極道恋事情

一園木蓮

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チェインジング・ダーリン

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「これを送ってきた相手に心当たりがお有りですか?」
「ええ、まあ……」
「――!? あるんですか?」
 ということは敵を突き止める手間は省けるか――。
「おそらくですが……今回の新店舗開店に向けて鉱石を仕入れる先の候補に上がっていた企業ではないかと。先様は是非我が社と手を組みたいとおっしゃってくださったんです。価格的には他社と比べものにならないくらいの好条件を提示されていて、最終段階まで迷ったんですが……。品質の面で納得がいかず結局はお断りすることになってしまいました」
「それを恨んでの犯行だと?」
「お断りする際にひどく憤慨なされまして……。上層部から聞いた話では取り引きを断ったことを後悔させてやると言われたそうです。そんなこともあって、ウチも警戒してはいたのですが……まさか開店直前の今日になってこのような脅迫状がくるとは……」
「届いた内容はこれだけでしょうか? 警察には届けられたのですか?」
「いえ、ファックスが来たのが本当につい先程でして。とりあえず社長には報告して、役員たちが今こちらに向かっています。警察にはその後でとのことでしたので。それで……今日は鐘崎様がお見えになると知っていたので、ご到着をお待ちしようとロビーに向かったところでお目に掛かれたというわけです」
 なるほど、それであの慌てようだったということか。
 まず――取引を断られた時点で既に報復を目論んでいたのなら、相手はそれ相応に準備も体制も整えていると思っていいだろう。気になるのは文面にある”血で染めて祝ってやる”という箇所だ。経済的に打撃を与えるというよりも対人間で血生臭い報復に出るつもりなのかも知れない。内覧会で人質をとられたり怪我人が出たりすれば、この宝飾店の評判は地に落ちるだろう。思ったよりも大事になる可能性が高い。鐘崎はテロ的な事態も視野に入れて迅速且つ慎重に対処する必要があると心得た。
「ご事情は分かりました。本来であれば社長さんの到着を待つべきでしょうが、あまり猶予はないように思えます。とにかくできるだけの情報が欲しい。念の為、内覧会の会場を調べさせてください」
 万が一にもテロリストのような連中が入り込んでいないとも限らないし、悪くすれば爆発物のような物が仕掛けられている可能性も高い。鐘崎は会場へと向かいながら、組で留守番をしている源次郎へと応援の要請を入れた。



◇    ◇    ◇


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