれか、なかなか大変だな。
「我の心配より己の心配をしたらどうなのだ?」
「ははっ、こればっかは言い返せねぇかも……。じゃあ、少しここで休むことにしよう。迷惑掛けて悪いな」
「………」
何か言いたそうに俯くヒイラギ。でもダメだ、それを聞く力も無い。
俺は体の感覚が戻るまで微睡むことにした。けど、暖炉から発せられる香りのせいか冷えた身体のせいか、俺はすぐに眠ってしまったようだ。
「んっ…………ん??」
目を覚ますと、ちょうど目線の先にある暖炉に火が付いていた。お陰でだいぶ暖かい。
……けど、そうだ、ヒイラギは?これってヒイラギがしてくれたのか?
体を起こして、タオルを被ったまま部屋を見渡してみた。すると、部屋の中でも暖炉から一番遠い隅っこで棒立ちしているヒイラギがいた。
「ヒイラギ?えっと…おはよう」
「あぁ、起きたか」
「暖炉、ヒイラギが付けてくれたのか?」
「…………」
暖炉の話題を出すとヒイラギは一瞬肩をビクッとさせて向こうを向いた。え、ヒイラギがやってくれた訳じゃ無いのか?
「……火は、苦手だがな」
「へ?もしかして、火が苦手なのに無理して付けてくれたのか?」
「仕方あるまい。主が倒れるよりはまだ良いからな」
そういえば、人肌以上の温かい物は火傷もあり得るって……とんでもない無茶をしたな!?いやまぁそれで俺は助かってるんだけどな!?
これは…感謝するべきか、怒るべきか………。テーブルに置いてあるマッチで火をつけたんだろうけど、これを暖炉に放り込んだからって燃え続ける訳も無いだろうに。
ベッドから降りて暖炉を覗くと、まだ入れたばかりであろう綺麗な木の板がゆっくりと燃えていた。薪を追加しないと火は燃え続けない。けど暖炉周辺は人肌なんてものじゃない温度だ。
暖炉から一番遠いところにいるヒイラギの冷たい手首を掴んで腕を上げさせた。
やっぱり…指先から肘に掛けて真っ赤になってる。日焼けしたばかりで赤く炎症が起きてるみたいな腕だ。暖炉に近づき過ぎたからだろう。
「ヒイラギ……、暖炉は正直助かるけど、随分と無茶をしたな」
「あぁ、すまぬ。だがこの程度………」
「火傷しておいてこの程度なんて言うな。お前が無茶をしなくても、俺を起こして自分でやらせればよかっただろ?」
日焼けは火傷だからな!
ヒイラギの事だからちゃんと自衛はして長時間側にいることはしなかっただろうけど、でも近付かないと薪を追加したり火を付けたりは出来ないはずだ。その一瞬でこの火傷か。
優しすぎるというか、危なっかしいというか。でも俺は温めてもらった立場だから強く怒れない。ヒイラギの善意を受け取っておきながら怒るなんて理不尽に思われそうだ。
それにしても…なんだか体に力が入らない。疲れてるとかそういう事じゃなくて、やけに浮くような眠気が襲うというか、強制的にリラックスさせられてるようだ。
あ、マズい。倒れそう。
「っ………」
「おっと、あまり動くで無い。まだ香木の効果は残っておるぞ」
香木の効果?って、この匂いのことか?どうりでやけに体が休まる訳だ。リラックスアロマを嗅ぎながら温かい部屋で毛布被ってりゃあ眠くもなるな。
だとしても、倒れかけるのは流石に強過ぎないか?ヒイラギが支えてくれなかったら頭から倒れそうだったぞ。
ふらふらになりながら俺はベッドに戻り、端に座った。ヒイラギも付いて来ようとはするものの、やっぱり暖炉にこれ以上近付くのは危なそうだ。
「さて、神器の返却を行う。何か不調が感じられたらすぐに言いなさい」
「分かった。……ヒイラギ、暖炉の近くに来るのは危ないだろ。せめてタオル被って火傷しないようにしたらどうだ?」
ヒイラギにタオルを渡すと、とりあえず受け取ってちゃんと肩にかけてくれた。これで熱気が直接肌に当たらないから多少はマシになるだろう。
「すまぬ。神器の返却が済んだら速やかにこれも主に戻そう」
「あぁ、分かった」
「それでは始めるぞ」
ヒイラギの掛け声と共に、神器が目の前に出現した。
最後の神器は『望月の御杖』。名前の通り満月を模した球体が杖の一番上に浮かんでいる。杖の下の方、先の方は鋭利で槍のように突き刺すことすらできそうだ。そして杖の中心部分には幅の広いグリップテープのようなものが巻かれている。
ヒイラギがその杖を持ち、ベッドに座る俺に手渡した。持ち手はやけにヒンヤリしていて、暖炉の近くにいても手が凍てつきそうだ。
さっさと神器を俺の中にしまうが………何とも無いな。
あれ、結構簡単に終わったな。特に体調に変化も無いし、力を取り戻した感じもしな………ッ!?
な、んだ…これ………。っ身体が、焼ける………!?
「……った、い……、痛い、熱い!」
全身の皮膚が爛れるみたいに痛くて痺れる。ベッドに座ってたから倒れても怪我はしなかったみたいだけど、何もしてなくても全身が痛い!
指先、足先から感覚が消えて行く。マズいな、このままだと気を失いそうだ……!
「宵の君!?熱いのか?待て、すぐに我が冷やし……ッ!そんな…我より冷たいなど…………」
俺の頬を撫でたヒイラギは、俺の体の冷たさに驚いていた。そういう事か、熱いんじゃなくて寒過ぎるのか……。
このままだと凍死でもするんじゃ無いか?ってくらい、冗談抜きでマズいかも。熱さと寒さって似てるもんな。そりゃあ直ぐには気付けない。低温火傷ってのがあるくらいだし、間違えもするか。
俺の低体温に気付いたヒイラギは、すぐに俺にタオルを被せて暖炉前の椅子まで横抱きで運んだ。そんなことしたらヒイラギの肌が火傷するのに……。
あぁ、でも、助かるな。体の末端の感覚が戻る代わりに痺れを感じるけど、確かに少しずつ回復してる。それでも寒いのは異常だけどな。
「…ありがとう、ヒイラギ。火傷は大丈夫なのか?」
ダメだ、まだ歯がガチガチ言ってる。火の目の前にいてこれか、なかなか大変だな。
「我の心配より己の心配をしたらどうなのだ?」
「ははっ、こればっかは言い返せねぇかも……。じゃあ、少しここで休むことにしよう。迷惑掛けて悪いな」
「………」
何か言いたそうに俯くヒイラギ。でもダメだ、それを聞く力も無い。
俺は体の感覚が戻るまで微睡むことにした。けど、暖炉から発せられる香りのせいか冷えた身体のせいか、俺はすぐに眠ってしまったようだ。
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