極道恋事情

一園木蓮

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チェインジング・ダーリン

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 そうして人質となった客たちは次々とスマートフォンを没収され、拳銃を持った犯人たちに見張られながら恐る恐るバスへと向かった。

(氷川、頼んだぜ――)

 乗り込む際にバイクにまたがった紫月と周の姿を柱の陰にチラリと見てとった鐘崎は、心の中でそう呟くと共に、冰のことは周に代わって自分が命を賭して守り抜くと固く胸に誓ったのだった。



◇    ◇    ◇



 バスが駐車場を出ると、周の側近たちが追跡に気付かれぬよう注意を払いながら五台を分散させて走り出した。サイレンは聞こえるものの警察と消防は未だ目視できる様子はない。バスで逃げたことすら把握していないだろうから、犯人側にしてみれば作戦は成功しているといったところだろう。
 警察が到着しても、とりあえずは爆発音がした店舗の現場検証が先だろうから人質やバスの存在に気付くまでにはまだ時間が掛かると思われる。
 犯人たちによって人質は順番に後部座席へと詰め込むように追いやられたので、鐘崎はあまり目立たぬ二人掛けの席を確保すると、冰を窓際へと座らせて自分たちの後ろの席には森崎についてもらうことにした。
「なるべく身を丸めて頭を上げるな。犯人と視線を合わせねえように気をつけておとなしくしているんだ」
 冰の手を握りながらそう勇気付ける。他の人質たちも怯えたように身を震わせながら黙り込んでいる。宝飾店の上客というだけあってか、高齢の夫婦なども見受けられることから、万が一犯人側に隙ができたとしても俊敏に逃げるなどということは望めないだろうと思っていた。
 バスはしばらく一般道を走り、ほどなくすると高速道路へと入っていった。方向的には西へと向かうようだ。
 途中、臨海地区の倉庫街が見えたが、そこへは寄らずに通り過ぎるようである。やはり略奪の方は別同部隊が動いているということだ。
 倉庫の方には源次郎の指示によって組幹部の清水らが包囲を固めてくれていることだろう――。周と紫月の姿は駐車場で見掛けたので、彼らも李ら側近たちと共にこのバスの後を追ってくれていると思われる。
 問題はバスの行き先と犯人たちの逃走手段だ。

(西へ向かっているということは――人目に付かない山奥の樹海辺りへ潜り込むつもりなのか――? そこでヤツらは車を乗り換えてトンヅラという計画か――)

 現在まで警察の追尾は確認できていない。ということは車での逃走も可能だろうが、これだけの人数を起用して手際良く拉致をやってのけるような犯人たちが、Nシステムなどで足取りを辿られることを想定していないとは思えない。
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