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10話
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身体中が灼熱を帯びたように熱くなり、唇だけでは到底飽き足らずに、目の前の男にすべてを奪われたくて堪らなくなってくる。
僅かにでも気を緩めれば、強引に組み敷かれて、めちゃくちゃに乱されてみたいなどと、淫猥極まりない妄想までもが脳裏を侵すようなのだ。
野生の獣のような強くて大きいこの男になら抱かれてみるのも悪くないだろうか、形のいいその手の中で握り潰されてしまいたい。彼の凶暴な雄で、昇天させられるくらいに掻き回されてみたい。ほんの見せかけだけの抵抗を封じ込められ、求められたい、犯されたい。
激しく欲情した彼に組み敷かれて悦ぶ自身の姿が脳裏を過ぎったと同時に、冰はそれらを振り払うように本気の蹴りを彼の脇腹目掛けて繰り出していた。
「……ッざけてんじゃねえぞ、てめえ!」
「――痛っ、本気で蹴るヤツがあるか」
「て、てめえが急におかしなことすっからだろが! これ以上ナメたことしやがったら……マジでぶちのめすかんな……!」
そう怒鳴り上げ、まくし立てた。が、氷川は左程焦った様子もなく、未だ真顔で視線を外してはくれない。
「――何、焦ってんだ」
「は!? 誰が焦ってなんか……!」
「言ってることとやってることが逆だっつってんだ」
「はあ!?」
「まあいい。じゃあ正直に言う。お前に触れたい――」
「……! 何、急……に……」
「分かんねえよ、俺にも。ただ――お前を見てたら訳もなく興奮して抑えがきかなくなっただけだ。キスしてみたい、脱がしてみたい、お前と――してみたいってな」
また再び、大きな掌が包み込むように頬を撫で――
「ちょ……待ッ……!」
「お前は嫌か?」
「……へ?」
「俺が嫌いかと訊いたんだ。俺とどうこうなるのは……本気で嫌か?」
ここで『はい、その通りです、嫌です』と頷けば、止めてくれるとでもいうのだろうか。見つめてくる瞳が僅かながら切なげに細められているようにも思えて、冰はチクりと心臓の真ん中が痛むような気がしていた。
「べ……つに、嫌とか……嫌じゃねえとか、そーゆーんじゃなくてだな……」
「じゃあ、いいんだな?」
「や、その……」
いいとは言っていない。
だが、確かに『嫌だ』と口にしてしまうのも躊躇われて、そんな心の揺れが伝わったとでもいうのだろうか――クイと顎先を掴まれ、再びおずおずと探るように唇を重ねられて、瞬時に熱を持った頬を悟られんと冰は視線を泳がせた。
触れるだけのキスの合間、顔を左右に交互させながら視界に入りきらないくらいの位置ででも、じっと見つめられているのを感じる。その視線は熱く蕩けてもいるようで、と同時に激しい欲を秘めてもいるようだった。次第に深く押し包まれるように唇全体をなぞられ、舌を押し込まれて奪われるように口付けられる。
「……あ、ふ……」
(くそ――ッ、こ……んなの……)
ああ、ダメだ。抗えない――
僅かにでも気を緩めれば、強引に組み敷かれて、めちゃくちゃに乱されてみたいなどと、淫猥極まりない妄想までもが脳裏を侵すようなのだ。
野生の獣のような強くて大きいこの男になら抱かれてみるのも悪くないだろうか、形のいいその手の中で握り潰されてしまいたい。彼の凶暴な雄で、昇天させられるくらいに掻き回されてみたい。ほんの見せかけだけの抵抗を封じ込められ、求められたい、犯されたい。
激しく欲情した彼に組み敷かれて悦ぶ自身の姿が脳裏を過ぎったと同時に、冰はそれらを振り払うように本気の蹴りを彼の脇腹目掛けて繰り出していた。
「……ッざけてんじゃねえぞ、てめえ!」
「――痛っ、本気で蹴るヤツがあるか」
「て、てめえが急におかしなことすっからだろが! これ以上ナメたことしやがったら……マジでぶちのめすかんな……!」
そう怒鳴り上げ、まくし立てた。が、氷川は左程焦った様子もなく、未だ真顔で視線を外してはくれない。
「――何、焦ってんだ」
「は!? 誰が焦ってなんか……!」
「言ってることとやってることが逆だっつってんだ」
「はあ!?」
「まあいい。じゃあ正直に言う。お前に触れたい――」
「……! 何、急……に……」
「分かんねえよ、俺にも。ただ――お前を見てたら訳もなく興奮して抑えがきかなくなっただけだ。キスしてみたい、脱がしてみたい、お前と――してみたいってな」
また再び、大きな掌が包み込むように頬を撫で――
「ちょ……待ッ……!」
「お前は嫌か?」
「……へ?」
「俺が嫌いかと訊いたんだ。俺とどうこうなるのは……本気で嫌か?」
ここで『はい、その通りです、嫌です』と頷けば、止めてくれるとでもいうのだろうか。見つめてくる瞳が僅かながら切なげに細められているようにも思えて、冰はチクりと心臓の真ん中が痛むような気がしていた。
「べ……つに、嫌とか……嫌じゃねえとか、そーゆーんじゃなくてだな……」
「じゃあ、いいんだな?」
「や、その……」
いいとは言っていない。
だが、確かに『嫌だ』と口にしてしまうのも躊躇われて、そんな心の揺れが伝わったとでもいうのだろうか――クイと顎先を掴まれ、再びおずおずと探るように唇を重ねられて、瞬時に熱を持った頬を悟られんと冰は視線を泳がせた。
触れるだけのキスの合間、顔を左右に交互させながら視界に入りきらないくらいの位置ででも、じっと見つめられているのを感じる。その視線は熱く蕩けてもいるようで、と同時に激しい欲を秘めてもいるようだった。次第に深く押し包まれるように唇全体をなぞられ、舌を押し込まれて奪われるように口付けられる。
「……あ、ふ……」
(くそ――ッ、こ……んなの……)
ああ、ダメだ。抗えない――
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