召喚され救世主じゃないと言われたが、復讐の旅でなぜか身体を狙われている

輝石玲

文字の大きさ
71 / 108
いよいよ本格的な復讐へ

71.慣れないアフターケア

しおりを挟む
 目が覚めると…とんでもない状態だった。俺も横で眠るグルーも全裸で、服も体もベッドもドロドロ…カピカピ。汗と精の臭いが酷いし、俺の体をよく見ると拘束の痕がくっきり残ってる。

 いつもならグルーが率先して後始末をしてくれるが、まぁ横で倒れてるのを見るにそんな力も気力も残っていなかったんだろうな。
 いつ眠ったか、いつ終わったか全く覚えてないけど、かなりの長期戦だったことは確かだ。グルーも元の姿に戻ってるから目的は果たせたようだしそれはいい。


 問題は諸々の後始末………。


 俺は自力でシャワーを浴びる事はできる。ただ着替えが無い。グルーはよく眠ってるし起こしたく無い。シーツを交換するにもグルーを移動させないとだろう。


 ………今まで俺がして貰ってたし、今度は俺が頑張るか。




 とりあえず先にシャワーを浴びて掻き出し、拘束の痕も全て消した。ちょっと名残惜しいけどな。
 そしてグルーのクローゼットにあったシャツを借りて着た。サイズが合わないからズボンは履けないけどな。下着も無いし。バスローブもあったけど袖を捲りやすいシャツの方が動きやすい。

 シャワーを浴びた後はグルーの体を拭いた。途中で起きるかと思ったけどそんな素振りは一切無く、バスローブを着せてもまだ眠っている。
 なんとかグルーをソファーに寝かせ、今度はベッドのシーツを交換した。キングサイズのベッドのシーツを換えるのってこんな大変なのか…。バサってやって角を合わせれば終わりじゃないから大きい寝具は大変だ。

 なんとか綺麗にシーツを敷いてグルーをもう一度ベッドに移した。




 そういえば洗濯ってどうすればいいんだ?ランドリールームも無いし、そもそもこの世界の洗濯がどんな方法なのか知らない。たぶん手洗いなんだろうけど……。
 そもそもこの世界に来てから洗濯をする機会が旅の道中くらいで、その時は野宿だったから必然的に川で洗濯をしていた。

 一般の洗濯……桶で洗剤を使うんだろうか。ベラの実はスライムみたいになるから排水口が詰まりそうだ。だが洗剤がどこにあるのかも分からない。探してもパッケージに文字が書かれてないことがよくあるから見つからない。
 …とりあえず、お湯で流すだけ流すか。



 風呂場で桶にお湯を溜めて服とシーツを洗った。見た目は落ちたように見えるけど、やっぱり臭いは染み付いて落ちない。結構臭うからな……困った。
 擦るだけ無駄かと思って桶から湯を捨て、俺が魔法で出した水を使って洗濯機みたいに洗濯物を回した。なんか意味あるかなとか思ったけど、消臭って洗い方じゃなくて洗剤の問題だろうし……意味無いよな。

 諦めて部屋のプランターに実ってたベラの実を使って臭いを消した。さっきと同じように洗濯機みたいに水の中で回してみると、気付けばベラの滑りはどこかに消えていた。なんで?
 一度洗濯物を水で洗い流し、物干し竿に干してからもう一度ベラの実を取った。今度は水を含ませてから手の上でひたすら弄ってみると、スライムの一部の粘りが減って水っぽくなっていることに気付いた。
 もしかして、刺激を受けると水っぽくなるのか?気付かなかった……



 手に取ったベラを全て解かしてから部屋に戻ったが、グルーはまだ静かに眠っている。

 寝息も聞こえないから不安になって確認してみたけど、息はある。本当に深く眠ってるみたいだ。
 グルーに水をあげようとしたけど水差しの水は全て無くなっていた。代わりに俺が魔法で水をコップに注ぐ。魔力過多になっていたグルーに害の無いよう魔力だけ俺の方で回収して、口移しでグルーに水を飲ませた。



 ……なかなか起きないな。顔色が悪いわけじゃ無いけど、体を拭いて二度も移動させて水を飲ませても起きないのはちょっと怖いな。

「……グルー、大丈夫か?」

 声を掛けても返事は返ってこない。眠ったままの人が起きるのを待つってこんな気持ちなんだな。
 俺は何度か気を失ったり眠ったままなかなか起きないなんて事もあったけど、思ってた以上に不安に感じる。それは俺だけ?



 コンコン

「誰?」
「あーオレ、今入っても大丈夫か?」
「あぁ」

 誰か来たと思ったらヴィンスか。そういえば昼は食べるって言ってたのに昼どころか日が変わってるな。

「昨日はノックしても反応が無かったが…もう大丈夫なのか?」
「とりあえずな。まだ当人が寝てるからこれで終わりなのかすら分からないけど」
「そうだな…。とりあえずお前の着替えを持ってくるな。その格好じゃ部屋出れねぇだろうし」
「ありがとう」

 それだけ言ってヴィンスは部屋を後にした。とは言えすぐにまた来るようだけど。



 ベッドの隅に座ってため息を吐くと、急に背後から頭を撫でられた。

「わっ!?」
「ふふっ、そこまで驚きますか?」

 グルー、いつの間に………!
 いつものように…いや、それ以上に柔らかく微笑むグルーはいつの間にか体を起こしていた。なんの音もせずに起きるものだから気が付かなかったな…。
 乱れた髪と柔らかい笑顔。いつもは妖艶で大人なグルーが愛くるしく見える。

