極道恋事情

一園木蓮

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極道の姐

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 一方、向かいの部屋では鐘崎と紫月もまた熱い睦の時を過ごしていた。
 鐘崎が盛られた薬は何とか抜け切ったものの、二人共に放心寸前というくらい疲弊しまくって、特に紫月の方は指一本動かすのも儘ならないといったほどのノックダウン状態だ。
「んあー、もうーダメ……俺、一生分の性欲使い果たした感じ」
 大の字にひっくり返ってキングサイズを上回るベッドを占領する。鐘崎の方は今にも床へと落ちそうなくらい端っこに追いやられながら、薬が抜けたこともあってか、すっきりとした顔つきでいた。
「情けねえことを抜かすな。……とは言え、さすがに俺も今は空っぽって感じだがな。まあ二日もあれば満タンに回復するだろう」
 期待していいぞというように悪戯な笑みを浮かべてみせる。そんな様子に、紫月は呆れ返ったように白目を剥いてしまった。
「……ッ、って、おいおい……てめえは化けモンかよ。こんだけヤリまくってまだ回復とか……信じらんね。俺りゃー、正直一ヶ月くれえはヤんなくてもいーかなって感じ」
「おいおい、それこそ冗談じゃねえぜ。てめえこそどんだけ体力ねえんだ。一ヶ月もお預けなんて、お前は俺を修行僧にでもする気か!」
「あ……はは! いいじゃん、まさに極道!」
「バカこいてんじゃねえ……! 極道は極道でもそっちじゃねえだろが」
 半ば本気で焦り口調の亭主を横目に、紫月は苦虫を噛み潰したように片眉をしかめさせられてしまった。
「遼、お前ってやっぱライオンだよ。つか、水飲みてえー! 喉カラカラ……」
 だが、とうに冷蔵庫まで取りに行く体力はない。そんな様子にクスッと笑むと、鐘崎は身軽な動作で愛しき伴侶の所望するドリンクを取りに向かった。
「どうぞ、我が姫。冷たいミネラルウォーターでございます」
「んー、ご苦労。ついでに飲ましてくんねえ?」
「かしこまりました、姫!」
 言うと同時に自らの口に含んで唇を重ね合わせる。
「ッは……! 遼、てめ……ッ、誰が口移ししろっつったよー!」
 あわよくばそのまま深い口づけのオマケ付きという感じで水を飲まされて、紫月はまたもや白目を剥いてしまった。
「遼ー、今はなぁ、チュウよか水! 水くれ! 水ぅー!」
「だからこうして飲ましてやってんじゃねえか。遠慮せずに、ほら気の済むまで飲め」
「や、気の済むまでチュウしてんのはお前だろって。のわー、マジで絶倫猛獣……」
 憎まれ口を叩きながらもその表情には笑みが浮かんでいる。何だかんだと言えども、結局はこうして受け入れてくれる紫月の大らかさが、鐘崎は心底愛しいと思うのだった。そんな気持ちのまま、まるで甘えるかのように大の字になっている胸元に顔を埋める。
「仕方ねえだろ……好きで好きで堪んねんだから」
 鐘崎のこんな姿は、例え父親の僚一ですら目にしたことはないだろう。この世で唯一、紫月だけに見せる男の甘えなのだ。紫月もそれを分かっているから、どんなことでも受け止められるのだ。
 気だるい腕を持ち上げてガタイの大きな男の髪を漉き、胸の中で少年のように甘える亭主を抱き締める。
「……ったくよぉ、でっけえライオンのくせして、ンな可愛いことしてくれちゃって。マジしょーもねー旦那なんだから」
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