極道恋事情

一園木蓮

文字の大きさ
482 / 1,212
三千世界に極道の華

しおりを挟む
 それから一時間が経つ頃には周と鐘崎の側近たちが続々と集結、姿を消してしまった紫月らの捜索が開始されたが、意外にも手掛かりはすぐに見つかることとなる。
 運転手と別れた地下駐車場から地上へと上がるエレベーターの防犯カメラがもぎ取られていたことから、ここで何かが起こり、全員が拉致されてしまったと見て間違いないようだった。
 だが肝心のカメラは壊されていて使えない。そこから先は車で連れ去られたのだろうことが想像できたが、犯人も行き先も不明であった。というのも、駐車場の出入り口のカメラまでもが壊されていたからだ。
「敵は素人じゃねえってことか……」
 かなり手際がいいことから見ても想像がつく。
「問題はその目的だ。源さんと春日野がついていて防げなかったということは、相手はほぼ間違いなくプロだろう。考えられるとすれば目的はレイ・ヒイラギか……」
 レイは有名モデルである。お忍びとはいえ、彼が来日するスケジュールを知っていた何者かが、前々から計画していたのかも知れない。
 むろん、周ファミリーや鐘崎組をターゲットにした人質誘拐の線も考えられなくはないが、今は特に敵対している組織や案件は思い付かない。とすると、やはりレイ・ヒイラギが目当ての拉致と考えるのが妥当だろうか。目的は金か、それともレイ本人か。
「仮に金が目的であるならば、ここ日本で誘拐したのもある意味うなずける話だな。レイは普段、香港在住だ。現地にある彼の事務所がすぐには動けない渡航時を狙ってくるのは妥当と言えば妥当だが――」
「とすると、犯人は日本に地の利がある連中ということになる。連れ去って潜伏している場所も見当がつかんが、案外デカい組織かも知れんぞ。おかしいのはレイ本人だけじゃなく冰や一之宮といったいった他の連中も一緒に拐っていったことだ。源次郎氏や春日野、それに一之宮は体術に長けているし、そんなヤツらをどうやって一気に拐うことができたかだ。如何に地下の駐車場とはいえ応戦して騒ぎになれば誰かしらに気付かれるだろうが、そういった様子もねえ」
「確かにそうだ。誰も抵抗できなかったとすれば、薬でも盛られたか……。スタンガンのような代物では応戦される危険性があるし、全員を一気に倒すには不都合だろう。即効性の催眠剤のようなモンで不意打ちを食らった可能性も考えられる。とするとエレベーター内で薬を撒き、そのまま連れ去ったと考えるのが妥当だが、そうであれば今日一日しばらくの間は尾行されていたということになる。源さんが尾行に気付かなかったとすれば、敵はやはりかなりの上手だ」
「だろうな。仮に顔を見られたからという理由で全員を拉致っていった――とすれば、敵にとってレイ・ヒイラギ以外は単なる足枷に過ぎんだろう。途中の何処かで放り出すか、あるいは――始末するか」
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

敗戦国の王子を犯して拐う

月歌(ツキウタ)
BL
祖国の王に家族を殺された男は一人隣国に逃れた。時が満ち、男は隣国の兵となり祖国に攻め込む。そして男は陥落した城に辿り着く。

処理中です...