極道恋事情

一園木蓮

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チェインジング・ダーリン

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 呼び止められたスタッフは他の客とは違って冷静な感じの周に安堵を感じたのか、すぐさま手にしていたリストを広げて確認してくれた。
「既に会場へご案内したお客様は三十名様ほどと思われます。あとは持ち場についていた当店のスタッフが十名くらいと……お客様に飲食を提供するケータリングのサーバーさんも十名はいたはずですので、多くても四、五十名かと……」
「分かった。電気室は地下か?」
「はい、そうです……! あの……あなたは……警察関係の方でいらっしゃいますか?」
 動揺するよりも先に現状を把握する様子に、ただの客ではない特別な雰囲気を感じたのだろうか。スタッフはまだ入りたての新人といった若い男で、常連の周の顔さえ覚えがないといった調子だったが、すがるような目つきで見上げてよこした。
「そうじゃねえが、とにかく何が起きているのか把握せにゃならん。あんた、館内の詳しい地図はあるか? 設計図のようなものなら尚有り難えが」
「あ、はい! 地震やなんかの時の避難誘導図でしたらございます!」
「それでいい、見せてくれ」
「はい!」
 スタッフの男は慌てた素振りでガサガサと持っていた資料から誘導図を探して周へと差し出した。
「よし、あんたはとにかく今ここのロビーに残っている客たちを速やかに建物の外へ誘導してくれ。幸い店の入り口はまだ無事なようだからな」
「か、かしこまりました!」
 ロビーの客を外へ逃がせるだけ逃し、まずはこの場の安全を確保する。残るは封鎖された会場内の連中を救出する手立てである。
「他にもまだ爆発物が仕掛けられていねえとも限らねえ。一之宮、とりあえずここを出るぞ」
「出るって……けど、中には冰君がいるんだろ? 遼の奴は事務所で相談がどうのって言われてたから、落ち合えるかも知れねえが……」
 紫月が連絡を取ろうとスマートフォンを取り出したところ、周は即座にそれをとめた。
「今はかけるな」
「何……、どして?」
「カネの奴もおそらく中だ」
 周は自身のスマートフォンを紫月の目の前に差し出すと、
「MG55――カネからのメッセージだ」
 意思を持った不敵な笑みと共に片眉をあげてみせた。
「とにかく行くぞ! 里恵子も来い!」
 周は紫月と里恵子をうながすと、即座にこの場を後にした。
「な、氷川! 何処行くんだって……! それにMG55ってのは何なんだ」
 小走りになりながら紫月が訊く。
「まずは気付かれねえように会場の真下にある駐車場の様子を窺う。すぐに李と、それからおそらくはお前らンところの源次郎さんとも落ち合えるはずだ」
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