「やっと起きたんだな。俺が何しても起きなかったのに…」
「貴方以外の気配を感じれば起きますよ」

 そうなのか?じゃあ洞窟にいた時とか旅の道中とかよく眠れてなかったんじゃ…。

「ところで『俺が何しても起きなかったのに』とは…眠っている私に一体何をしたのでしょうか?」

 そうイタズラっぽく笑うグルー。別にこれといって特別な事はしてないぞ?寝込みを襲う趣味も無いからな。
 それにしてもグルーの『俺』は貴重だな。ギャップを感じて心臓が一瞬ギュンってなった。

「体を拭いて移動させて水を飲ませただけだ」
「あぁ…そう言えば後始末が………。すみません、貴方に甘えっぱなしになってしまって」
「いいって、いつもはグルーが後始末してくれるだろ?それより体調はどうだ?」
「もう大丈夫です。ご心配おかけして申し訳ありません」

 うん、顔色も良くなってるし本当に大丈夫そうだな。良くなるどころか、どこか雰囲気も変わったように感じる。どこか清々しいというか、爽やかになったというか。



 体も難なく動くようで、グルーは先に着替えた。

「あっ!ヤト、その…怪我をさせてしまった記憶があるのですが………」
「あー、目が覚めたら拘束の痕だらけだったな」
「本当に申し訳ありません………」

 そんなに落ち込むことか?別に驚きはしたけど気にして無いって。

 ヴィンスの発情期の時も思ったけど、俺はどうやら道具のように使われて興奮するらしい。恋人の普段隠してる欲をぶつけられると俺も気持ちいいんだよな。

 だから、出来ればまた今回みたいに………

 やっぱり言わないでおこう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新! Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新! プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。 そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。 ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。 そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

メインキャラ達の様子がおかしい件について

白鳩 唯斗
BL
 前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生した。  サポートキャラとして、攻略対象キャラたちと過ごしていたフィンレーだが・・・・・・。  どうも攻略対象キャラ達の様子がおかしい。  ヒロインが登場しても、興味を示されないのだ。  世界を救うためにも、僕としては皆さん仲良くされて欲しいのですが・・・。  どうして僕の周りにメインキャラ達が集まるんですかっ!!  主人公が老若男女問わず好かれる話です。  登場キャラは全員闇を抱えています。  精神的に重めの描写、残酷な描写などがあります。  BL作品ですが、舞台が乙女ゲームなので、女性キャラも登場します。  恋愛というよりも、執着や依存といった重めの感情を主人公が向けられる作品となっております。

キュートなモブ令息に転生したボク。可愛さと前世の知識で悪役令息なお義兄さまを守りますっ!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中
BL
これは、あざと可愛い悪役令息の義弟VS.あざと主人公のおはなし。 ボクの名前は、クリストファー。 突然だけど、ボクには前世の記憶がある。 ジルベスターお義兄さまと初めて会ったとき、そのご尊顔を見て 「あああ!《《この人》》、知ってるう!悪役令息っ!」 と思い出したのだ。 あ、この人ゲームの悪役じゃん、って。 そう、俺が今いるこの世界は、ゲームの中の世界だったの! そして、ボクは悪役令息ジルベスターの義弟に転生していたのだ! しかも、モブ。 繰り返します。ボクはモブ!!「完全なるモブ」なのだ! ゲームの中のボクには、モブすぎて名前もキャラデザもなかった。 どおりで今まで毎日自分の顔をみてもなんにも思い出さなかったわけだ! ちなみに、ジルベスターお義兄さまは悪役ながら非常に人気があった。 その理由の第一は、ビジュアル! 夜空に輝く月みたいにキラキラした銀髪。夜の闇を思わせる深い紺碧の瞳。 涼やかに切れ上がった眦はサイコーにクール!! イケメンではなく美形!ビューティフル!ワンダフォー! ありとあらゆる美辞麗句を並び立てたくなるくらいに美しい姿かたちなのだ! 当然ながらボクもそのビジュアルにノックアウトされた。 ネップリももちろんコンプリートしたし、アクスタももちろん手に入れた! そんなボクの推しジルベスターは、その無表情のせいで「人を馬鹿にしている」「心がない」「冷酷」といわれ、悪役令息と呼ばれていた。 でもボクにはわかっていた。全部誤解なんだって。 ジルベスターは優しい人なんだって。 あの無表情の下には確かに温かなものが隠れてるはずなの! なのに誰もそれを理解しようとしなかった。 そして最後に断罪されてしまうのだ!あのピンク頭に惑わされたあんぽんたんたちのせいで!! ジルベスターが断罪されたときには悔し涙にぬれた。 なんとかジルベスターを救おうとすべてのルートを試し、ゲームをやり込みまくった。 でも何をしてもジルベスターは断罪された。 ボクはこの世界で大声で叫ぶ。 ボクのお義兄様はカッコよくて優しい最高のお義兄様なんだからっ! ゲームの世界ならいざしらず、このボクがついてるからには断罪なんてさせないっ! 最高に可愛いハイスぺモブ令息に転生したボクは、可愛さと前世の知識を武器にお義兄さまを守りますっ! ⭐︎⭐︎⭐︎ ご拝読頂きありがとうございます! コメント、エール、いいねお待ちしております♡ 「もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!」書籍発売中! 連載続いておりますので、そちらもぜひ♡

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。 ----------------------------------------- 0時,6時,12時,18時に2話ずつ更新

悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!

梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!? 【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】 ▼不定期連載となりました。 ▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。 ▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。

悪役令息の兄って需要ありますか?

焦げたせんべい
BL
今をときめく悪役による逆転劇、ザマァやらエトセトラ。 その悪役に歳の離れた兄がいても、気が強くなければ豆電球すら光らない。 これは物語の終盤にチラッと出てくる、折衷案を出す兄の話である。

処理中です...