極道恋事情

一園木蓮

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告げられないほどに深い愛(極道若頭編)

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 怪我を負った橘という組員の手当てが済んだちょうどその時、若頭である鐘崎が道場へと到着した。
「すまない、遅くなった! 橘の具合はどうだ」
「若! お疲れ様です! 先生方のお陰で兄貴は無事です」」
 若い衆らがビシッと腰を九十度に曲げて出迎える中、飛燕に気付いた鐘崎は丁寧に頭を下げた。
「遅くに手間掛けまして申し訳ありません」
「いや、構わん。お前さんも大変だったな。で、ガキ連中に薬を流した奴らの方はどうした」
「ええ、お陰様で売人を押さえて、あそこら界隈のシマを仕切ってる組の上層部に引き渡してきました。組では薬と拳銃はご法度としてるんで、後の始末は彼らがどうとでもするでしょう」
「そうか。ご苦労だったな」
 飛燕は労うと、
「それはそうと僚一の方はどうした。ヤツはまた海外か?」
 そう訊いた。
「ええ。今は香港です。年内には戻る予定だそうですが」
「香港というと例の周一族のところか?」
「そのようです。周家の頭領の隼氏の依頼で、ここひと月ほど向こうに行ったきりなんですよ」
「相変わらずだな。周といえば、お前さんとウチの坊主の同級生だという次男坊が日本で起業しているんだったな?」
「ええ。周焔こと氷川白夜です。ヤツとはしょっちゅう顔を合わせてますよ」
「そうか。彼がこっちに留学していた高校時代にはウチの道場にも顔を出してくれたことがあったが、さすが周隼の息子だ。あの頃からやたら貫禄のある男だったが……。今じゃ一企業を背負ってファミリーの資金面でえらく貢献してるそうじゃないか。大した男だ」
「そうですね」
 そんな話をしていると、処置を終えた綾乃木と紫月が二人の元へとやってきた。
「処置は済みました。傷の方も思ったより大事なかったですし、もう心配はいりません。しばらくはこちらに入院していただいて様子を見ましょう」
「綾乃木さん、ありがとうございます。恩にきます」
 鐘崎はそう言って頭を下げると、側にいた紫月にも「お前にも世話を掛けてすまない」といった意味なのか、視線だけで軽く目配せをした。
 時計を見れば、既に早朝という時間帯だ。今は冬の最中なのでまだ暗いが、夏場ならすっかり陽が昇っていることだろう。若い衆らはそのまま引き上げていき、鐘崎は幼馴染である紫月の部屋へと立ち寄ってから帰ることとなった。
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