極道恋事情

一園木蓮

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三千世界に極道の華

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「おや、既に皆さんお目覚めでしたか。しかしまあ、なるほど群を抜くほどの男前揃いですな! いや、素晴らしい!」
 ボスらしき男が笑みを見せながら軽口を叩いてよこす。対応を買って出たのはレイだった。
「あんたがここの責任者か? いったいどういう了見か、是非とも納得のいく説明をうかがいたいもんだな」
 他の者を庇うように一歩前に出て啖呵を切る。レイの表情は余裕すら窺える笑顔ではあるが、返答如何によっては容赦しないぞという凄みも感じられる堂々ぶりであった。
「これは失礼。先程は部下たちが少々手荒なことをして申し訳なかった。お詫び致そう」
「――結構。それで、俺たちをここへ連れて来た目的をお教え願おうか」
「まあまあそう急かさんでくれたまえ。それよりも……皆さんの中ではあなたがリーダーであられるわけですかな?」
 突然拉致されて来たにしてはレイの態度があまりにも落ち着き払っている為か、敵も意外に思ったようである。
「は――! 誰がリーダーってわけでもねえが、見ての通り俺以外はまだほんのガキ連中と爺様だからな。交渉役は俺しかいねえだろうが」
 ”ガキ連中と爺様”とはさすがに口が悪いが、これもレイの交渉手段であるのだろう。皆はひとまずこの場をレイに任せるべくおとなしく装って敵の出方を待つことにした。
「なるほど、道理ですな」
「先ず――ここはいったい何処なんだ。見たところ随分と変わった趣向の場所のようだが?」
「外をご覧になられたのかな?」
「ああ。えらく雅な街並みだ。花魁道中のようなもんも見たが、映画の撮影所か何かか?」
 わざと素人っぽい勘ぐりを口にしてみせる。こちらの手の内を見せない為だ。
「ほほ、映画とは! まあそう思われるのが普通でしょうな」
 男の方もまるでトウシロウのようなレイの言葉に内心ホッとしたのだろう。少々得意げな口調でニヤニヤと笑いながら説明を始めた。
「ここは特殊な場所でしてな。一般の方々はまず誰も知らない施設と言えるでしょう。あなた方が見たという花魁道中は映画でもドラマでもなく、現実なのですよ」
「――現実だ?」
「そう。ここは江戸吉原を再来せんという目的で作られた街なのでね」
 やはりか――源次郎がその昔、長の僚一から聞き及んだという計画は実現していたということになる。だが、今はこちらがその計画を知っていたということを気取られてはならない。レイはわざと空っとぼけたふりを装いながら先を続けた。
「吉原の再来だ? 何の冗談だ」
「冗談などではないのですよ。あなた方が見た花魁は本物の遊女で、ここでは頂点に立つ極上の女です。他にもたくさんの茶屋があり遊女も大勢います。自己紹介が遅れたが、私は茶屋のひとつを仕切る主人でしてな。この遊郭街の中でも一目置かれる大きな茶屋を担っておる者です。先程花魁道中でお客様をお迎えに上がったのも我が茶屋自慢の遊女です。ここには遊郭だけではなく賭場なども存在し、街並みも道行く人々もすべて昔の江戸そのものというわけですよ」
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